アガレスク解放..3
ミカちゃんたちは、その頃温泉に入っていた。
海の中で、温泉とはおかしなものだが、水の中でも慣れてくると、地上の生活とあまり変わらない。
無意識に潮の流れを読んで泳いでいるからだ。
ルイカスにかけてもらった水の中でも息が出来る魔法のおかげで、積めたさもかんじないが、この温泉は、どういった原理で、熱いのか?
「にゃーん♪」
「ちょっと!温泉でもじゃれつかないの!」
ともしびちゃんと、フローラル。そして、子猫たちと入り、戦いの疲れを取る。
ともしびちゃんは丸いから、じゃれつきたくなるのも分かる。
衝立ての向こうでは、つむじたちも入っているのだろう。
「こんなに、まったりして大丈夫かなー?」
「いいのいいの。大人の争い事に巻き込まれてるんだから。
早いとこ水の神殿に行ったら、次の神殿へ目指すわよ」
「そうだね」
そう答えたものの、それでいいのかとも思う。
ガバラン帝国ホテルなる品の無さそうな国は、世界を支配しようとしてるのだ。
「でも、イブキがいなくて良かったわー」
「どうして?あのウサギさん、変わってて面白いけど?」
「甘いわね。フローラルはまだあの男のスケベさに気づいてないのよ」
「スケベかー。それは駄目よ」
前世のことを思い出して、フローラルは苦々しくなる。
私は、セクハラの根絶を目指すわよと、心の中で決心する。
ミカちゃんたちは、ゆっくり休み。ガールズトークに花を咲かす。
「みんな、逃げろー!」
ルイカスは、ハーベストをお姫様抱っこしたまま、あわててはなれると、人魚にハーベストを任せる。
「ハーベストを頼む!出来るだけ街から離れて」
「ルイカス様は、どうなさるので?」
「あのでかいのを、どうにかしないと、街の人々が危ない」
そうこう話してる討ちに、どんどん膨らんでいくトライフグは、勝ち誇った顔をしている。
あの憧れていたハリセンボンになれたのだから、嬉しくて堪らないのだ。
「イブキ、力を貸してくれ!」
「しょうがないですなぁ」
仕方無さそうに言うと、青いニンジンを構える。
これは、アガレスクで購入した、青いニンジン。ヤミノモノで試したところ、魚になって逃げてしまった。
「よし、みんなで追い出すぞ!」
ルイカスの号令の元、レジスタンスや、飼いとぬいぐるみたち。
そして、活躍すれば女子にモテると、信じて疑わないイブキの猛攻が迫るが、中々、トゲトゲしてるとこを避けて、触るのは大変だ。
しかも、トライフグの帆かにもゴーレムもいるから、ピンチだ。
「あれ、使えねえか?」
カイワが見つけたのは、帝国潜水艇。トライフグのだろうか。
大砲がついているのを見ると、イルカに変身して、囮になる。
「みんな、大砲でこうげきしてくれ。僕はこいつの気を引き付ける!」
「はっ!」
レジスタンスの何人かは、帝国潜水艇に行こうとするが、トライフグか邪魔をする。
「させるかよー!」
こちらを潰そうとやってくるも、イブキがニンジンでつつく。
「そりゃ、そりゃ!」
「おのれ、下賎なものめ!つつくな、危ないだろう!」
……危ない?もしかして。イルカの姿で牽制しつつ、レジスタンスの一人に目をつける。人間の姿に戻り話しかける。
「すまない、君のエストックを貸してくれ」
「は、はい。どうぞ」
レジスタンスの一人が渡してくれたのは、レイピアよりも大きい両手持ちの武器だった。
アクアデル王国の紋章が、柄の部分に彫られた物で、そのレジスタンスの人は、元アクアデル王国の兵士で、アクアデルが制圧されてから、レジスタンスに入った人だ。
「ありがとう」
国のために戦ってくれてと、心の中で付け加えて、エストックを構える。
ルイカスが、アイコンタクトで合図を送ると、カイワたちぬいぐるみたちが、牽制する。
「はあああああああ!」
全魔力を集中して、貫く!
「トライフグ!覚悟!アクアニードル!」
海流の流れに乗って、貫く!ハリセンボンが、針を飛ばすが怯まず進んで突く!
「ぐがあああああああああ!」
貫いて、風船の空気が抜けたように萎んでいく。
「おのれぇぇぇぇぇぇぇ!私を倒したところで、もうゴーレムは止まらぬぞ!」
ひょろひょろと落ちながら言うけど、その通りだ。
トライフグを倒したところで、ゴーレムの勢いは止まらず、味方は苦戦している。
しかし、その時助けが現れた。巨大なタコと巨大なうつぼたちが現れたのだ。
「おろろーん。助けに来たぞ!我が名は、オロローンジャスティス!」
「あれは、ユラユラコンブ村の人ですなぁ!」
「ワカメとコンブの助けが来たぞ!」
カイワや、レジスタンスの歓声の声が上がる。
「きゃはははは!お兄ちゃん、やるわよー!」
「あまりはしゃぐなよ、妹よ」
うつぼくんとうつぼちゃんが、ゴーレムをビシバシ叩いていく。
アカシアン=タコニストも、ゴーレムたちを縛り上げる。
「ルイカス王子、助けに来たタコ!」
あの制服マニアのアカシアン=タコニストもはりきってゴーレムを、ぐるぐる巻きにする。
コンブオーやワカメイリンたちも、しっちゃかめっちゃかしている。
これでなんとかなりそうだが、油断しないようにしなくては。
つづく




