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327話 まずは……

 聖堂へ続く道は階段だけじゃない。

 管理者専用の通路や、いざという時の非常用通路。

 他にもいくつかの経路があるのだけど……


「まさか、ここまでやるなんて……」


 全ての通路が潰されていた。

 爆破、あるいは魔法によって封鎖されている。


 時間をかければ復旧は可能だろうが……

 数時間でできるようなものじゃない。

 少なくとも日単位の時間が必要になるだろう。


「長期戦を見込んでのことなのか……?」


 予想を立てようとして、しかし、なにも思い浮かばない。

 いくらなんでも情報が少なすぎるか。


 とにかく、当初の予定通り情報を集めよう。


「とはいえ、どうしたものか」


 展望台に繋がる道は全て断たれたと見ていいだろう。

 もしかしたら、工事関係者とか設計者しか知らないような道は残されているかもしれないが……

 そんなもの、俺が知るわけがない。


 他に残された道は?

 それでいて、敵に気づかれることのない場所は?


 なにか手がかりはないだろうか?

 周囲を見る。


「あれは……」


 通気口を見つけた。

 防犯のため聖堂に窓は少ない。

 展望台は高い場所にあるため、気密性が保たれている。


 そのため、空気を循環させるための通気口は必須だ。


「やれるだけやってみるか」


 幸いというべきか、人が入れそうなサイズだ。


 適当な物を足場にして、通気口の手前へ。

 格子状の蓋を強引に外して中を見る。


「当たり前だけど、暗いな……」


 とはいえ、なんとかなるか?

 あちらこちらの部屋に繋がっているため、ところどころで明かりが漏れている。

 暗闇に目が慣れれば、進めないということはないだろう。


「さて、いってみるか」


 通気口の中へ体を潜り込ませる。


 ……狭い。

 手を広げるなんてできない。

 肘を曲げて体をまっすぐにしないと入らない。


 これ、もう少し体が大きかったら、途中で詰まっていたかもしれないな。


「とはいえ、これならギリギリなんとか……」


 匍匐前進でジリジリと前へ進んでいく。

 ややもどかしいが、焦っても仕方ない。

 敵に見つからないのが最優先なのだから。


「ここは……違う。ここも……違うか」


 一つ一つ部屋を確認していくが、敵の姿は見つからない。

 人質も見つからない。


「当たり前だけど、人質は一箇所に……展望台に集めているんだろうな。敵もその近く……か」


 展望台は上。

 通気口の内部を垂直に登るという、かなりの荒業が強いられるのだけど……


「やるしかないか」


 覚悟を決めて、俺は通気口を垂直に登り始めた。




――――――――――




「はぁっ、はぁっ、はぁっ……さ、さすがに疲れた……」


 自由に動けない中、両手足をつっぱらせて壁に固定して登ってきたのだけど、かなりの体力を使ってしまった。

 これも二度はしたくないな。


 ただ、無茶したおかげで収穫はあった。

 展望台に続く通気口に移動することができた。

 展望台の様子を確認すると……


「ユスティーナ……!」


 大事な恋人の姿が見えた。

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こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

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