288話 修学旅行の計画を立てよう
昼休み。
テオドールを含めて、みんなで屋上に集まる。
ごはんを食べつつ、とある話題に花を咲かせる。
その話題というのは、もちろん修学旅行だ。
「修学旅行かぁ……うん、楽しみね!」
「勉強や訓練だけじゃなくて、自由時間もあるのがうれしいよな」
ステイル兄妹はにこにこ笑顔だ。
今から、修学旅行のあれこれを想像して楽しんでいるらしい。
「ふむ? 修学旅行を楽しみにするとは、不思議なところがあるのだね」
「テオドールは楽しみじゃないのか?」
「僕は、旅行なら何度も経験しているからね。単純な観光から、貴族としての公務を兼ねた旅行まで、様々さ」
「なるほど」
そんなテオドールだからこそ、修学旅行と言われても今更、と感じてしまうのかもしれない。
「私も似たようなものですが……ただ、こうしてみなさんと旅行できるのは初めての経験ですわ。だから、とても楽しみです」
「む。そう言われると、アレクシア嬢の言う通りだな」
アレクシアの言葉に、テオドールが考え直す。
そう、そこなのだ。
修学旅行の一番の楽しみは、勉学でも鍛錬でも観光でもなくて……
みんなと一緒に旅行をする、というところにあるだろう。
学校ではいつも一緒にいるものの……
学校の外で一緒に行動することは、あまりない。
もちろん、放課後に一緒に遊ぶことはあるだろう。
しかし、夜になれば終わり。
そこでさようならとなり、一緒に寝泊まりをすることはない。
ただ、修学旅行は違う。
三泊四日の間、ずっと一緒にいることになるのだ。
煩わしいと思う人もいるかもしれないが……
俺を含めて、ここにいるみんなは、それを新鮮な体験と捉えていて、とても楽しみにしていた。
「テオドールだけ別のクラスなのは残念だな」
「そう言ってもらえるとうれしいよ、我が友よ」
「まあ、団体行動はあるが、自由行動もあるんだろ? その時に合流すればいいんじゃないか」
「へー、兄さんにしてはまともなことを言うのね」
「おい、どういう意味だ?」
「ふふん、兄さんが今考えている通りで間違いないと思うわ」
修学旅行と聞いてテンションが上がっているらしく、ジニーとグランは、いつになくはしゃいでいた。
でも、気持ちはわかる。
俺もわくわくしていて、今から楽しみだ。
早く一週間後になってほしい。
「でも、一週間後っていうのは、ちょっと急だね」
ユスティーナが困った様子で言う。
それにアレクシアも追随する。
「そうですね……旅行の内容は、ほぼほぼ学院が設定してくれているみたいですが、それでも準備は大変になってしまいますね」
「あと、なんでフィリアなんだろ? フィリアって、観光スポットとかあったっけ?」
「信仰深い国だから、綺麗な教会とかはあるんじゃない?」
「そうだね、ジニー嬢の言う通りさ。あとは、標高が高いから、山の上の景色などは絶景だよ」
「へえ、テオドールは詳しいな」
「何度か足を運んだことがあるからね。観光スポットを探すのなら、僕に聞いてくれたまえ」
こういう時は、とても頼もしい。
遠慮なく、旅行当日は甘えることにしよう。
「……」
ふと、ノルンの様子がおかしいことに気がついた。
さきほどから一言も発することなく、押し黙り、軽くうつむいている。
「どうしたんだ、ノルン?」
「あう……」
「もしかして体調でも悪いのか?」
「うぅ……」
軽く首を横に振る。
無理をしている様子はない。
なら、どうして元気がないのだろうか?
「どうしたの、ノルン?」
「あーうー……」
ユスティーナが声をかけると、ノルンはひしっと彼女に抱きついた。
「わわっ」
「うー……」
「どうしたのかな? うーん……なにか、不安がっているみたいなんだけど。アルト、心当たりはない?」
「いや、特には……」
「なら……なにか不安、嫌な予感を感じ取っているのかな? エンシェントドラゴンって、そういうのに敏感みたいだから」
「嫌な予感……か」
修学旅行を前にして、嫌な予感を覚える……なかなかに不吉な話だ。
これが、ただの勘違いなどであればいいのだけど……
果たして、どうなるか?
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