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気が付いたら・・・、スマホになっていました(笑)  作者: 寝音祢子
第二章 危なっかしいよ藤原さん
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マジかぁ

 意識が飛んでしまったぜw

 これからどうなるんだろなぁ。

 まぁ電源さえ、あればいいのだろうっとw

「ねぇ起きて?」


 気怠い。

 誰かの声がする。

 って・・・。んんん?


路衣斗(ろいと)ってば、起きてよ」


 その声にはっとしてがばっと起き上がる。

 聞き覚えのある声がするでわないか!


「やっと起きたのね」


 声のふる方へ振り向くと藤原さんがいるでわないかっ!!

 何故・・・?


「随分とうなされていたわよ?」

「あ、あぁ・・・き、君は・・・、何故ここに?」

「あら、寝ぼけてるの?

 私は貴方の奥さんじゃないのw」


 え・・・?

 お・く・さ・ん・?

 そう言ったのか?

 まさか・・・なw


「奥さん・・・って?」

「ねぇ大丈夫?」

「いあ、悪い夢みていたせいかな?」

「そうなの?

 どんな夢?」

「うん、俺が死んでスマホに転生していた夢だったんだ・・・」

「あらまぁ、スマホにねぇ?」

「そうなんだ、んで、少し混乱してるんだが・・・。

 君はいつ俺と一緒に?」

「ちょうど、1年目よ。今日で結婚記念日よ」

「そ、そうなんだ・・・はは・・・」


 これは現実なのか?

 だとしても一緒に過ごした記憶がない・・・。


「それよりも仕事に遅れるわよ」

「あ、あぁ、今起きるよ」

「うん、食事出来てるから着替えたらご飯にしましょ」


 そう言って藤原さんは部屋を出て行った。

 未だに実感がない。

 これは一体どういう事なんだ・・・?

 そ、そうだ!

 トリさんはいるのか?


 シーン。


 いない・・・、と言う事は現実なのか?

 俺は死んでなくて、いつの間にか、藤原さんと結婚してたのか。

 ここで現実感がわいてきたようだ。

 生きてる喜びがふっと湧き上がってくる。

 俺は喜び勇んでベッドから飛び降り、ささっとスーツに着替える。

 そうとなったら、藤原さんとの新婚生活を楽しむのだ。

 今日までの記憶は飛んでるようだが、気にしまいw

 部屋を出てダイニングに入ると、みそ汁の香りが飛び込んでくる。

 あぁ・・・いい香りだ・・・。

 じーんと感動する。


「さぁ、召し上がれ」

「う、うん、いただきま~す」


 朝食は定番の目玉焼きとウインナと野菜サラダだが、これが美味いのだ。


「う、うっま~い!」

「やぁね、大げさよw」

「いあいあ、君の料理は世界一だよ」

「フフフ・・・」


 俺はこんなにも幸せだったのかw

 なんで記憶が飛んでるのだろう、勿体ない・・・。

 食事を済ませるとカバンと上着を手に取り、玄関へと向かう。


「貴方、待って」


 声がしたので振り向いたら、そこに包みを持った藤原さんがいた。


「弁当忘れちゃ嫌よ?」

「あ、いつもありがとう、それじゃ・・・」


 言い終わると、不意に藤原さんが近づいてきて、頬にキスしてきた。


「はい、これ」


 俺は一瞬呆けていたが、気を戻し弁当箱を受け取ると玄関へ向かった。


「いってきまーす」

「いってらっしゃい、貴方、今日は結婚記念日よ。

 絶対に忘れないでよ」

「判ってるよ、絶対にまっすぐに帰ってくるよ」


 そう言って玄関を飛び出した。

 嘘みたいに幸せに満ちてる。

 ほんとに俺ってば結婚したんだぁーwww

 一気にどん底から上昇したかのようだ。

 俺は完全に浮足立っていた。

 なんかふわふわと浮いてるような気分だ。

 スキップしていると途端に着地しなくなってる事にも気付かずにずっと進んでいた。

 周囲も暗くなってるのにも気付かずにうきうきしていた。

 なんだか、体が浮いてるみたいで体が軽くなってるなw

 これが幸せ絶頂感って奴なのだろう、きっとw


「あんさん、あんさん」


 ん、誰だ、無粋な、俺はこの幸せ感覚を味わっていたいのにw


「ちょい、あんさん、正気になりなっせ」


 うるせぇ!


 この声、あまりにもうざいので怒鳴ってしまった。

 その時に電話音が体内から響いてくる。

 この音も聞き覚えがある。

 スマホを取ろうと体をまさぐる。

 が・・・?

 ないのだ、スマホが。


 スマホがない・・・。


「そら、あるわけないがな、あんさんがスマホなんやから」


 この声、悪夢へと誘おうとしてるのか?

 ヤメレ、今の幸せをぶっこわすんじゃねぇ!


 声がするが夢だ、絶対に夢だ!


「夢見てはるんでっか?

 しょうもないですなぁ・・・」


 声を振り切ろうと頭を振る。

 が、しかし、体内から鳴ってる電話音は大きくなっていく。

 必死になってスマホを探すが見つからない。

 そこで視界が大きく変わり、藤原さんの顔が飛び込んでくる。


 ほら、やっぱり、これはゆ、夢・・・?


 にしては藤原さんの顔が異様に大きく見える。

 と言うか、どこかで見た事のある景色が見えている。

 藤原さんは俺の体を持ち出し・・・?

 持ち出し、た?

 そして、藤原さんの耳元へと持っていかれる。


 や、やはり、俺は今もスマホなのかーーーーーーーっ!


「何を言ってるのやら、今更でっせw」


 夢心地でいた俺は一気に現実感へ引っ張り出されていた。

 呆気にとられている間にも、藤原さんは電話口にて何かを話している。

 今の俺にはその内容は頭に入ってこなかった。


 夢ならずっとそのままでいて欲しかった・・・。


「どんな夢やったん?」


 やかましぃ!


 スマホでいるなんて・・・。

 今更ではあるが、ほんとにスマホなんだな俺(泣)


「まぁわてがおりますやろw」


 あぁ、二度と聞きたくない声だったなぁ・・・。


「そら無理な相談でっせw」


 あれから、俺は気を失っていたようだった。

 よりにもよって、あんな夢を見るなんて、な。


 あぁ、夢かぁ・・・。


「ちなみにどんな夢やったんで?」


 う・・・、というか、こんな体になっても夢見るんだなぁ?


「まぁアストラル状態でも気ぃ失えば、夢見るでっしゃろ」


 でも、今回初めてだぞ?


「今までのは仮眠状態でしたからなぁ」


 仮眠?


「というか、スマホやからスリーブ状態やかて、待機状態でっしゃろ」


 つまり、完全に電源が切られると睡眠状態に?


「そうですやろ」


 ふむ・・・。

 納得。

 あれから、どうなったんだろ?

 今の状況見ても、藤原さん宅にいる事は間違いない。


 俺、最後の転移でそれからどうなったんだ?


「さぁ?」


 トリさんでも判らんのか?


「そりゃわてはあんさんと一心同体でっせ」


 電源切られるとトリさんも意識が飛ぶ?


「その言い方はちゃいまっせ、わても眠るんでっせ、あんさん同様にな」


 その時、俺は悪寒がした。

 意識飛ぶって軽く見ていたが、何が起きるのかも判らんって事だろう。


 ちなみにさ、電源切られて意識が飛んだら、その先はどうなる・・・?


「電源が復旧すれば元通りですがな」


 いあ、電源が入ってこなかったら・・・その先は?


「う~ん、その場合はスマホが壊れるまで、ずっとそのままなん、ちゃいまっか?」


 つまり、それまで、ずっとスマホにとらわれたままって・・・事?


「あくまでも推測やがな、現状ではわからしませんよってに」


 スマホ内部で何がどうなってるのか知らんけど、俺の意識が存在してるって事はアレだろ?


「うんまぁ、あんさんはアストラル状態で、スマホ内部と繋がってる事は間違いあらへんがな。

 意識いうんはその産物でっしゃろな」


 スマホが壊れたら、俺は・・・死ぬ?


「まぁ実際になってみなければなんとも言えまへんがなぁ・・・」


 予測不能って事か。

 怖いな・・・。

 気を付けて行動しないとダメって事は判った。


 つまり魔力がなくなったら命取り?


「状況次第でっしゃろ」


 ログ機能があればいいのにな・・・w

 そもそも、今どんな状態でスマホに繋がってるのかも判ってないからなぁ。

 アストラル云々というのは前に聞いたけれど、いつ切れても・・・ん?

 いつ切れても?


 前にも同じこと聞いたけれどさ、いつ切れてもおかしくないと言ったよね?

 それってそういう事?


「そう言ったんやけど、別に不安定って訳でもないんよ?」


 リンクが切れる状況ってどういう事?


「簡単に言えば、スマホかて有限やないって事やな」


 スマホが消滅しない限りって事?


「まぁそういうことでっしゃろ」


 よく判らんなぁ・・・w


 ふと照明が消えた。

 もう寝るのだろう。

 藤原さんはすでにベッドに寝ていた。

 お休み、お疲れ様。

 俺は心の中で藤原さんに挨拶した。

 ようするにスマホが消えない限りは大丈夫って事だろう。

 今はそう信じたい、が、その前に無茶は出来ないって事は判った。

 しかし、よその心配はある。

 藤原さんのドジさを見ていたら・・・w

 いつ俺が壊れても不思議はない。

 実際に車との事故でスマホ壊して、俺が来た訳だしなぁ・・・。


「まぁなんとかなるでっしゃろ」


 まぁ今の俺には予測スキルがある事だし。


「まだまだレベル不足ですがなw」


 おいコラw

 そこは熟練度を上げていけばいいのだろうw


「まぁそういうこっちゃで」


 マジかぁ・・・トホホ(苦笑)

 あらためて思ったのだが、無意識のままってのも怖いもんだなぁ。

 マジで気をつけなアカンわw

 って口調までうつってしまったわw


「そらええことやでw」


 冗談言うなwww

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