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「あ、居た! 」


 そこへ誠一がやって来た。

 

「何してんるんだよ純子」


「ごめんなさい」


 誠一にはしおらしい。


「ごめん、ちょっと待ってて」


 私にそう言うと、誠一は林を連れて出て行ってしまった。

 

 その場に一人残された私はどうどうとミルクティーを啜る。

 


「ごめん、何か純子が迷惑かけたみたいで」


 戻ってきて早々謝る誠一。

 

 そう言えば、昔もよく謝っていたっけ。


「久しぶりだね、清ちゃん」


 あの頃と変わらずに名前で私を呼んだ。


「そうね、本当に久しぶりだわ」


 思い返してみれば中学を卒業してから話してなかった事に気づき、

 

 そんな事実に驚く。

 

 久しぶりに会う誠一は、あの頃よりもしっかりしているように見える。

 

 昔はもっと弱っちい感じだったのに。

 

「誠一はあの子と本当に結婚するの? 」


 何故かちょっと緊張して訊く。


「うん、そうだよ」

 

 分かっていた返事なのに、痛かった。


「そうなんだ、癖が強そうだけど大丈夫なの? 」


 だから、少し嫌味を言う


「うん、でもすごく優しいんだ」


「そう、でも誠一にはあれぐらいがいいかもね。


 誠一は昔っから気弱だったから」

 

「そうだね」


 もう、昔には戻れないんだと感じた。


「そっか、じゃあもう出ますか」


「うん」


 私は早くここから出たかった。




「そうだ、誠一。私の事好きだったんだってね」


 店から出て、私の口から出て来たのはそんな一言だった。

 

「そうだよ、僕はずっと清ちゃんの事が好きだった。


 でも、あの頃は言えなかった。勇気がなかったんだ。

 

 そう、勇気がなかった」

 

 誠一の言葉に戸惑う。

 

「言うのが遅いわよ。私はもう結婚もして子供もいるんだから」


 私はそう言って自分を落ち着かせた。


「うん。清ちゃんは真面目で、僕は勇気がなくて……


 きっとそれだけの事だったんだよ」

 

 

 

 私は誠一と別れた

 

 

 

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