表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
285/459

283話 帰郷

 その日……

 ククルの姿は、アルモートではなくてフィリアにあった。


 一時的な帰国。


 家に帰るわけではなくて。

 旅行というわけでもない。


「突然の戻ってこいという命令……団長は、どうしたのでありましょうか?」


 王城の客間。

 そこで待つククルは、小首を傾げた。


 もうアルモートに滞在する必要はない。

 フィリアへ戻り、別の任務についてもらう。


 ……そんな命令なら、まだ納得できた。

 アルモートを離れるのは寂しいが、それでも、ククルは聖騎士。

 真に仕えるフィリアのため、その身、その力を国のために捧げなければならない。


 ただ、今回は違う。


 重要な連絡アリ。

 ただちに帰還しろ。


 ……という、なんとも簡素で、それでいて意味深な命令だった。


「てっきり、フィリアで事件が起きたのかと慌てたものですが……見た限り、国は平和そのものであります。いったい、重要な連絡とはなんなのでしょう?」


 ククルは考える。

 考えて、考えて、考えて……


 それでも答えは出ない。

 重要な連絡とやらに、まったく心当たりがない。


 それでも考え続けて、待つことしばらく。


「待たせましたね」

「っ!?」


 客間に入ってきた人物を見て、ククルは心底驚いた。

 反射的にソファーから降りて、ビシリと敬礼する。


「だ、団長殿!?」


 金色の鎧に身を包む女性。

 始まりの聖騎士と呼ばれる人で……

 聖国フィリア、最強の人物だ。


 その名前を、アリーゼ・クロノベルトという。


「ま、まさか、団長殿がやってくるなんて、あわわっ……お、お久しぶりであります!」


 ククルはガチガチに緊張していた。

 それも仕方ない。


 ククルは聖騎士ではあるものの、末席。

 序列は最下位。


 対するアリーゼは、聖騎士を束ねる立場で……

 それだけではなくて、王の右腕と呼ばれていて、しかも友人とも言われている。


 まともに話をしたことはなくて、顔を合わせる機会もほとんどない。

 顔を合わせたのは聖騎士に就任した時の挨拶と、その他、数回だろうか?


 ククルにとって雲の上の存在だ。

 目の前に神さまが現れたのに等しい。


「そんなに緊張しないでください」

「す、すすす、すみませぬっ!?」


 緊張のしすぎで口調も怪しくなるククルだった。

 そんな彼女を見て、アリーゼは小さく笑う。


 フル装備。

 兜も身につけているため、口元しか見えないが……

 優しい雰囲気をまとっていて、ククルに対して祖母のように接しているのがわかる。


 ただ、ククルは緊張のあまりそれが理解できず、ガチガチになっていたが。


「お久しぶりですね。元気にしていましたか? アルモートでの任務に問題はありませんか?」

「は、はひ! じ、自分は元気にしていまして、任務は、も、問題ありませぬ!」

「そうですか、それはなによりです」


 ククルは緊張しつつ、あれ? と不思議に思う。


 重要な連絡があるというわりに、アリーゼは落ち着いたものだ。

 よくよく見れば穏やかな雰囲気をまとっている。


 実は、それほど大した連絡ではないのだろうか?


 そんなことを考えるククルだけど……

 それが、間違いであることをすぐに思い知る。


「本当はゆっくりとお話をしたいところですが……残念ながら、あまり時間がありません。さっそくですが、本題に入らせてもらいます」

「は、はい。自分は、なんのために呼び戻されたのでありましょうか?」

「聖騎士ククル・ミストレッジ」

「はい」

「……竜の王女、ユスティーナ・エルトセルクを殺しなさい」

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[一言] そっちかー! フィリアも怪しい国だなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ