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304話 修学旅行二日目

 修学旅行二日目。


 ……移動で数日を使っているものの、それはカウントしない。

 現地に到着してからが本番なのだ。


「ねえねえ、アルト! どこに行こうか!?」

「あうあうあう!」

「エルトセルクさんとエルトセルクちゃん、落ち着いて!」

「時間はたっぷりありますから、焦らず、落ち着いていきましょう」


 二日目は、丸一日、自由行動だ。

 朝に宿を出て、日が暮れる頃に宿へ戻る。


 その間、観光をするもよし。

 買い物をするもよし。

 あえて勉学に励んでもよし。


 俺達が選んだのは……


「おいおい。一応、予定を立てておいただろ?」

「最初は、国立公園に行く予定だね」


 俺達の目的は観光だ。

 せっかく他国に来たのだから、その国にしかないものを見て、心で感じ取り、歴史を受け止めたいと思う。


 そのついでに、おいしい食事を堪能して……

 そして、おみやげを買う


 一般的な観光コースなのだけど、変に奇をてらう必要はない。

 普通が大事という結論に達した。


「じゃあ、行くか」

「アルト、僕の背中に乗って飛ぶ?」

「やめてくれ」


 竜に慣れたアルモートならともかく、フィリアはそういうわけにはいかないだろうし……

 いきなり街中に竜が出現したら、大パニックだ。


「まあ、いいや。アルトとのんびり歩くのも、それはそれで楽しいよね」

「そうだな。修学、とついているものの、基本は普通の旅行のようなものだからな。楽しむことを一番に考えよう」

「あう!」


 賛成、と言うかのように、ノルンが満面の笑みで拳を突き上げた。

 楽しむぞー! と宣言しているかのようだ。


 みんなでおしゃべりをしつつ、フィリアの街中を歩いていく。

 アルモートとはまったく違う建築様式の建物が並び、街中を見るだけでも楽しい。


 そうして街を歩くこと、三十分ほど。

 国立公園に到着した。


「「「おぉー!」」」


 俺を含めて、みんなの口から感動の声がこぼれた。


 見渡す限り、緑が広がっている。

 その敷地面積は、学院の十倍くらいだろうか?


 この地方の植物だけではなくて、世界のありとあらゆる植物、花が集められているらしい。

 歩道が整備されていて、自然をゆっくりと楽しむことができる。

 基本的なコースなら、二時間くらいで見て回ることができるという。


 この公園に自然を髄まで感じて楽しむには、数日を必要とするらしいが……

 残念ながら、そこまでの時間はない。

 俺達は基本的なコースを選び、石で舗装された歩道を歩いて、自然を目で味わっていく。


「あうー」

「ノルン、蜜はおいしいかもしれないが、花を食べたらダメだ」

「はぁあ……良い匂い」

「ユスティーナも、ノルンと似たようなことをしようとしないでくれ……」


 二人の保護者になったような気分だ。

 おかしい。

 俺とユスティーナは、恋人同士のはずなのだけど……?


「……あの様子を見る限り、あたし達が入り込む隙間はあるかもしれないわね」

「……ですね。とはいえ、事を急いて失敗するわけにはいきません。しっかりと状況を見極めつつ、少しずつ距離を詰めていきましょう」


 ジニーとアレクシアがよくわからないことを話していた。

 それよりも、この素晴らしい自然を楽しまないか?


「なあ、アルト」

「うん?」

「自然っていいな……なんつーか、こう……心が癒やされるぜ」

「ああ、そうだな」

「というか、意外だね。まさか、グランがそのようなことを言うなんて。キミのことだから、野菜と果物以外は興味ないぜ、と言うと思っていたのだが」

「まあ、最初はそう思ってたんだけどな」


 思っていたのか。


「こうして、実際に見て接してみると、考えも変わるさ。フィリアも、良いところがたくさんあるんだな、って。そんな風に思えるぜ」

「ああ、そうだね。我らがアルモートは、どこにでも誇れる国ではあるが……フィリアも、それに負けないくらい素晴らしい国だと思う」


 二人の台詞をククルが聞いたら、とても喜ぶだろう。

 しかし……ククルは、この場にいない。

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【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

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