格差問題について考えてみた パート2
世の中バラ色だ!資本主義万歳!
と思っている方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。いやーそう言ってみたいですよね。
こんばんわ、小村るぱんです。
前回の「格差問題について考えてみた」では新自由主義と格差の関係について論じてみましたが、今回は語りきれなかった政府の介入、規制の意味について補足的に語りたいと思います。
経済においては、政府の介入や規制をできるだけ取っ払った自由な市場を目指す「新自由主義」という考え方があると説明しました。新自由主義は「競争の過程で生じる搾取も自由の内」だと考え、弱肉強食の保守主義と繋がりやすい思想です。それに対してリベラルは「国家による介入と規制(=社会保障や雇用保護)」などで格差をなるだけ低減させようとします。
この二つのしばしば対立する思想が順番に現れた例として、1900年代のアメリカに目を向けたいと思います。
まず、リベラルな政策を打ち出したことで有名なのが「ニューディール政策」です。
この政策は1933年に大統領になったフランクリンルーズベルトによって実施されました。ダム建設、鉄道網整備、植林などの公共事業を次々に行い、規制も適所で敷き、社会保障の面では、失業保険、年金制度などが導入されました。またワグナー法と呼ばれる労働者の団結権を認めた法律も制定されました。
この公共事業推進と言う、政府の市場への介入は、奇しくも同時期に活動していたケインズの理論と重なります。ケインズの理論とは、赤字になっても政府は借金をして公共事業を行い、雇用を生み、給料を増やせば、経済が活性化して需要も上がり、結果税収も増えるというものです。
このような市場への介入と、最低限の社会保障を同時に行ったのがこの政策の特徴です。この傾向は、市場の自由性を認めながらも政府が大きく関わっているという点から、「大きな政府」と呼ばれます。
さて、そこから半世紀たった1980年、この政策に異を唱えたのがロナルドレーガンです。彼は社会福祉支出を削減し、減税を行いました。所得税を減らすのと同時に、法人や投資家に有利な減税も行います。また規制緩和にも取り組み、原油価格の統制解除、放送業の認可に関する緩和、鉄鋼業の大気汚染の規制緩和など他多数の緩和を行いました。
レーガンの意図するところは、日本でも昨今耳にする「トリクルダウン」でした。大企業の隆盛でその恩恵が上からこぼれ落ちてアンダークラスにも注がれ、結果全体が豊かになるだろうというものです。しかし、アメリカの平均成長率は1980年代で3%でしたが、相対貧困率は上昇してしまいました。
このような新自由主義的政策は、日本でも小泉政権で行われました。郵政民営化や、労働者派遣法の規制緩和は、皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。
さて、このように政策によって政府の役割は異なってきます。それぞれ一長一短の効果があると思うのですが、私の意見としては、政府は「ある程度」規制介入をして関わるのがベターだと思います。
例えば労働環境などは、競争が激化するほど劣悪なものになりかねません。利益至上主義の企業が極端になると、労働者への配慮がぐんと低下します。そういった最低限の労働者の権利を守る為に、国が介入して労働基準法という法律を敷いているのです。企業がコストカットしたいからといって「いやもっと自由な雇用条件にしろ、労働基準法を撤廃しろ」というのは嫌ですよね。
他の例もあります。少し前までは農業の参入規制がありましたが、緩和されてしまいました。それによって農地収奪が起こりました。大規模な農地が企業に買い取られるのですが、利益が上がらないと短期で撤退し、耕作放棄地が増えました。また企業進出によって、地域に根差した昔ながらの個人農業者、小規模農民が立ち行かなくなり、グローバル市場が優先されるようになりました。
市場の自由競争は勿論尊重しなければいけませんが、その副作用でしわ寄せが来る部分については、政府が関わり健常化させたり保護したりすることが大事だと思います。
以上、少し長くなりましたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。