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気が付いたら・・・、スマホになっていました(笑)  作者: 寝音祢子
第二章 危なっかしいよ藤原さん
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大丈夫よ

 今回の主役は私、藤原愛ことメグです。

 回想シーンとかもあるので読みごたえはあると思います。

 どうか、みなさん楽しんで下さいね。

 退院して会社に久々に行った帰りの事。

 今夜は望ちゃんと食事に行く約束だ。

 そこで、バニーズレストランで食事を取る事にした。


「メグちゃんは何にする?」


 私たちはメニューを見て、何にするか話し合っていた。


「そうね・・・、私はハンバーグセットにしようかな?」

「あ、いいかも、あたしもそれにする~♪」


 そんなたわいもない会話、いつもの日常だ。

 ただ、あの時を思えば、時たま鬱になる。


「どったの?」

「え?

 ううん、なんでもないわ」

「嘘、あの事故以来、元気ないって事くらい気付いてるよ」


 流石、望ちゃん、お見通しね・・・。


「もしかして、あの人の事?」

「え、う・・・うん」

「しょうがなくね?」

「判ってるの、それは、どうしようもなく・・・」

「あんたの初恋の人だってのは知ってるけどさ」


 そうだ。あの方は私の初恋の相手。

 あの時、私は急いで会社に向かっていたのだ。


「あ~、いっけない、遅刻しちゃう。

 私って、どうしていつもそうなのかな?」


 私は慌てて、着替えを済ませ髪を結っていた。


「う~ん、食事してる暇もないな。

 仕方ない、売店で何か取ろう」


 他に忘れ物ないかチェックを済ませ、玄関に向かう。

 そして、出る前に周囲をチェックする。

 以前にそれを怠っていたら、ボヤを出してしまった事があるので、要チェックしなくちゃね。


「よし」


 そして、外に出て鍵チェックを何度も繰り返す。

 後はバスがあるかな?

 腕時計を見ながら歩道に出た時だった。

 交差点に向かう反対側から歩いてくるあの人は・・・。

 ま、まさか、安藤くん?

 子供の時から少しも容姿が変わらないからすぐに判った。

 体が周りよりも一回りも大きくて、一番特徴的な怖い顔も本当に変わらない。

 初めて会った時、怖さで泣いてた私に一輪のたんぽぽを渡してくれたね。

 そして、泣き虫だった私をかばってくれてたね。

 あれで私はあなたに惹かれたのよ。

 そう、初恋の人なのよ。

 あっと、時間。

 我に返り、腕時計を見て思う。

 どうしよう・・・、懐かしさで話しかけたい♪

 でも、仕事が・・・。

 もう一回だけ、安藤くんを見たい。

 ちらっと、見たら、偶然にも目が合ってしまった。

 気恥ずかしさでつい背けちゃった。

 気付いてたら、もう交差点に向かって、走り出してた。

 ご、ゴメンね、安藤くん、気恥ずかしさで混乱してる私。

 そこで、タイヤが鳴り、クラクションも大きく聞こえてきた。

 振り向くとものすごい速さで車が向かってきていた。

 あまりにも一瞬だったので、身動きも出来なかった。

 え?

 信号は・・・青だよね。

 私死ぬの?

 と思った瞬間だった。

 私はたくましい腕に抱えられ、それから、衝撃が足を走った。

 い、痛い!

 痛さに足をさする。

 って私、はねられたんだよね?

 なんで、体はなんともないの?

 私生きてるの?

 顔を上げて、横断歩道を見たら、安藤くんがすごい血だらけになって倒れていた。


「え、あ、安藤くん?」


 え、えぇ?

 な、何があったの?

 もしかして、私・・・助けてくれたの?

 嘘でしょ・・・?

 それよりも安藤くん、生きてるの?

 は、早く、安藤くんに・・・(悲)

 痛さを堪え、立ち上がろうとするけど歩みにならない。

 周囲の人たちも支えてくれたけれど、どうしよう立てない。

 でも、安藤くんが心配で・・・。


「お願い、安藤くんの、あの方の側に行かせて」

「あ、あぁ、けど大丈夫か?」


 私は支えてくれてた人をはねのけ、痛みにも耐え必死に歩いていく。


「あ、あなた、だ、大丈夫?」


 安藤くん、怪我がひどくて声にならない、けれど安藤くんは私に心配かけまいとしてる。

 必死で笑いかけて来てくれてる。

 相変わらずよね、安藤くん、あなたはいつも優しかった。

 子供の頃、一緒によく過ごしたよね。

 今でも目を閉じれば、思い出せるのよ。

 だ、だめよ、安藤くん今はじっとしてて。お願い(必死)


「私を助けてくれたのね。

 お願い、死なないで・・・」


 私は安藤くんの手を握って必死に伝えようとした。

 本当に死なないで!

 あ、安藤くん、顔を上げようとしてる。

 だ、ダメ、今は動いちゃダメよ、安藤くん。

 あ、救急車が来るのか心配なのね。


「お・・・、お」

「しゃべらないで!

 無理しないで救急車を今呼んだから大丈夫よ。

 だから今はお願い、安静にしてて!」

「出血がひどいな、血止めをしないと、お嬢ちゃん、どいてて」


 その時、救護に来てくれた人が安藤くんに処方しようとしてくれてる。

 あ・・・、そうだった。私、安藤くんに声かける事しか考えてなかった。

 ダメね、私。

 今は救護をこの人たちに任せよう、私は安藤くんを見ていなくては・・・。

 だ、だって、私を助けてくれたせいで、こうなっちゃってるもの、安藤くん。

 私は安藤くんを抑えようと顔を見る。

 痛そうにしてる。

 痛いよね、あんなに血が流れちゃって・・・思わず目に涙が溢れそうになる。

 ごめんね、安藤くん、いや、ううん、助けてくれて本当にありがとね。

 あ、あぁ・・・安藤くんの手が冷たくなっていく・・・。

 あ、い、嫌だ、お願い、死なないで!


「安藤くん!

 安藤く~ん!」


 泣き叫ぶと、ちょうど、救急車が来たようだ。


「君は足をやられたんだね、歩ける?」

「ダメ、立ってるのがやっとなので」

「足の他に気になるとこはない?」

「あ、そういえば腰を捻ったようで・・・」

「頭は打っていないよね?」

「はい、そこは大丈夫です、あの方に助けて頂いたので」

「判りました。

 一応、君も病院へ運ばないとなので今は救急車に乗って」


 私は言われるまま、救急車の中に入ると、席に促されて席に着いた。

 その後に安藤くんがタンカで運ばれてきたのが見えた。

 さっきのよりも顔色が悪い・・・。

 大丈夫なの?

 これ・・・。

 私も一応、ケガ人なので一緒に運ばれることになった。


「ヤバいな、意識混濁が始まってるぞ、これ」

「市内で受け入れ可能な病院があれば・・・」


 今は横たわってる安藤くんを見つめる事しか出来ない。

 けど、救急隊員が色々とやってくれてる。

 私は拝むように手を握った。

 お願い、神様!

 安藤くんを死なせないで!

 私は今まで以上に必死で祈っていた。

 必死で神様に訴えていた、安藤くんを死なせないように・・・。


「ねぇ、メグ、メグちゃんてば!」


 気付けば、望ちゃんが必死に声かけてくれてた。

 あ、そうか、今はバニーズ・・・。


「大丈夫?」

「あ、ごめん、あの時の事・・・思い出しちゃって」

「ううん、いいのよ」

「だって、せっかく会えたのよ・・・」

「うん、うん・・・」

「なのに、あんな事になっちゃって・・・私」

「判るよ、でも・・・」

「初恋の人なのに、こんな事って・・・」

「もういいよ、メグちゃんが悪いんじゃない・・・」

「いいえ、私が悪いの!」


 私はつい声を上げてしまった。

 店内が静かになってしまった。


「あの、お客様・・・?」

「あ、ごめんなさい」


 私は席を立って、周囲に向けて頭を下げた。

 望ちゃんも一緒になって頭を下げてくれている。


「喧嘩でしたら、店内のお客様のご迷惑になるので」

「ううん、ゴメンなさい。

 喧嘩じゃないの、私がつい興奮しちゃってただけなので」

「そう、それでしたら、いいのです。では、ごゆっくり」


 ウェイトレスさんはそう言うと、軽く周囲にお辞儀して奥へ進んで行った。

 席に着くと心配そうに望ちゃんが私を見る。


「心配かけてゴメンね」

「いいのよ、アタシ、あんたが辛そうにしてるの、黙って見てられなかったから。

 アタシこそ、ゴメンね」


 互いに顔を見つめ合うとつい笑顔がほころぶ。


「ふふふ、望ちゃん、ありがとね」

「いいのよ、水くさい。

 アタシで良かったら、いつだって側にいるからさ」

「うん、あの方はもう祈るしかないよね」

「そうだね、もう祈ろう、アタシもさ。

 あんたのために毎日祈るわ」

「ぶっ、フフフ・・・」


 それを聞くと、目に涙が浮かびそうになった。

 そうしてると、食事が運ばれてきた。


「元気出すためにも今は食べよう!」

「そうそう、辛い時は必ず言ってね」

「うん!」


 私たちはそれから、食事を食べて、ゆっくりと時間が過ぎゆくままに笑い合った。

 安藤くん、大丈夫よ、私は元気だから・・・。

 みなさん、どうでしたか?

 楽しんで頂けたなら感想とかもぜひお願いしますね。


「エエ娘やな・・・w」


 え?

 今の声は誰・・・?

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