ご対面? (7/11up)
そして、集中治療室のある病室へと入っていった。
そこで足がすくむのだろう。
愛の歩みがゆっくりとたどたどしくなる。
「メグちゃん、大丈夫?」
「う、うん、ゴメンね、まだ怖いの・・・」
「無理しなくていいのよ?」
「う、ううん、これは越えなきゃダメだから、私・・・」
もどかしく、愛は望に支えながらもゆっくりと進み、ベッドに向かった。
すると、そこには安藤がいた。
今となっては包帯も取れているが、何やら頭や腕に検査機器につながれたままだ。
「あ、安藤くん・・・、やっと出会えたね・・・」
声を震わせながらも愛は健気にもベッドの安藤に声をかける。
望はその様子をただ黙って見ているだけだ。
「ゴメンね・・・、望ちゃん・・・」
「え、い、いいのよ、それよりも大丈夫?」
「う、うん、しばらくは二人にさせて・・・」
「えっ・・・?」
そこで不安そうに望は愛を見た。
声なく、体を震わせている。
「大丈夫・・・なの?」
「う、うん、ゴメンね・・・安藤くんと話させて?」
「・・・判った、心配だから、そこの壁にいるわ・・・。
終わったなら・・・」
「うん、声かけるわ」
望はそんな様子の愛に声かけれなかった。
そう思ったのだろう。
そして、静かに愛の側から離れ、壁に寄り添った。
それを見ていた愛は安藤の側へと近付いていく。
おどおどしながらも安藤の右手を両手でつかむ。
さも愛おしそうに・・・。
「安藤くん、ホントにゴメンね。
今まで会いに来なくて・・・、寂しかったでしょ?
今頃になって、やっと、私は一歩、前へと踏み出すなんて・・・。
臆病で勇気のない私を・・・許して・・・ね」
愛は声かけながら、ボロボロと涙をこぼしていく。
「いつか、スマホから戻ってこれる日が来るよね?
安藤くん、それまでは私・・・頑張るから・・・。
だから、希望は捨てないでね。
好きよ・・・、安藤くん・・・。
絶対の・・・、絶対に私が元に戻させてあげるから・・・ね?
安藤くんっ!」
そこで愛は力なく体をゆっくりと倒し、安藤の腕へ顔を寄せながら、とめどなく涙があふれ出していく。
「くっ・・・」
その様子を見ていた望も少し涙をこぼしていた。
だが、今はそっとしておく以外になかった望であった。
いつしか、時が経ったろうか。
愛は涙を止め、きりっとすっきり顔をさせながら起き上がる。
安藤の手は握ったままだ。
「安藤くん、ありがとね。
いつもいつも貴方は私を助けてくれてた。
今も私を助けてくれてる。
もうずっと、変わらないよね。
貴方のその優しさは子供のころから同じだね。
これからも助けてくれるんだよね。
だったら、私、もう泣かないわ。
だって、望みが出たから・・・。
今はスマホの姿でも、いつか、いつの日かきっと体の元へ帰ってくるはずよね。
私はその方法を探し出すから、待っててね、安藤くん」
そうして、話し終えると、静かに安藤の手にキスをした。
そして、ゆっくりと立ち上がって、望を見た。
今度は来た時と違って、意を決したかのようにその足取りは強かった。
「終わったの?」
「うんっ!」
望は明るくなった愛の表情を見て、安心したかのように涙を手で拭き取った。
そして、笑顔で愛を見る。
「良かった、吹っ切れたのね?」
「うん、心配かけてゴメンね?」
「何よ、水臭いわね。
親友でしょ?
私たち!」
「ありがとう!
望ちゃん!」
そして、分かち合えたかのように抱き合う二人。
「さ、行こっか」
「そうね、私、おなかがすいてきちゃった」
「病院食はまずいもんねw」
「あら、私、残していないわよ?」
「そっか、退院したらおごるよ。
どこか食べに行こうよ」
「嬉しいっ!
望ちゃん、優しいから大好きっ!」
二人はたわいもない会話をしながら、安藤のいる病室を後にした。




