表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/146

光の巫女


迷いの森。それは、人生に迷っている人々を惑わす森で、エルフやダークエルフが住んでいます。

他には、オカサーファーと言う森の精霊達が、夏に川で、遊び始めると、川開きになるそうだ。




「はぁ。何でこんなことになっちゃったのかなぁ」

鬱蒼と繁る森の中を、一人の女の子が、木々をかき分け歩く。

ショートカットの髪の毛に、日ノ本の国特有の黒色の髪。上等な布で作られたパーカー。そして、旅人の杖。


ハシマ=ミカは、ため息一つ。

辺りは、薄暗い森の中で、フクロウが、ホウホウ鳴いているの。

「か弱い女の子に、こんなとこいかせるなんて」

プンプンと文句を言う女の子は、とても、光り巫女とは思われないだろう。




一週間前の朝のこと、朝寝坊して、学校に行く準備していたら、父、ガイウスがやって来て、しばらく学校に行かなくていいと言うので、ミカちゃんは驚いてしまう。

ガイウスは、ダンベルで筋トレしながら寂しそうに語る。

ムキムキなので、司祭と言うよりは、神官騎士の方がまだ、納得が行く風貌の彼は、悲しそうだ。




「君は、光の巫女だ!封印が解けそうなヤミノモノの王、ヤミノオウを封じて来たまえ」

いきなりだろう、おい!と、内心ツッコミを入れたくなる。昔読んだ、童話の始まり方みたい。

国王のたった一言で、人生が変わるなんて、凄い物語だと思ったものだり

「ええ!?知らないよ私、そんなのパパが行けばいいのよ!」

娘より明らかに強そうな父より、花のJkにもうすぐなる私が行くなんてと、呆れる。無茶だと、頬を膨らませる。



「パピーと、呼んでくれと言ってるだろう。それにパピーは、ママとイチャイチャ……おほん。

パピーは、神殿のお仕事で忙しいのだよ」

「今、イチャイチャって言ったろ?」

「言ってない、言ってない」

そう言いながらパパは、光輝く玉を渡してくる。目を反らしながら。


「これって、光の神器?じゃない」

「それを、スーパーボールみたいに跳ねさせない!」

「こんなおもちゃで、何をしろと?」

明らかに、期限が悪い。

「何よ、このスケなめてんのか!」

「わわっ!?玉ころが、しゃへった!」

「玉ころじゃないわ!光の神器のともしびちゃんよ!」


ともしびちゃんは、ヤミノオウが復活しそうになると、目を覚ますそうだ。かわいいオメメと口がついてる。悪口ばかりしゃべりそうな口が。睨み合う二人。



「あんたが、トンチキパパの娘?あんたのパパには、苦労させられたわ~」

どうでもいいけど、この子口わるいなぁ。このご時世に、大丈夫かしら?

そう思うものの、それを口に出せば、けんかになりそうなので、黙っている。



「やあ、ともしびちゃん。パピーのこと覚えてくれてたかな?」

「…相変わらず、ノーテンキーな奴ね!」

「はは、よく言われるよ」

「ほめてないんだけど…」

「まあ、光の神殿の神官は、明るくなきゃな、ははは!

ま、ともかく今回は、うちの娘をよろしく!」

「………」

しょうがないと言った感じで、ため息を吐く。

なんで、意思があるのだろうと言う疑問は黙ってる。



「ま、まずはこの国の人々から、光を分けてもらってからね」

ともしびちゃんは、人々の明るさを、ちょっぴり食べて元気になるのだ。




今日は、学校に行かずに、旅の準備だ。トボトボと畦道を歩きながら、花のJkライフがぁと、内心嘆く。




村の雑貨屋で、道具を揃えてると、ふと気づいた!

「バナナって、おやつかしら?」

「遠足気分じゃ、ねーぞ、こら!私の分のバナナもくれよ、こら!」

口が悪いなぁ。誰に、似たのかしら?パパかな?



帰り際、何時も、みんなと遊ぶ公園に、つむじがいた。

猫族の少年で、よく食べる。灰色の猫だ。

ユウくんも、ベンチで、読書していた。幼馴染みで、ミカちゃんの片思いの相手。


声をかけようとしたけど、何て言えばいいのか。

ミカちゃん自身、まだ、実感湧かないし。しばらく、遠くからユウくんのこと見てた……。

私が旅に出てる間に彼女が出来たらどうしようと。




帰る途中、ちょっと遠回り。村の景色を、焼きつけておきたいから。

「相変わらず、退屈な村ねー」

「この村のこと、よく知ってるの?」

「まあね」

退屈そうに、あくびをすると、雲一つない空を見上げる。

ヤミノオウが、復活しようとする度に、ともしびちゃんは、光の巫女と旅をして、ヤミノオウを封印したと言う。




「…ミカちゃん!」

「ハコちゃん!」

小走りで駆けて来たハコちゃんは、雨女なので、一緒に雨雲も追いかけている。


ハコちゃんの傘に、一緒に入りながら、送ってもらう。

「…聞いたよ」

「流石、村ね。噂の広まり、はやっ!」

わざと、明るく振る舞って、寂しさを隠す。

「……光の巫女だもんね」

「そうみたい」

「気をつけてね?」

「うん!帰って来る頃には、ハコちゃんに彼氏が出来てるかもね?」

「もう、やだ!」

軽く、肩を叩かれる。ハコちゃんの好きな人って、誰なんだろ?

憧れのシチュエーションとかするけど、特定の人のことは、恥ずかしがって、教えてくれないんたよな。



「じゃあね」

「うん、またね。また会おうね、ミカちゃん」

家の前に着いたので、お互いハグをして笑顔で、別れる。

ハコちゃんと共に、雨雲も去って行く。寂しいな。しばらく会えないのかー。




「別れはすんだか?」

バイバイと手を振るミカちゃんに、静かに言うともしびちゃん。

「何で、会話に入って来なかったの?」

「…野暮なことはしないの。しばらく、会えないんだから、ガールズトークを楽しめばいいのよ」

以外と、いいとこあるじゃん。照れくさそうにしてるともしびちゃんを見て、微笑んだ。







「来たぞ!」

「奴等が来たぞ!」

「燃えてきたー!」

「?」

次の日朝のこと。このありきたりな展開は、嫌な感じだ。寝癖を気にしてる場合ではないらしい。


「あー、ヤミノモノがもう、嗅ぎ付けてきたか」

「どういうこと?」

だるそうにしてないで話しを急かしたら、ともしびちゃんの光を感じて、ともしびちゃんを、捕まえに来たのだそうです。



「ミカ!早く旅に出ろ!」

「パパ、部屋に入るときは、ノックして!」

「パピーと呼んでくれと言って…」

「あなた!こんな時に、ふざけてないでよ!」

「はい!」

ママの葵が真剣なので、パパも真剣な顔…三秒ほどしか持ちませんが、すぐに、のんびりした顔になる。



「ミカ、色々思うことがあるだろうけど、気をつけてな」

「お父さん」

「ミカ、大丈夫。あなたならやれる。私の子だもの」

「お母さん」

二人に抱きしめられて、暖かい温もりを感じる。

懐かしいな。小さい頃、よく感じた暖かさ。

「ともしびちゃん、ミカを頼んだわよ!」

「あいよ、ママさん。頼まれたわ」

ミカちゃんがためらっていると、パパが背中を押す。

「早く行くんだ。奴等に捕まると、一週間は人前で、ダジャレを言わされるぞ」

それは、地味に嫌です。冗談で和ませようとしてくれてる。

ああ、私のスクールライフが………と?神殿の入口には猫族のつむじが、ししゃもパンをもぐもぐしながら待っていた。

「おはようなのです」

「うん、おはよう。どうしてここに?」

昨日、学校は休むって伝えてたのに。

「パピーさんに、護衛を頼まれたのです」

「え、パパが?」

あんにゃろ、勝手なことを!つむじは、確かに家が道場で、猫流の武術の使い手なんだけどね。


「ミカ」

あ、ユウくんにハコちゃん。

「二人共、大丈夫だった?」

「ああ、旅立つって聞いたから見送りに来た」

流石、ユウくん。こんな時でも爽やか。

「これ食べて!」

ハコちゃんが、お菓子の包みを渡してくれる。

あ、つむじの目が輝いている。食いしん坊さんになってる。



「脇役ども、別れはすんだか?来るわ!」

ともしびちゃんの警戒の声に、ユウくんが前に出る。自分にも出来ると。



「ヤミミミミミ!」

黒い丸いヤミノモノたちが、やって来る。あれが、ヤミノモノ。

「さあ、ここは任せて!モブの俺でも友達を守る!」

こんな時でも、爽やかに言われると、ときめいちゃうけど、心に留めておく。

「こらこら、一般市民は避難しなさい」

えらく真剣なお父さんとお母さんが、ミカたちをかばうと、早く行くよう促す。


「でも…』

「でもも、ヘチマもねぇ!」

でも、ミカちゃんはみんなとまったり過ごしたいのと、言おうとして、何だかともしびちゃんの光の力で、遠くまで飛ばされる!

展開、早いな。ミカちゃんは、飛ばされた反動で、意識を失うのでした。空気を切り裂き、風の精霊に見守れながら空を飛ぶ。




「ここは、どこ?」

気づいて見回すと、深い鬱蒼とした深い森だった。

………………………………………………。

気づいたときには、深い森の中にいたのでした。




ーつづくー





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ