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53話 暴走

「あれは……!」


 彼方を見ると、竜の影が5つ。

 その背に乗る、フル装備の騎士の姿。


 間違いない。

 正規の竜騎士だ。


 街の外とはいえ、エンシェントドラゴンなんてものがこれだけ暴れているのだから、気づかないわけがなくて……

 おそらく緊急出動がかかったのだろう。


「囲み、連携で追いつめろ! 相手は伝説の竜だ、決して無理、無茶はするな!」

「「はっ……!!」」


 隊長らしき人の合図で、四騎の竜騎士が四方に散開した。

 それぞれの武器で攻撃をしつつ、しかし深追いはせず……

 囲み、じわじわと追い込むように攻撃を叩き込んでいく。


 その間に隊長らしき竜騎士がこちらにやってくる。


「君たちは……」


 ユスティーナを見て、隊長らしき竜騎士はぎょっとしていた。


「自分は竜騎士学院の生徒のアルト・エステニアです。あちらは、アレクシア・イシュゼルド」

「なるほど、確かにその制服は学院のものだ。しかし……その……君の竜は?」

「ボクはアルトの竜だよ。ユスティーナ・エルトセルク」

「なっ……では貴方が……!?」


 ユスティーナのことを知っているらしく、隊長らしき竜騎士の口から驚きの言葉がこぼれた。

 立場上、上のこと……竜の情報も入ってくるのだろう。


「私は竜騎士第3部隊の副隊長を務める、アラン・ランドールだ。正体不明の竜が近づいていると聞いて、様子を見に来たのだが……いったいなにが起きている?」

「それは俺もわかりません。校外試験の途中だったんですが、どこからともなくエンシェントドラゴンが現れて……あと、その背に乗るのも同じ学生ですが、様子がおかしくて……」

「なにかしら原因があると思うんだよね。竜も人も無意味に暴れるなんてことはなさそうだから、殺すなんてことはしないで無力化したいんだ」


 ユスティーナがそう補足をした。


「ええ、そうですね。エルトセルク殿の言う通りでしょう。我々は竜騎士だ。竜を殺すようなことは極力避けたい。しかし、その方法については?」

「逆鱗を破壊したんだけど、それでもあの竜は活動を続けているんだよね。ってことは、考えられる原因は一つだけ。なにかがあの竜をのっとり、操っている」


 逆鱗は身体機能の管理、維持する装置のようなものだ。

 他にも予備装置はあるが、逆鱗の果たす役割は大きい。

 逆鱗を失えば、ユスティーナといえ行動不能に陥ってしまう。


 しかし、エンシェントドラゴンは活動を続けている。

 それは自身で身体機能を制御しているのではなくて、外部からの介入があるからだろう。


 ……と、ユスティーナはそんな推測を口にした。


「なるほど、可能性は高そうですね」

「ただ、その原因をどう特定すればいいかわからなくて……うぅ、どうしよう?」

「あの……」


 傍でじっと話を聞いていたアレクシアが、おずおずと挙手した。


「うまくいくかどうかわかりませんが、わたしに考えがあるのですが……」




――――――――――




 テオドール・アストハイムは夢を見ていた。

 伝説のエンシェントドラゴンに乗り、ライバルであるアルトに戦いを挑む。


 敵は優秀な竜騎士候補生。

 そして、騎竜は最強と言われているバハムート。


 普通に考えるならば敵わないだろう。

 しかし、騎士も竜も共にまだまだ発展途上。

 付け入る隙は十分にあり、互角に近い戦いを展開することができた。


 勝てる。


 テオドールは夢うつつな意識で、ニヤリと笑うが……

 次の瞬間、ふと疑問に思う。


 なぜ勝とうとしているのか?

 そもそも勝負はついたのではなかったのか?

 もう戦う意味なんて……


 そんな疑問を抱いたところで、テオドールの胸になにかが流れ込んできた。

 怒りの感情だ。


 それはエンシェントドラゴンの心。

 なぜか知らないが、この竜は正気を失っている。

 体のコントロールも効いていないらしく、なにかが竜の体を勝手に動かしていた。


 それでも、竜の意識は残る。

 心は残る。

 その心は……怒りで満たされていた。


 なにに対しての怒りなのか、それはわからないが……

 震えて、立ちすくんでしまいそうになるほどの激しい怒りだった。


 止めなければならない。

 テオドールは朦朧とする意識の中、そう思うが……

 しかし、体の自由は効かない。

 意識もどんどん薄れていく。

 そもそも、なにを考えていたのか、それすらもわからなくなる。


 誰か……


 消えゆく意識の中、助けを求めるように声を出す。

 そして……


「テオドールっ!!!」


 彼の助けに応じる者……アルトが現れた。




――――――――――




 アレクシアの話によると……

 何度か交戦している最中、エンシェントドラゴンの口の中に宝石のようなものが見えたという。

 宝石からは触手のようなものが伸びて、エンシェントドラゴンの喉の奥の方まで張り付いていたとか。


 どう考えても怪しい。

 念の為にユスティーナに確認したが、そんな器官は竜に存在しないという。


 ならば、その宝石のようなものがエンシェントドラゴンを支配して、操っているのだろう。

 そう判断して、目標を変えることにした。


 アタッカーは俺とユスティーナ。

 正規の竜騎士がいるが……

 俺はともかく、ユスティーナの力は圧倒的であり、エンシェントドラゴンを相手にする場合は彼女がいないと話にならないという結論になった。

 そんなユスティーナは俺以外を背中に乗せるつもりは欠片もないらしく、俺も一緒に戦うことになった。


 もちろん、それは望むべきところだった。


 短い時間で作戦を組み立てて……

 そして、第3ラウンドが開始された。


 まずは他に注意を向けるために、竜騎士たちが攻撃をしかけた。

 さすが正規の竜騎士というべきか。

 巧みな連携を見せて、エンシェントドラゴンを翻弄する。

 そして、合間にアレクシアが全力の魔法を叩き込む。


 相手が伝説の存在ということもあり、決定打を与えることはできない。

 それでも竜騎士たちは攻撃を続ける。

 微弱ではあるがダメージは蓄積されて……

 そして、エンシェントドラゴンの体力も削られていく。


 少しずつではあるが、エンシェントドラゴンの動きが鈍ってきた。


 俺とユスティーナは、その様子を……

 遥か上空……1000メートルほどの位置から見ていた。

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