446話 バカップルは最強
「なあ、アルト」
ふと、グランが声をかけてきた。
「俺ら、いつも通りに過ごせばいい、って言ったよな?」
「ああ、そうだな。だから、いつも通りに過ごしていたんだけど……」
「そのいつも通りが、すでにもう、バカップルの中のバカップルなんだよ。お前達は」
「なん、だって……?」
俺達が、バカップルの中のバカップル……?
そんなバカな。
確かにユスティーナのことは好きで、いつも一緒にいたいと思っている。
でも、バカップルと言われるほどイチャイチャしているわけではない。
ちゃんと節度はわきまえているつもりだ。
「……なんてことを考えているんだろうが、ぜんぜんわきまえていないからな」
「むう」
グランにそう言われてしまい、反論が消えてしまう。
そう言われると、わきまえていない気もするが……
いやしかし……
「って、今はそれどころじゃないか」
始祖竜がとても不機嫌そうにしているから、そちらをなんとかしないと。
「あー……ひとまず、部屋に行こうか?」
――――――――――
グラン達はなにか用があるらしく、途中で別れた。
俺、ユスティーナ。
そして、ノルンとメルクリア。
最後に始祖竜。
五人で寮の部屋に集合する。
「で……なんなのさ?」
始祖竜からのジト目。
なんなの、と言われても……
「なんのことだ?」
「なんのこと?」
「この二人、自覚がないよ!!!」
始祖竜が頭を抱えて叫んだ。
「パパとママ、らぶらぶだったねー」
「そっかなー? ボク達、ラブラブだった?」
「うん、らぶらぶだった!」
「えへへー、そっかー。ラブラブかー。メルクリアは偉いね」
「えへへー」
「そこ! 娘ともイチャイチャしない!」
なぜか始祖竜が怒る。
今のは、ほんわかするやりとりだと思うのだけど……
「あーもうっ!」
とてもイライラした様子で、始祖竜は頭をガシガシとかいた。
ふむ。
グランは、俺達がすごいバカップルと言っていたが……
自覚はないのだけど、そのせいで苛立っているのだろうか?
でも、苛立つ理由がわからない。
「君ら、あれは演技じゃないの?」
「「?」」
「あの、とんでもないバカップルっぷりだよ。あれは演技じゃないの? って聞いているのさ」
ユスティーナと顔を見合わせる。
そして、同時に小首を傾げた。
「「素だけど?」」
「うだぁああああああああ!!!」
叫び、
「あれが素って、もうおかしいでしょ! 色々と!!!」
ゴンゴンゴンと、柱に頭をぶつけ始めた。
「あうー?」
なにしているの? という感じで、ノルンが小首を傾げるのだった。
アニメ化記念で、ビーストテイマーのスピンオフを書いてみました。
↓になります。
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