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気が付いたら・・・、スマホになっていました(笑)  作者: 寝音祢子
第一章 スマホにされてしまった・・・
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ないわぁ(後半)

 やれやれ名前が付いたわw

 名前決めるのに時間かかり過ぎだw

 あれから、一晩経ち、今は退院日を迎えた朝。

 藤原さんは帰り支度をしてるところである。

 スキル探知のおかげでつねに周囲の情報が入ってくるのは便利である。


「メグちゃん!」

「あ、望ちゃん」


 藤原さんは手を止め、病室入り口を見る。

 ツインテの少女ぽい女性が見える。

 彼女が昨日言ってた同級生なのだろう。

 どうやら、彼女は「滝本望」と言う人物のようだ。

 アドレスにも記載されていた。


「退院おめでとう」

「ありがとう」

「これから、お茶する?」

「少しならね」

「じゃあ、退院祝い!

 これ、おごらせてね」

「いいの?」

「うん、行こう」


 藤原さんは手続きを済ませ、滝本さんと共に病院を出た。

 道中、はしゃぎ声が聞こえてくる。

 咲夜の暗い顔はなんでもなかったようだ。

 元気になってくれて良かったよ~(笑)


「仕事は大丈夫なの?

 メグちゃんのってかなりハードでしょう?」

「当面は事務仕事かなぁ、体を動かす分には問題ないけど、会社次第じゃないかなぁ?」


 仕事かぁ。

 そういあ、何してるんだろな?

 ハードって・・・、どんな仕事なんだ?


「ねね、あんたんとこの会社ってヤバくない?」

「ん、何が?」

「パワハラとか・・・」

「それはないよ、仕事柄だからそう見られてる?」

「そっか、企画職だもんね」


 企画職かぁ。

 なるほどね。

 でも、イメージとは違うなぁ・・・?

 OLとかやってそうなイメージだし。


 藤原さん達は少し歩き、スクバに入った。

 ここのメニューは俺はとてもじゃないが慣れないので滅多には利用しないのだが、藤原さん達は手慣れたものだった。

 二人は注文を済ませ、適当に空いた席を探し着いた。


「さて、カフェで申し訳ないけど乾杯ね」

「うん、ありがとう」


 っと、スマホが鳴ってる。


「会社からだわ、ちょっとゴメンね」

「うん」


 藤原さんは外に出てスマホで会話を始める。


「よう、退院だって?」

「うん、今、病院出て軽くお茶してる」

「体は大丈夫なの?」

「少し足がね、歩くたびにびっこひいてる感じ」

「それだと移動とか無理そうだなぁ」

「すみません・・・、芦田さん」

「まぁいいや、仕事は来週明けからいいからね、ゆっくり休んでていいよ」

「判りました」

「あ、そうそう、言い忘れてたけど、退院おめでとう、またね」

「ありがとうございます、芦田さん」


 藤原さんはスマホをきると、軽くためいきついた。

 その時、また暗い顔をしていた。のだが、俺は気付かなかった。

 それから席に戻ったのだった。


「何だったの?」

「うん、来週からでいいって」

「あぁ、やっぱり?」

「うん、当面はやっぱ雑用ね」


 あれから、雑談を繰り返していたが、滝本さんが気を使って今は帰路についている。

 そして、もうすぐ例の交差点だ。

 気のせいか、そこへ近づくたびに足取りが重くなってるような・・・?

 やがては交差点前で立ち止まる。

 藤原さんは悲し気にそこに起きた事故現場を眺めていた。

 俺のために思ってくれてるのか・・・。

 ここに俺がいるのになぁ。

 どうにかして伝えたいぜ。

 あぁもどかしいぃぃぃっ!


 そして、藤原さんはポツリと口を開いた。


「安藤さん・・・」


 って俺の名前・・・(汗)

 そうだよ、俺には安藤路衣斗(ろいと)ってりっぱな名前があるんだぞ。

 まぁそれはさておき。

 やはり、俺は死んでしまったのだなぁ。

 しみじみ・・・。

 そういうのを見てるといたたまれないんだよね。

 というか今俺はスマホになってる訳だし、生きてると言えるんかなぁ?

 何年かすると物にも魂が宿るとか聞いた気がするし、まぁそういう存在なのかな?

 今の俺。


「ちょいちょい、ええでっか?」


 そう思ってるとまた、またあいつか・・・(笑)


「またはないですやろ、ひどいでんなぁ」


 それでひどけりゃそいつでもいいw


「あんなぁ・・・」


 フフフ・・・。


「まぁええですやろ。

 付喪神とはちょいちごうとりまっけど、あんさんの存在はいわゆるアストラル的な物でっからな」


 それが判らんと言うのだよ。


「あれまぁ・・・。

 まぁ判りにくいでっしゃろなぁ。

 付喪神はええヒントですやろな」


 と言うと?


「前にも話した通り、あんさんの魂はいわゆるアストラルレベルでの存在や。

 それがスマホ本体とリンクしてますやろ。

 それが付喪神とちごてるとこや」


 ほうほう。


「付喪神は物に宿るという事で物体との強い結びつきがあるんやな。

 あんさんのはリンクされとる状態なんで、いつ切れてもおかしない状態や」


 何だってぇぇぇっ!

 衝撃の言葉。

 ふ、不安定だったのか、俺は・・・。


「でもまぁ、簡単に切れるもんでもないんやがねw」


 おい!

 おちょくるな!!!


「まぁまぁw

 しかしまぁ、あんさんのは特殊な例でっせ」


 特殊?


「付喪神がええヒントやと申したやろ」


 うん言ったな、それが?


「物に宿るという意味では一緒なんや」


 はぁ?

 さっきは違うと言ってなかったか?


「そこなんやが、あんさんのは宿ると言うよりは憑りついてるという方が正解なんやが・・・」


 幽霊かよ!


「まぁアストラル的でっからな」


 そっか、精霊か。


「まぁそうとも言いますわなw」


 ・・・。

 あまりにも事が・・・(笑)

 なんで、それ言わないの?


「はて、どうなんやろ?」


 って、おいぃぃぃっ。

 茶化すな!

 まぁいい・・・(汗)

 というか、トリさん、いい性格してんなぁ。

 どうでもいいが(笑)

 精霊かぁ、って精霊なのに今は無力だろう、そこはどうなってるんだ?


「そりゃあんさん新人やし」


 精霊に新人とかあるのかぁ!

 いいだろう。

 これから、魔法たくさん覚えて、藤原さんを助けて行こう!

 とか、やってるうちに藤原さんは家に入っていたようだ。

 いつの間に・・・(笑)


 藤原さんはお茶の用意をして、リビングのソファについた。

 それにしても、藤原さん、病院でもそうだったが、やたらと物憂げなんだよね。

 そういう子なのかな?

 う~ん、でも、母親とか人と話してる時は太陽みたいに明るい子だったよ。

 やっぱり、俺が原因なのだろうなぁ・・・。

 藤原さん、大丈夫だよ。

 元気出して、俺ならこうしてスマホになって側にいるんだからさ。

 気にしないでもいいんだよ。

 って、女性からしたらかなりキモくない?

 俺・・・(泣)

 このシチュエーション、男性なら喜ぶべきなんだろうけどさ。

 でも、その気にはなれん。

 だってなぁ、俺って死んでる訳だし、てかスマホに転生して存在してる訳だが、あぁややこしい(笑)

 だが、どうにかして藤原さん元気づけしたいなぁ。

 ほんとに俺、無力だ、虚しい。

 まぁ、物に宿るってそういうもんなんだろうな。

 お菊人形なんてのも、もしかして、そういう気持ちで見てたんだろうか?

 俺もそのうち、スマホが大きくなったり・・・?


 ・・・。


 ないない(笑)


「うん、こうしてると気が滅入るわね!」


 突然、藤原さんは立ち上がり叫んだ。

 なんだなんだ?


「さて、休んでる間にも企画案立てようっと」


 藤原さんは自部屋に入りパソコンに向かって作業を始めたようだった。

 うんうん、俺の事は気にせずに今は頑張ってくれよ

 応援してるからさ。

 無力ながらだけれどね(苦笑)

 ほんとにないわぁ・・・、俺(汗)

 う~ん、これから先が思いやられるわ。

 トリさん、いい加減すぎだしw


「わいの勝手ですやろ」


 っておいw

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