はじまり.4
「そうだ!旧校舎に行って見よう」
私は、殊更大声で言う。みんなは、きょとんとしてる。
「どうしたの、突然?」
「ハコちゃん、あそこにもあったよね、ピアノ」
「あ、うん。でも…」
古い教室にあるピンクは、音程が狂うのか放置されたままだ。
「薄暗くて、嫌だなー」
「僕と、どっちが黒いですかね?」
「どっちでもいいにゃ」
つむじの言葉に、呆れるミルクちゃん。つむじは、黒猫なのだ。
旧校舎は古く、一歩歩くたび、古い床がギシギシ。
「これは、年代物だな」
サトケンは、感心してキョロキョロしてる。
普段、来ることないしね。その内、取り壊すなんて噂もあるし。
ガタガタ。!?声も出せず、飛び上がる。
「ハコちゃ~ん!」
「ミカちゃ~ん!」
なんだ、ハコちゃんも怖いんだ。良かった。
二階の廊下の先の戸が開くと、誰か出て来る。
「……誰かいるのか!?」
その人は、いや人じゃない!あれは、標本模型だよ!
半分人間。半分透明。身体の仕組みが分かるようにね。
それが、手をあげて、がーって言いながら、追いかけて来る。
「きゃああああ!」
私が、逃げようとして、こけそうになる。
「おっと」
ユウくんが、受け止めてくれた。嬉し恥ずかし。
「にゃあ!」
つむじのねこぱんち!動くものに反応してしまったようだ。
ミルクちゃんも飛び付いて、猫キック!かかんな二人のお陰で助かったー。
「見たまえ!」
サトケンが、床を指すと、黒いなにかが、上の階へ逃げていったよ。
「大丈夫か、ミカ。追いかけよう」
「う、うん」
上の階は、やっぱり古くて、暗い。日が暮れていったってのもあるけどね。
てか、あの影はもしかして、ヤミノモノ?パパに教わったことがあるよ。
人々にストレスがたまりまくると、現れると言う。
つまり、ヤミノオウの目覚めが近い?やだなー、封印しに行くの。
「あ、ピアノの音」
ハコちゃんの言う通り。見事な演奏が聴こえる。
それだけで、怖さが薄れるような……。
みんなで頷き合うと、元音楽室へ行く。扉の窓のとこから中を覗くと、誰かがピアノの前に座り演奏している。
「よし、いこう」
いつまでも聴いていたいけど、ユウくんが、一気に扉を開き中へ入ると、ピアノを弾いていた人物が、びっくり。演奏を止めて、こちらを見る。
「……びっくりしたー!またお前たちか!」
その先生は、ノクターン先生。パターンかよ。
じゃなくて、ここでなにしてるの?
「……先生、ここでなにしてるんですか?」
「なにって、練習してたんだ。王都主催のコンクールのね」
先生のピアノの情熱は、止められないらしい。
「にゃーんだ。怪談話じゃにゃくて、先生が毎日、演奏してたのね?」
ミルクちゃんの言葉にノクターン先生は、弾きながら答える。
「そうですよ~」
「いや、普通に答えろよ」
サトケンは、マントをはためかせツッコミを入れる。
「……しかし、練習と言っても今日からだぞ?」
「え?」
「いつもは、ピアノ教室で、演奏させてもらってたんだが、個人のことで、学舎に頼みづらくてな」
しかし、学長が協力的なので、音楽室を使えることになったと。
「あれ、じゃああのピアノの噂は……?」
ハコちゃんが、呟いたその時、ピアノが勝手に、音を奏で始める!
ハコちゃん、フラグ立てないでー!
つづく




