255話 潜入捜査
まずは作戦会議だ。
どうすれば領主の不正を暴くことができるか?
俺とユスティーナ、そしてレイラさんで話し合う。
「やっぱり、強引に突入するのが一番手っ取り早いと思うんだよね。大丈夫。どんな用心棒がいたとしても、ボクを止めるなんてできないと思うから」
「いや、そういうわけにはいかないだろう……」
ユスティーナの思考が猪突猛進すぎる。
まあ、実現可能かどうかで問われたら、問題ないという結論になる。
ユスティーナを止めることができる者なんて、ほとんどいないだろう。
それに、彼女はそれなりの権力を持つ。
それを盾にすれば、強引な執行も可能だろう。
ただ、そんなことをしていたら秩序が崩壊してしまう。
法治国家の意味がない。
時間がないなどの、どうしようもない理由がない限りは、強行捜査は控えたい。
「むー、じゃあどうすればいいの?」
「理想としては、不正の証拠を見つけて、憲兵か騎士に報告を……いや、それはダメか」
「どうして?」
「話を聞く限り、領主はそれなりに派手に動いているのに問題視されていない。この街の憲兵と騎士は、抱き込まれていると考えるべきだ」
「はい……アルトさんの仰る通り、領主の言いなりになってしまっています」
「やっぱりですか。そうなると、王都まで持ち帰らないといけないが……」
「それは、ちょっと時間がかかりすぎじゃない? 今すぐに、っていうわけじゃないけど、なるべく早く解決した方がいいよ」
「確かに……な」
今すぐにという理由はないが、長期間、放置していいわけじゃない。
解決までの時間が長引けば長引くほど、苦しむ人が増えてしまう。
そうなると……
「……どうにかして不正の証拠を見つけて、その後、ユスティーナに強制執行してもらうか」
この辺りが妥当なところか。
証拠を見つけた後なら、ユスティーナが暴れても問題はないだろう。
「ふっふっふ、腕が鳴るね!」
「暴れるのは証拠を見つけた後だからな……?」
このまま突撃しそうな勢いなので、釘を刺しておいた。
「どうやって不正を見つけるかだけど……」
「あ、あの……」
なにか考えがある様子で、レイラさんが口を開く。
「潜入調査……というのはどうでしょう?」
「潜入調査?」
「はい。領主さまは、頻繁に使用人を募集しているんです。その……長続きする方がいないみたいで」
「なるほど」
わがままし放題だから、それについていける人も少ない、ということか。
って……なるほど、そういうことか。
レイラさんの言いたいことを理解した。
ただ、ユスティーナはよくわかっていないらしく、キョトンとしている。
「入れ替えの激しいなら、使用人として潜り込むことができるかもしれない」
「あ、そういうことか。なるほど。でもでも、ボク、使用人なんてしたことないんだけど?」
「おそらく、大丈夫だと思います。常に人手不足で……えっと、その……それに、エルトセルクさんはとても綺麗なので」
そういう目的で雇われることもある、ということか。
反対したくなってしまうが、しかし、それは完全に私情だ。
それに、ユスティーナなら、なにかあったとしても自力で切り抜けることが……
いや、それでもそういう目を向けられたり、万が一の危険性を考えると……
「アルト、どうかしたの?」
「あ、いや……なんでもない」
「んー?」
不思議そうに見られてしまう。
ここ最近の俺は、告白やら色々なことを考えていて、ちょっとおかしいからな。
疑問に思われても仕方ないと思う。
「えっと……どうしましょうか?」
「……使用人として潜入する、ということで問題ないと思う」
他に選択肢がない。
結局、レイラさんの案を採用することにした。
「ユスティーナは、なにか異論はあるか?」
「ううん、ないよ。アルトに任せる」
「じゃあ、使用人として潜入して不正の証拠を探すということで。この街のためにがんばろう」
「おー!」
こうして、潜入捜査が始まる。
俺達は問題なく使用人として雇われたのだけど……
しかし、まったく予想していなかった問題が起きてしまうのだった。
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