表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
272/459

271話 まだこれから

 孤児院を後にした俺とユスティーナは宿へ戻った。


「はふぅ……疲れたぁー」


 ユスティーナはベッドにぼすんとダイブ。

 そのまま両手足を大きく広げて、体を休める。


 疲れているから、そうしたくなるのはわかるのだけど……

 そうやって、足まで大きく広げるのはやめてくれないだろうか?


 角度によっては、色々と見えてしまいそうだ。

 もちろん、見ようとはしないが。


「おつかれさま。なにか飲むか?」

「んー……もうすぐごはんだよね?」

「あと一時間後くらいだな」

「ならいいや。おいしいごはんとおいしい飲み物、セットで楽しみたいからね」


 そんなことを言いつつ、全力でだらけつるもりらしく、ユスティーナはベッドの上でゴロゴロと転がる。

 だから、そんなことをしたらスカートが……


 できる限り紳士であろうとするものの、好きな女の子の無防備な姿には、ついつい視線が引き寄せられてしまう。

 これが悲しい男の性だろうか?


「ボクのこと、だらしないって思う?」

「思わないが、その……スカートが……」

「わわっ」


 ユスティーナは跳ね上がるように起きて、スカートを両手で押さえた。

 赤い顔をこちらに向けて、唇を尖らせる。


「……アルトのえっち」

「す、すまない……」

「ううん、ごめんね。アルトのせいじゃないよね。無防備なボクが悪いんだし……でも、恥ずかしいから、ついつい」

「ユスティーナが気にすることじゃないさ。ただ、まあ……一人というわけじゃないから、周りのことも気にしてくれると助かる」

「うん……」


 頬を染めつつ小さく頷いて、


「……もしかして、アルトはボクのパンツに興味があったの?」


 ふと思いついた様子で、そんなことを聞いてきた。


「いや、それは……」


 好きな女の子の下着に興味がない男はいないだろう。

 だからといって、そんなことを正直に答えれば、こんなムードもなにもない状況で告白してしまうようなものだ。


 いや。

 そもそも、下着に興味があるなんていう告白は、変態そのものではないか?


「……どうだろうな」


 具体的な言葉を出せるわけがなくて、適当にごまかしておいた。


「それよりも」

「あ、話を逸らした」

「……それよりも、今回はすまなかった」


 謝罪すると、ユスティーナは不思議そうに小首を傾げた。


「せっかくの旅行なのに、思いがけない寄り道をしてしまっただろう? おかげで、いくらかの時間がとられて、事前に立てていた旅行計画も変更しないといけないし……」

「ううん。そのことなら、ボクは怒ってなんていないし、残念に思うこともないよ。むしろ、うれしいかな?」

「うれしい? どうして?」

「アルトがアルトらしいから、だよ」


 どういうことだろうか?


「正直なところを言うと、旅行を楽しむ時間が減っちゃったのは残念だけどね。でもでも、アルトは困っている人を見捨てなかった。自分のことのように考えて、最後まで、キッチリと解決してみせた。そうやって、アルトはアルトらしいままで、なにも変わっていないところを見ることができて、ボクはうれしかったかな」

「……そうか」

「それに、これはこれで良い思い出になると思うんだよね。アルトと一緒に悪い領主を成敗……なんだか、物語の中みたいじゃない?」

「そう言われると、なかなか体験できないことだよな」

「だよね? だから、ボクは満足しているよ。これはこれで楽しいし……なによりも、アルトが隣にいれば、なんでもいいもん♪」


 ユスティーナがにっこりと笑う。


 その笑顔は、まるで太陽のよう。

 周囲を輝かせて、元気づけて……

 そして、たくさんの人々を惹きつける。


 俺も、彼女に惹きつけられた一人なのだろう。


 不正に手を染めた領主を捕まえることはできたものの……

 それが本来の目的じゃない。


 本来の目的は、ユスティーナに告白をすること。

 むしろ、ここからが本番と言える。


 色々な場面を想定してきたが、先の事件でデートプランは全て白紙に。

 また一から考えなければならないが……さて、どうしたものか?


「アルト、どうかしたの?」

「うん?」

「なにか難しい顔をしているけど、悩み事? もしかして、領主のこととか孤児院のこととか、まだ気になっているの?」

「いや、そういうわけじゃないが……どうして、俺が悩みを抱えていると?」

「それは、見ればわかるよ。だって、世界で一番大好きな人のことだもん」


 ユスティーナを愛しく想う気持ちがどばっと溢れ出してきた。

 今ここで告白してしまいたくなるが、なんとか我慢。


「……大したことじゃないさ」

「そう?」

「それよりも、そろそろごはんの時間だ。準備をしよう」

「うん、そうだね!」

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] そういえば、この旅行の目的って元々告白でしたっけ。 すっかり忘れてたなあ。 というか、もう付き合って良いんじゃないの?あ、もう付き合ってるんだったけ? ん?おや、アルト顔が赤いのは何故なの…
[気になる点] お姉ちゃんは、どうなったんだろう? [一言] 爆発しろ。このバカップル( ゜Д゜)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ