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331話 遠慮は無用

 巡回をしているのだろうか?

 足音の重さからして、おそらくはテロリストの一人。


 まずいと、慌てて物陰に隠れた。


「……」


 ほどなくして、テロリストの一人が姿を見せた。


 こちらの予想通り、巡回をしているのだろう。

 警戒した様子で、ゆっくりと倉庫内を歩いている。


 ただ、俺に気づいたわけではないらしい。

 見逃した人質が隠れていないか?

 こっそりと聖騎士が忍び込んでいないか?

 そういう、ありとあらゆる可能性を考えて、巡回を続けているのだろう。


 なかなか厄介だ。

 こちらには人質がいるのだから絶対安心……なんて、油断してくれればいいものを。


 人質を握りつつも、さらなる警戒網を敷いている。

 油断という言葉は欠片もない。

 敵ながら見事と言うしかない。


「……誰もいないな」


 幸い、テロリストが俺を見つけることはなかった。

 油断なく巡回はしているものの、狩りをしているわけじゃない。

 じっくり調べている時間はないらしく、異常があるかないかで判断しているようだ。


「こちらソード3、倉庫は異常なし。引き続き、巡回を続ける」


 テロリストは手の平サイズの小箱を手にして、それに向かい異常がないことを告げた。


 なんだ、あれは?

 もしかして……俺が探している通信用の魔道具?


 通信用の魔道具は非常に高価で、おまけに希少性が高い。

 一つあれば、一般的な家庭なら数ヶ月は暮らすことができる。


 そんなものを全員が持っているのか?

 この連中は、いったいどれだけの財力を持っているというのか。

 今回の作戦に、どれだけの力を注いでいるのか。


「……厄介だな」


 ただ、敵は一人。

 おまけに、こちらが探している通信用の魔道具を手にしている。


 チャンスだ。

 敵の力は不明だけど……

 俺に気づいていないから、奇襲をしかければなんとかなるだろう。


 もちろん、攻撃すれば俺という敵がいることを連中が知ることになる。

 ただ、それはもうどうしようもない。

 外と連絡をとるなりすれば、遅かれ早かれテロリストは俺という敵に気づく。


 なら、最適なタイミングでしかけるだけだ。


「……」


 息を潜め、足音を殺して男の背後に移動する。


 男は俺に気がついていない。


「……」


 さらに距離をつめる。

 あと少し……

 あと三歩、進むことができれば完璧な奇襲となる。


 一歩……

 二歩……

 さん、


「誰だっ!?」

「くっ!」


 あと少しのところで気配を悟られてしまい、テロリストが勢いよく振り向いた。


 テロリストは、片手に短剣。

 もう片手に小型の照明を手にしていて、いざという時に戦闘も可能とするスタイルを維持していた。


 対して、こちらの武装はゼロ。

 なにもない。


 しかし……


「このっ!」

「が!?」


 床を蹴り、斜め上に飛ぶようにして、テロリストの顎に膝を叩き込んだ。

 骨を砕く鈍い感触が伝わってくるが……

 相手はテロリスト、遠慮は無用だ。

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こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

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