276話 よろしくおねがいします
「!?!?!?」
ユスティーナの目が大きく開かれて……
そのままぐるぐると回転する。
よほど混乱しているらしい。
ただ……拒絶はない。
「ん……ふぁ……」
ただ唇を重ねるだけのキス。
俺とて、こんな経験は初めてだ。
どうすればいいか、どうすれば想いが伝わるかとか、そんなことはさっぱりだ。
だからせめて、優しく。
それと、ひたすらに想いを込めて、ユスティーナと温もりを分かち合う。
「……んぅ……」
ほどなくして、ユスティーナの体から力が抜けた。
瞳がとろんとなり、そのまままぶたが下ろされる。
体の力も抜けて、されるがまま。
というか、求めような感じで、恐る恐るという感じではあるが唇を差し出してくる。
受け入れてくれた……ということでいいのだろうか?
「……ふはぁ」
しばらく甘い時間を過ごして……
どちらからともなく、そっと唇を離した。
俺からしたキスではあったが、途中からはユスティーナも求めてくれていたと思う。
「ふぁあ……」
ユスティーナの顔はひたすらに赤い。
まるでりんごのようだ。
ただ、俺も似たような顔をしているのだと思う。
顔がとにかく熱くて……
まるで、夏に逆戻りしたかのようだ。
「ユスティーナ」
「……ふぁい……」
「これが俺の気持ちだ。改めて言う、好きだ」
「……うん……」
「たくさん待たせておいて、すごく都合の良い話だっていうことはわかっている。ただ、それでも言わせてほしい。言わずにはいられない」
「……うん……」
「俺と付き合ってほしい。彼女になってくれないか?」
「……」
ぽろりと、ユスティーナの目から涙がこぼれ落ちる。
「あ、あれ?」
一度流れたら、もう止まらなくて……
次から次に涙を流してしまう。
「ゆ、ユスティーナ……? もしかして、その……そんなにイヤだったのか? 強引にしたことが……」
「う、ううんっ、そんなことないよ!? すごく驚いたけど、でもでも、それ以上にすごくうれしくて……!!!」
あたふたと慌てつつ、ユスティーナは必死に言葉を並べる。
「ボク、今回の旅行でちょっとは期待してて……公園に来た時は良い雰囲気だなあ、って。それで、またアルトに告白してみようかな? とか考えてて……でも、そうしたら、いきなりアルトが告白してきて、頭が真っ白になっちゃって、でもうれしくて、なんか涙が出てきちゃって……ふぇ」
「待たせてすまない」
「ううん、ううん。ぜんぜん気にしてないから。むしろ、その……アルトは、ボクでいいの?」
「もちろん」
「ボク、けっこう嫉妬深いよ? 束縛しちゃうかもよ?」
「ユスティーナに束縛されるのなら、それはアリだと思う」
「……胸、ないよ?」
「返答にものすごく困るが……胸の大きさが女性の魅力の全てじゃないだろ?」
「えっと、ええっと、他には他には……」
「ユスティーナ」
あたふたと慌てるユスティーナを再び抱きしめた。
「俺は、ユスティーナがいいんだ。ユスティーナが好きなんだ」
「……うん」
「不安はあるかもしれないけど、でも、それは気にしなくていい。誓うよ。俺は、これからずっと、ユスティーナのことだけを見る。ずっと好きでいる」
「……うん」
「だから、恋人になってくれないか?」
「……うんっ!!!」
そこで満面の笑みが咲いて、ユスティーナは強く抱き返してきた。
「アルト」
「うん?」
「これから、よろしくお願いします……えへへ」
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