296話 いざ修学旅行!
準備や旅行の計画を立てていたら、時間はあっという間に流れて……
修学旅行当日が訪れた。
まずは、学園に集合。
それから竜の力を貸してもらい、二日かけてフィリアまで移動。
それから、三泊四日の修学旅行本番となる。
他国へ竜で入るなんて大丈夫なのだろうか?
と不安に思わないでもないが……
基本、アルモートとフィリアは友好関係を築いている。
それに、竜を連れて行くことでアルモートの力を誇示できるし、また、フィリアも竜の生態を間近で観察するチャンスでもある。
ウィンウィンの関係らしい。
「おはよう」
「あっ、おはよ、アルトくん!」
「おはようございます、アルトさま!」
ジニーとアレクシアを見かけたため挨拶をするが、ものすごく元気に返された。
「二人共、元気だな?」
「だって、待ちに待った修学旅行だもの」
「今元気にならないで、いつ元気になるのでしょうか? いいえ、今です!」
アレクシアも、ちょっとおかしい。
修学旅行というのは、貴族の令嬢でさえおかしくしてしまうものなのか。
恐ろしい。
「おっす!」
「やあ」
グランとテオドールも合流した。
テオドールは違うクラスだけど、まだ時間ではないので、その辺りは自由行動だ。
「二人共、おはよう」
「いよいよだな。俺、フィリアに行ったことがないから……っていうか、アルモートから外に出たことがないから、すっげー楽しみだぜ!」
「僕も楽しみだが……しかし、エルトセルク嬢二人は、すさまじいね」
テオドールは、たらりと汗を流しているのだけど、その気持ちはよくわかる。
「え、なにが?」
「あう?」
ユスティーナとノルンは、自分の背丈の三倍はあろうかという巨大な荷物を背負っていた。
あれも持っていきたい、これも持っていきたい。
そんな感じで詰め込み続けていたら、ああなったのだ。
本来なら、そんなにたくさんの荷物は運ぶことはできないのだけど……
二人は竜なので、荷物を自力で持ち運ぶことができる。
移動も変身すればいいだけなので、なにも問題はなし。
結果、問題ないということで許可された。
……本当に、それでいいのだろうか?
疑問に思うものの、一度許可が出た以上、それに異議を申し立てても仕方ない。
「ふふ、エルトセルクさんが一番、旅行を楽しみにしているのかもしれませんね」
「あたしたちは、ちょっと敵わないわね」
「えっへん」
褒められているのかどうか、微妙なところではあると思うのだが……
そんなことは気にしないらしく、ユスティーナは誇らしそうに胸を張る。
それを見たノルンも、同じく胸を張る。
なんとなく、母を真似る子のように見えた。
……なんていうと、ユスティーナは怒るかもしれない。
まだそんな歳じゃないよ、と。
「しかし……」
テオドールが周囲を見回して、眉をたわめる。
「ククル嬢は見当たらないな……間に合わなかったのかな?」
「せっかくの修学旅行なんだけどな……」
「ククルも一緒なら、もっともっと楽しくなったと思うんだけど」
みんな、残念そうだ。
俺も残念だ。
ククルも、今では立派にクラスの一員を務めている。
それに、大事な友だちだ。
できるなら、一緒に修学旅行を楽しみたい。
「案外、向こうで合流できるかもな」
「アルト、それはどういうこと?」
「ククルの故郷はフィリアだろ? なら、向こうで合流できる可能性もあると思う」
「あ、それもそっか」
「ククルって、アルモートに馴染みすぎていたからね……」
「いつの間にか、アルモートの生まれと、認識がすり替わっていました」
「それ、本人が聞いたら喜ぶかもな」
それくらいに馴染んでいるということ。
きっと、喜んでくれるだろう。
「よし。ククルのことは、向こうで合流できることを期待して……俺達は俺達で、しっかりと修学旅行を楽しもう。でないと、意味がないからな」
「「「おーっ!!!」」」
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