笑ってよ!大魔王幼女
文化放送「下野紘、巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の
第二回「小説家になろうラジオ大賞」に参加するために
再投稿させてもらいました。
嘘か真か、太古の昔に世界を救った英雄の末裔の《真宮寺イクト》二十五才は、コンビニのアルバイトをクビになって家に帰ると、仕事で海外に行っていたイクトの父が数年ぶりに帰ってきていた。
「新しい家族だぞー」
そう言って父の後ろからモジモジしながら現れたのは、フリフリのワンピースに身を包んだ小学一年生ぐらいの金髪の女の子だった。
「こっ……こんにちは」
「誰だよその子……誘拐!? おーまわーりさーーーーん!」
「まあまあ落ち着け」
父による事案発生に、イクトは額から滝のような汗をびっしょりかきながらドン引きした。
女の子の名は《マリー》大昔に人類を支配していた大魔王と人間との間に生まれた子供。大魔王が討伐されたのち数千年の間、古代遺跡の最深部に封印されていた。
イクトの父は太古の昔、悪魔を退治し人間社会の均衡を保つ国際機関《英雄機関》の役員で、マリーの封印が切れることを受けて遺跡の調査に向かっていた。
マリーには感情に応じて天変地異が発生させてしまう力があった。マリーが泣けば大雨、洪水が発生し、怒れば火山が噴火、さらには地震、雷、隕石の落下までも引きおこしてしまう。世界を滅ぼしかねない能力を宿してしまったマリーだったが、英雄機関はその能力を上手く制御できるようになれば、自然環境をコントロールし世界の環境問題を解決できると考えた。
政府の意向により、経過を見守りつつ、人間の子供として育てられることに決まった。
マリーの教育係を任されたイクト。おまけに非常勤講師として小学校にも同行することに。
『何で俺がこんなことを?』と不満を漏らしつつも現在無職である手前、選択の余地はなかった。
能力の発動を防ぐべく右往左往するイクト。マリーに意地悪をする男子がいれば仲裁に入り、女子達と仲良くするために取り計らったり、そんなことをしているうちに気付けば職員や生徒の間で評判の存在になっていた。
はじめは渋々だったイクトだったが日を重ねるごとにマリーと心を通わしていく。
そんな中、マリーの力を悪用すべくテロリストや、神として崇拝する狂信者に狙われたり、魔王の血を根絶を望み動き出す悪魔祓いと対立しながらも、イクトとマリーは家族として苦難だらけの毎日を共に生き抜く。
世界の命運をかけたアットホームコメディ。