表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
422/459

418話 ごめん

「それと、ごめん」


 謝罪も忘れない。

 しっかりと頭を下げた。


「あう……?」

「ノルンは怒っているんだよな? 俺たちが、その……二人のことしか考えてなくて、ノルンをほったらかしにしていたから」

「あうー……」

「ひどい話だ。反省したよ……俺たちはノルンの保護者なのに、そんなことをするなんて。いや。保護者じゃなくても、ひどいことだったと思う」


 恋人ができたからといって、友達付き合いをやめてしまったら?

 それは自分たちのことしか考えてなくて、周りが見えていないバカな行為だ。


 そのバカな行為を俺とユスティーナはしていたわけで……


「ごめん」

「ボクもごめんね……」


 ユスティーナと一緒に再び頭を下げた。


「あうー」


 ややあって、ノルンはにっこりと笑った。

 そして、俺とユスティーナの間に入り、それぞれ手を繋ぐ。

 それから繋いだ手をブンブンと振り、楽しそうにジャンプをする。


 よかった、許してもらえたみたいだ。


「ユスティーナ」

「うん?」

「二人の時間も大事だけど、ノルンと一緒にいる時間も大事だよな」

「うん!」


 ノルンの笑顔を見ていると、よかった、と心の底から思う。

 信頼を裏切らないように、笑顔を曇らせないように。

 周りをしっかりと見て、がんばっていかないといけないな。


「それじゃあ、帰ろうか」

「いや、ちょっと待った」


 ユスティーナは踵を返そうとするが、それにストップをかけた。


 話によると、ノルンは怪しい男たちについていった、とのことだったけど……

 その男たちはどうしたのだろう?


 不思議に思っていると、


「あっ、いたぞ!」

「逃げようとするなんて、いい度胸だな!?」


 どこからともなく二人組の男が現れた。


 その外見は……うん。

 怪しいの一言に尽きる。

 悪党というのはこんな姿をしているのだろうな、というのを体現しているかのようだ。


 俺とユスティーナは同時に動いて、ノルンを背中にかばう。

 それから男たちを睨みつけた。


「なんだ、お前たちは?」

「はっ? それ、俺らのセリフなんだけど」

「おい、そのガキを渡せ。それと、さっさと消えろ。でないと痛い目を見るぞ」

「……」


 典型的な悪党のセリフに、ついつい呆れてしまう。


 どうやら、こいつらはノルンを誘拐しようとしたらしい。

 見た感じ、本当に小悪党なのだろうけど……

 だからといって、見逃すわけにはいかない。

 次の事件を引き起こさないため、しっかりと捕まえておかないと。


 驚異や圧は感じない。

 武器は持っていないが、素手で問題ないだろう。


 すぐに制圧をして……いや、待てよ?


 ふと思い直して、ノルンを見る。


「ノルン」

「あう?」

「ちょっとだけでいいから、元の姿に戻ってくれないか?」

「あう!」


 ノルンはびしっと敬礼してみせた。

 どこで覚えたんだ……?


「おっ、ガキが自分から戻ってきたぜ」

「へへ、安全のために売り渡すか。悪くない選択だな」


 男たちはなにか勘違いしているらしく、共に笑うのだけど……


「んー……あう!」

「「……は???」」


 ノルンが本来の姿に戻ったことで、男たちの目が丸くなる。

 ピタリと、時間が静止したかのように動きが止まる。


 そして、


「「ぎゃあああああっ!!!?」」


 男たちの悲鳴が街に響くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ