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397話 ダブルデートの誘い

 翌日の朝。

 いつものようにユスティーナとノルンと一緒に登校していると、テオドールと出会う。


「やあ、おはよう」


 王子と勘違いしそうなほど、さわやかな空気をまとうテオドールだけど……

 今日は一段とさわやかな笑顔を浮かべていた。


 それに、とても気分がよさそうだ。

 なにか良いことが……あったか。


 クラリッサ先輩のことがあり、毎日が幸せなのだろう。


 わかる。

 俺も、ユスティーナと付き合うことができた後は、何気ない日常がキラキラと輝いて見えたものだ。


「おはよう」

「おっはよー!」


 俺は普通に、ユスティーナは元気に挨拶をした。

 それから三人で一緒に歩き始める。


「俺達を待っていたように見えたけど、どうかしたのか?」

「やれやれ、アルトは鋭いね」

「ボクは、テオドールがわかりやすいだけだと思うけどな」

「む……エルトセルク嬢は厳しいね」


 テオドールは苦笑して……

 それから気持ちを切り替えた様子で、本題に入る。


「実は、今度クラリッサとデートをすることになったんだ」

「へえ、よかったじゃないか」

「初デートだね! 初デートは大事だよ、しっかりとね」

「ああ……ただ、そのことで相談があるんだ。いや、提案かな?」

「うん?」


 テオドールの言いたいことが、いまいちよくわからない。

 なんだろう?


「実は……うん、そうだね。二人に回りくどい話はしない方がいいだろう。ストレートに言うが、ダブルデートをお願いしたいんだよ」

「「ダブルデート?」」


 俺とユスティーナの疑問の声が重なる。


 「相変わらず仲がいいね」とテオドールが苦笑して……

 それから、今の発言の真意を説明する。


「彼女との初デートだ。うまくエスコートして、たくさん楽しんでもらいたい。ただ……情けない話だけど、その自信がなくてね」

「テオドールらしからぬ発言だな」

「女性に対する礼儀などはしっかりと学んでいるという自負はあるのだけど、楽しいデートとなると、そちらは勉強不足でね……こうなる前に、もっと色々と学んでおけばよかったと思うよ」


 そうなのだ。

 テオドールは女性に優しく、その扱いに長けていて、完璧なデートプランを用意できると思われがちなのだけど……

 しかし、女性と付き合った経験がないため、知識と経験が足りていない。

 普段からナンパをしていたわけでもないので、こういう時は困ってしまうのだろう。


「でも、なんでダブルデートなの?」


 ユスティーナのもっともな疑問に、テオドールは苦笑しつつ答える。


「二人の恋人らしさに助けてほしい、というか……アルトとエルトセルク嬢はとても仲が良いだろう? それを参考にさせてもらいたい」

「えへへー、仲が良いなんて、そんな本当のことをー」


 ユスティーナがくねくねしつつ照れていた。


「それと、情けない話だけど、クラリッサと二人きりになった時、どうしていいかわからなくてね」

「なるほど。その気持ち、よくわかる」


 俺も、ユスティーナと二人きりになると、色々と迷うことが多い。

 恋人になってからは特にそうだ。


 妙な照れを感じてしまうというか……

 時々、頭が真っ白になってしまうんだよな。


「それで、ダブルデートをすることで動きやすくして、慣れていきたい、っていうわけか」

「ああ、そういうことだよ」

「なるほど」

「情けない話だが、できる限りのことはしておきたくてね」

「どうしてボクたちなの?」

「決まっているだろう? 二人が一番の友だちだからさ」


 ずるい。

 そんなことを言われたら断れないじゃないか。


 ユスティーナと顔を見合わせて、頷いた。


「わかったよ。その話、引き受ける」

「うんうん、ボクたちでよければ協力するよ。それに、ダブルデートも楽しそうだからね」

「ありがとう、感謝するよ」


 テオドールは安心した様子で笑い、それから頭を下げてくるのだった。

 真面目で誠実な友達のために、なんとしてもダブルデートを成功させたい。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] ここからはメインストーリーとは離れたヴィジュアルストーリーかな。
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