首都ディーヴァ.2
キリの案内で裏手へ。そこにいくつも樽が積まれていて、それをどかすと、戸がついているので、それを引っ張ると地下への道が底まで続いていた。
「…暗いね」
眉をひそめるミカちゃんに、バケノジョーが肩を叩く。
「ドンマイ!」
「あなたは、前向きでいいね」
「まあ、それほどでも」
「褒めてないんだけど」
「……逆に?」
みんな、逆にってなにと、思いながらもキリにお礼を言って、地下へ降りていく。
「ありがとう、キリ」
「……いや、気をつけて」
キリに礼を言って、ハーベストも階段をゆっくりと下る。
「……すまない」
キリの静かな呟きは、ハーベストには、聞こえなかった。
「……案内したか」
「あ、ああ。しかし、命は助けて……ぐはっ!」
心臓を貫かれ倒れるキリは、絶命していた。
目が虚ろなディーヴァの兵士たちは、指揮官に道を譲る。
指揮官もディーヴァの騎士なのだが、目が虚ろだった。
そこは、暗い地下道だったが、ともしびちゃんとバケノジョーほ明るさのお陰で、足元まで照らしてくれて、大助かりのみんな。
しかし、何故性格の明るさが、外を、明るくするのか分からなかった。
ハーベストの案内で、地下を泳ぎながら、進むと地下芸人ヤミの騒がしさや、地下アイドルのどーみても普通の人だろうと、ツッコミたくなるルックスを自慢に歌うのと、ただの白Tシャツに下手くそなサインで、高値で売りつけられそうになったので、さすがにそれは辟易したミカちゃんだったが、イブキくんだけは違った。
「うひょお!アイドルのサインですかぁ!抱き枕はありますかぁ!?」
「イブキ、ちょろい?」
呆れたように呟くともしびちゃんにみんな、苦笑いしつつバケノジョーのお化け投げでこらしめてからのミカちゃんの浄化!
ヒカリノモノにして、光の魔力をためる。
「芸人もアイドルも大変だね」
「そうバケ。ミカちゃんなんて、光の巫女として、活躍してるからその内、グッズとかも販売されて、ファンも増えて、大変バケ」
「え~?そんなことないよ~」
ミカちゃんは、否定しながらも満更ではない。
それを聞いてイブキは、グッズを、買い占めないといけないと思うのだった。
「二人とも、早く行くのです」
のんびりしてるつむじに急かされちゃった。
それからも、ヤミノモノや、ヤミノモノが取り憑いた魔物をこらしめつつ泳いで行く。
「広いとこに出たわ」
地下空洞にこんな広い場所があるのかと、バケノジョーは、みんなで鬼ごっこをしたくなったが、多分してくれないだろうなぁと思いつつ、ふと気づく。
「囲まれてるバケ」
「ええ!?」
現れたのは、ハーベストの知る格好をした人魚の国の兵士たち。
素早い泳ぎで、囲まれてしまったのだ。
「どうして、ここが!?」
「見つけましたぞ、お姫様」
指揮官らしき男が一歩前に出る。そいつはハーベストにとって、嫌いな奴だった。横暴な指揮官と言う印象が強い。
「グロイサス!あなた、姫である私になにをしようと言うの?」
「くくく、うるさいんだよ、恵まれた分際でな」
「な!」
グロイサスは、確かに性格にもんだいがあるが、身分の上の人に対しては、礼儀正しいのである。
まあ、そうでなければ追放されていただろうが。
「あいつ、ヤミノモノに取り憑かれてるわ」
ともしびちゃんに言われて、目が虚ろなのに気づく。
「王のご命令だ。大人しくついてくれば悪いようにはしない。
逆らうと、貴様の幼馴染みみたいになるぞ」
「!あなた、キリになにをしたの!」
「ハーベスト、落ち着いて」
ミカちゃんが、宥めながらともしびちゃんに、目線で合図する。
「あいつの親を人質に、貴様がこの道を通るように見張っていてもらったんだ」
「酷いことをするのです」
「このおたんこなす!」
「やかましい!だが、あいつもようずみよ」
「!」
ハーベストのムチがしなるが、グロイサスの槍で弾かれる!
「このじゃじゃ馬が!逆らうなと言った!」
素早い泳ぎで、ショルダーチャージ……を、つむじが前に出て防ぐ!
「なに!?」
間合いをとるために離れるグロイサスは、槍を一振り。
ニヤリと笑うので、ミカちゃんは顔をしかめる。
おっさんの不気味に笑う表情は苦手だと思う。
「どいつもこいつも逆らいおって。やれ!」
兵士たちに合図すると、無言でこちらに迫って来るので、そこでミカちゃんの合図だ。
つづく
こつこつ書いて、3500PV突破しました。
これからも。こつこつ低空飛行で書いていきます!
途中で三人称にしてすみません!
どうやら、そちらの方が書きやすいのかもしれません。




