世界は我が唇に ~お前のキッスで世界がやばい~
不慮の事故で死んでしまった俺、陸。だがどうやらそれは手違いで起きた事故だったらしくそのお詫びとして他の世界に転生できる権利を得た。そこまでは良かったのだが。
「説明は以上です。なにか質問は」
「キスしたら大爆発ってどういうことですか!?」
さらなる手違いが。
「ご、ごめんなさい」
現在女神様とお話中。
「ごめんなさいじゃ済まないでしょ!」
「大丈夫! 子作りは出来るから! それじゃね!」
椅子についているボタンを押す女神。俺が立っている場所の床がなくなった。
「それじゃねって、おぉーーーい!」
そのまま地上へ落下する俺。
「あ、さっきも説明した通り今のあなたは超強いから落ちても大丈夫よ!」
「話はまだ終わって!」
「ズドン」
地上に到着。頭から落ちたが痛くも痒くもない。超強いというのは本当のようだ。
「良い人生を! パタン」
空にあった扉が閉まる。あの女神の野郎、無理やり追い出しやがったな!
「ハァ、どうすりゃいいんだ」
キスはダメで子作りはOKってどんなプレイだよ……。絶対身体目当てだと思われるだろうが! 生まれて15年。まだどちらの経験もなくこれからだってときなのに。
そこで、はたと気づく。
「そうか! 別にできなくても説明すればいいじゃない!」
「あ、キスの件、誰かに知られても爆発します。では!」
空の扉が開いたと思ったら直ぐ閉まった。言いたいことだけ言って。どうしてそんな細かいところまで設定されてるんだよ!
「はぁ、もういいや。とりあえず街に」
強い力を持っているとしても知らない場所、危なそうな場所にいるのは正直怖い。戦闘経験もないしね。とにかく安全な場所へ。トボトボと街道を歩き始めた。
「ん? あれは」
少し歩いたところで平原の方で人とイノシシのような魔物が戦っているところに出くわす。
「戦闘中か。おや? あれはエルフってやつかな。へぇ、噂には聞いていたけどやっぱ美人さんなんだな」
トクン
「ん?」
トゥンク
「こ、これは」
俺のハートが反応している。これはまさか一目惚れか。一生懸命戦っている美少女。そこに心を動かされたか!
「言ってる場合じゃないな」
エルフが少々劣勢か。あ、逃げ出した。早い早い。放っておいても大丈夫そうだったが念の為加勢することに。
ダッシュで魔物の元へ。
「ブゴッ!」
俺の接近に気づいた魔物は俺の方にターゲットを変更、襲いかかってきた。
「ズバン」
一閃。魔物の胴体と首は離ればなれに。そして大爆発。
「ドゴーーン!」
女神の話を思い出す。
「強くなりすぎたから敵を倒した場合、大爆発します!」
なんで強くなると倒した敵が大爆発するんだよ。ハァー。
(カ、カッコイイ。ハッ!)
先程のエルフがこちらを見ていた。
「大丈夫そうだったけど加勢させてもらった」
「は、はい」
「それじゃ」
「あ、あの」
「ん?」
「私、エルフの国から来たばかりで。右も左も分からないんでもし良かったらしばらくご一緒に」
「ははは、僕もここへ来たばかりでね。まあ、案内は出来ないけどそういうことなら街まで一緒に」
「はい!」
彼女のことを色々聞いた。名前はラフィ。150歳ってのにはおどろいたな。まあファンタジーだからな。
「話し方は変えないで」
「了解」
街につく頃には普通に話をするほど仲良くなった。
街のギルドで冒険者になる。次の日。
「それじゃギルドでお仕事もらおうか」
二人でパーティを組むことに。依頼をこなしていくと俺の意外な弱点がわかった。
「魔物討伐は、倒した魔物の部位を証拠としてギルドに提出するわけだけど、爆発しちゃうんじゃね」
これでは魔物討伐はできない。いろいろ試したがここらにいる敵は一撃必殺。お手上げだった。
「まあ、採集という依頼もあるし、ね」
励ましてくれるラフィ。
「なんとかやってくしかないか」
こうして、冒険者として次の人生をスタートさせた俺。今回は是非、平和で幸せな人生を。
無理かな。