おいこら (7/28up)
とある、愛の仕事場である企画部室。
最近、こちらの企画部では仕事がどっさり舞い込んでるので、殺伐としていた。
そう、超多忙な時期にきていた。
夏の前には、様々なイベントやキャンペーンの依頼が増える時期だからであった。
そのため、ここ企画部もある意味、戦場化していた。
愛も企画書の手直しやら、企画案の調査など忙しく、手を動かしていた。
ミスしないように気を使いながらなので、それはもう必死である。
なので、スマホもスマホホルダーの中で大人しい。
このスマホホルダーは例の一件で愛が探し出してきたアイテムで、なにやら可愛らしい猫をモチーフにデザインされていて、スマホも気に入っているようだ。
が。
暇だぁ~っ!
「あ、あんさん、何を唐突に・・・、驚くやないか」
ほう?
トリさんでも驚く神経があったとは知らなかったな?
「アホちゃうんか、そんなんあってもなくても驚きますわ」
そうかなぁ?
「なんや、神経あったら普通なんか?
わては無神経やと言うんかいな?」
現に今は神経ないのでは?
そんな時だった。
「き、決めたぞ!」
その声で思わず、注目を浴びる芦田チーフだ。
「あ・・・」
周りの視線は訝しげであった。
芦田は事の重大さに気付き、慌てて弁明をする。
「ずっと寝てなかったもんだから、こっくりしてたら、気合を・・・ハハハっ・・・」
「やだぁ、芦田チーフ寝てたんですか?」
「あ、いや、ほんの少しだけだから・・・」
無理もない。
今や企画部は超多忙であったのだから。
それに気付いたみんなも笑いながらも仕事に戻って行く。
ただ、一人、豊田恵夢亜、彼女はデスク上で芦田を見たままだ。
彼女は企画課に於けるサブチーフである。
「芦田チーフ?」
「は、はい!」
「忙しいのは判るけれど、少しは休まなきゃ駄目ですよ。
アタシたちの要なんだから、ね?」
「そ、そうだな、これからコーヒーブレイクしに行くから、後は宜しく」
「はい、はい、行ってらっしゃい」
豊田は芦田が企画室を出るまで、見送った後、止めていた作業を開始した。
こうして、芦田は企画部室を後にしながら、考え事を始めた。
そうだ。
藤原の不思議なスマホとあの謎の光物体の謎を追うぞ!
それをよそに、芦田を見ながら、スマホは胸をなでおろす。
こうした芦田の胸の意を知らずに、だ。
あぁ・・・、なんだ、いきなり・・・脅かしやがって・・・。
「ほほぅ?」
な、なんだよ?
「あんさんにも神経あったんやな?」
グフッ!
そこで仕返しとは・・・。
「そんな事あらしまへんで。
普通に返したまででっせ」
なんだ?
今日はいつもよりは辛辣だな?
「そら、辛辣にもなりまっせ?
あないな事言われちゃ、ね」
あ、あぁ・・・、あんなん、いつものジョークだろに、本気にするなよ・・・。
「ジョークにも聞こえまへんで」
まぁまぁ、悪かったよ・・・。
そんなやり取りの中、愛は今の騒ぎも気にも留めてはいない。
ミスをしないように、焦りながらも懸命だったから。
そうして、愛を見つめながら、今日も平和であることを、感謝しつつ、トリさんとやり取りするスマホだった。




