迷いの森
「おーい」
………。
「おーーい!」
……………。
「おいこら!」
誰?ミカちゃんを起こすのは?王子様?
「ともしびちゃんのお~な~~り~~~!」
ミカちゃんを起こすのは、ともしびちゃんでした。ぺしぺし叩かないの!
「ここはどこ?私は誰?」
「あ~ん?寝ぼけてんのか、このかわいこちゃん!」
口が悪いのか、褒めてるのか分からないけど、立ち上がりキョロキョロ見て、森の中にいるのがわかった。
そっか。旅に出たんだっけ。
「…森?」
なーんか、薄暗いなぁ。どこの森かしら?お母さんに叱られたお父さんみたいに薄暗いかも。
そんなのんきなことを考える。
「えへへ、迷いの森でーす!」
ともしびちゃんが、努めて明るく答える。
そんな、道に迷ったり、人生に迷ったり、優柔不断の人に出会ったりするあの古代の森!?どんな森だ。
一説によれば、別れたくない元嫁に追いかけられたダークエルフが、呪いをかけて逃げ切ったとか。
ダークエルフと言うのは、日焼けばかりして、真っ黒になった人……だっけ?
ミカちゃんの知識は、間違った覚え方をしてるかもしれない。
この子のせいだ。この子の魔法で、
飛ばされた?
「そうだ!お父さんは!?お母さんやみんなは!?」
ユウくんにハコちゃんが、大丈夫か心配だ。
震えそうになったとこを、ともしびに励まされる。
「落ち着けってーの!光の神殿の神官たちがいるからへーきよ!」
「………そっか。そうだよね。お父さんはともかくお母さんの光の力は強いし、お母さん怒ると怖いし」
「ママさん聞いたら、怒るわ~」
「そうだ、つむじは?」
一緒にいるはずのつむじがいないことに今更ながら気づく。
美味しい木の実でも探しているのかしら?まさかね。
「一緒に飛ばしたときに、はぐれたのね。よくあることよ」
ないだろ。なに、すましているのかしら、この玉ころ。
口に出そうとしてつぐむ。
「……」
ミカちゃんは、黙ったまま歩き出す。ともしびちゃんが、話しかけてくるけどスルー。だって、悪びれてないんだもん。
「ちょっと、無視しないでくれる?とーへんぼく!」
「うるさいなぁ!友達を探してるんだから、邪魔しないでくれる」
ミカちゃんたちは、お互いにそっぽを向いて歩くけど、そこへがさがさと、草木をかき分けて現れたのは、「ヤミノモノ!ここにもいるの?」
「ヤミミミミミ!」
「ど、どうしよう!」
「さあ、私はうるさいらしいから、自分で、どうにかしな」
そう言って、そっぽを向くともしびちゃんに腹立つのだ。光の神器って、器小さいなとも考える。
ジリジリと下がるミカちゃんに、ヤミノモノたちは、迫って来るわ!
「嫌よ。捕まって、変顔する呪いなんか、かけられたくない!」
ガイウスの冗談を真に受けてるのか、そんなことを口走る。
「バカ!」
飛びかかるヤミノモノに、体当たりでぶつかり、ミカちゃんを守ってくれたともしびちゃんがそっぽをむく。
「ありがとう、ともしびちゃん!」
「ふ、ふん!勘違いしないでよ。あなたが負けちゃうと、私の存在も眠りについちゃううんだから」
そう言いながら、精神を集中してと言う。
でないと、私が力を発揮出来ないそうだから、気合い、入れます。
「うむむむむむむむ!」
私の身体が、光輝き出した!?まさかのモテオーラ……な訳ないかと思う。
「今よ!私に力を込めて!」
「こ、こうかな?」
ともしびちゃんに手をかざすと、光輝いて、ヤミノモノに体当たりです。
「ヤミミミミミ!?」
ヤミノモノの黒さが消えて、明るく輝いた。闇を払ったのである。
「これで、奴等の闇は、浄化したわ。ヒカリノモノになったから、人々の喜びになるはずよ」
「ほへー」
そんなことがあるのかと、力が抜ける。
「…そう。あのね、ともしびちゃん。さっきはごめんね」
「いいの。私も大人気無かったわ」
二人は、顔を見合わせて笑うと、つむじを探すことにした。
こんな場所に一人じゃあ危ないし。
お父さんが、ストレス発散のために、ダジャレを叫ぶみたい位危ないよ。
あの寒さに神官の人たち、引いてたが、ガイウスは気づかない。
ダジャレが面白いものだからと。
「でも、つむじのことだから、何か食べてるかもね」
「それは、ありうるわ」
今頃、くしゃみしてるかしら?ミカちゃんたちは、顔を見合わせて笑う。
ぼっちの旅じゃなければ、どうにかなるかな?
つむじを探しながら、そんなことを思うのだ。
ーつづくー
これ以前、加筆修正してます




