表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/146

将軍

お化け村の近くに珍妙な人物が立っていた、そのライオンのような獣人は、肩が異様に盛り上がっており、見た人は、関わらない方がいいと思うかもしれない。

その名は、肩パット将軍。ヤミノオウの配下にして、四天王の一人。

肩パットをいくつも重ねてるおかしな獣人でもある。

「…なんだあいつは?」

あの村に、妙に明るいお化けがいるのを感じて来てみた、なんだあの明るいお化けは?

ヘラヘラ笑いながら、配下の者を投げておる。戸惑うばかりの肩パット将軍は、がくりとくる。

この肩パット将軍の肩パットが、思わず一つ落ちそうになったぞ。

ライオンの獣人である我の力を、見せてくれようぞ。

強い奴なら、歓迎なのだ。武人とは、得てしてそういうものかもしれない。

しかし油断は出来ない。ヤミノモノには、明るい光は、マジでヤバい。こちらを弱らせるのだ。

あのお方の邪魔物は、排除せねばなるまい。



肩パット将軍が、無造作に近づくと、もう一人の粗野なお化けが、立ち塞がった。

自信満々な所を見ると、あの明るいお化けの影響を受けて、暗さがない。


「このアバレお化けが、相手だ!」

「アバレお化けだと?ふざけておるのか」

生物の負の感情こそが、我々、ヤミノモノにとっての栄養なのに。

こいつらは、明るくてやりづらいかもしれない。


「お前、つよそーだな!俺様のアバレパンチを食らえ!」

素早い拳の乱れ打ちが、肩パット将軍を狙うのを、しかし、我の肩パットで受け流す!

「何だ、その肩パットは!?」

驚いてるアバレお化けを見てほくそ笑む。元カノ達が、肩パット将軍にくれた肩パットを、使いこなせていることに満足している。


「肩パットクラッチ!」

両肩のパットで、ガッチリつかむと、叩きつける!

「うおお!?」

「たわいのないやつめ……む?あの明るいお化けがいない!?」

肩パット将軍は、気づくのが遅かった。

「あひゃひゃ!?」

巧みに視角を突いたバケノジョーが、肩パット将軍の脇腹をくすぐっってきたのだ!

そこは弱い。マジでヤバい!やめちくれや!

身悶えながら我慢する。肩パット将軍は、ふざけてるのかと睨みつける。この天下無双の肩パット将軍をくすぐるなどと!


「今だ、アバレお化け!」

「おうよ、バケノ!あばれ山!」

アバレお化けが、我をつかんで、空中で投げて、地面に叩きつける。


「!ぐはぁ!」

くすぐられて、力が抜けたとこを、狙ってきたので堪らない。

甘く見ていたか。起き上がろうにも、追撃が来るのを、肩パットで受け流す!


「いぇ~い!」

「ふ、ふん、貴様は、この俺様がこらしめるのだからな」

「………」

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「どらくしょーバケ」

「我の上で、はしゃぐなー!」

「わはは!」

「何だこいつは、もう起きたのか!」

驚くアバレお化けたちを、気合いで吹き飛ばす。

「ふざけおって!我の肩パットを、外す時が、来たようだな!」

いくつもの肩パットが、地面に落ちて身軽になり、肩パットが一つに繋がり武器になる。そして、一気に踏み込み間合いをつめる。




「いてて!」

「うわはは、止めてくれー!」

お化けたちに、でこぴんをかまして、こっそり成り行きを見守っていたお化けたちを、苦しめる。

そのでこぴんの風圧だけで、ダメージを与えている凄さだが、でこぴんはないだろうと、お化けたちは思う。

「こいつがなんだか知らないが、バケノジョーだけにやらせるな!」

「わしたちもやるぞ!フガフガ」

「長老、入れ歯が外れてますよ!」

お化けたちも、バケノジョーたちを手助けしようと、あの手この手で止めようとする。


「ふはは!我は、このデコピンでこの地位まで成り上がったのだ!」

この一呼吸の内に、十発当てるデコピンに、みんな怯んで逃げたくなる。

この恐怖こそが、あの方の糧になるのだと。

そう思いつつ、次のターゲットを探す。



「このまま、村人全てに、デコピンをして、額を赤くしてくれるわ! 」

「きゃあ!」

「バケミ!」

「バケノジョーの妹か?そいつに、鬼のように痛いデコピンを当てて、吹き飛ばす!」

「バケミに、何をするんだ!」

「なにっ!?」

バケノジョーの体が、ピカピカ輝いて光を放つ!

「あいつは……まさか!」

ただの明るいお化けではなかったのか!?あの光は、あの忌まわしい女の……。

光に包まれて、肩パット将軍は吹き飛ばされた……。




……………気づけば、村からかなり離れた草原に寝そべっていた。

この肩パット将軍の肩パットをぼろぼろにするとは………いや、それよりも、あの光の力はまさか、あの光の女神の…報告せねばなるまい。

後、肩パットを壊して、元カノ達に謝らなくては…はは。

そう思いつつ、久々の敗北を愉快とかんじているのである。

強き者が、久方ぶりに現れたからである。




つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ