表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
241/459

240話 VSユスティーナ・その2

「好きな男の子がやる気になっているのは、女の子としてはうれしいし、ときめいちゃうけど……でもでも、ボクも竜としての意地とプライドがあるからね。負けてあげないよ!」

「ああ、正々堂々と戦おう」

「うん!」


 晴れやかな笑顔を浮かべつつ、ユスティーナが距離を詰めてきた。


 竜は、普段は穏やかで理知的ではあるものの……

 実のところ、わりと闘争本能が高い。

 一度、戦いを始めれば、苛烈で激しい戦闘を繰り広げるのだとか。


 そんな竜の血は、しっかりとユスティーナにも流れているらしく、この試合を楽しんでいるみたいだ。

 相手が俺だから、というのは自惚れだろうか?


「くっ」


 ユスティーナが床を蹴り……

 姿が消える。


 ザザザッ、という激しい足音が横から聞こえてきた。

 視認できないほどの速度で回り込んだのだろう。


 真正面から突撃を繰り返さないところを見ると、俺のことを舐めているわけではなくて、しっかりと敵と認識してくれているみたいだ。

 そうして侮らないでくれるところは、非常にありがたい。


 全力のユスティーナと戦い、そして、勝つ。

 それが俺の目標なのだから。


「っ!」


 背筋に走るチリチリとした感覚。

 妙な危機感を覚えた俺は、反射的に上体を横に傾けた。


 直後、


 ゴォッ!!!


 轟音と共にユスティーナの拳が、宙を駆け抜けた。

 それは、まさに雷撃のよう。

 目に見える速度ではなくて、一撃必殺の威力を秘めている。


 直撃していたら……

 いや。

 かすっただけでも、相当なダメージをもらっていただろう。


 完全に回避することができたのは、運が良い以外のなにものでもない。


「くぅ、惜しい!」

「今のは、本当に危ないな……」

「っていうか、今の、どうして避けられたの? ボク、完全にとった! って思っていたのに」

「勘、としか」

「アルトって、たまに人間を超えているよね。竜の特訓をしたせいかな?」

「ライバルを鍛えたことになるな」

「ライバルじゃなくて、好きな男の子だよ」


 試合の最中に、そういうことを言わないでほしい。

 動揺して、色々な意味で失敗をしてしまいそうだ。


「でも……うん。今はライバルでいいや! アルトと戦うの、すごいわくわくするよ」

「俺もだ!」


 今度はこちらの番というように、槍を振るう。


 最初に突き。

 二度目も突き。

 最後に体を回転させつつ、薙ぎ払う。


 しかし、ユスティーナは全てを回避してしまう。

 しかもギリギリのところで。


 なんていう動体視力と度胸。

 普通は、見えていたとしても、武器を向けられれば怯んでしまうものなのだけど……


 そんなことはなくて、堂々としたものだ。

 竜とかバハムートとか、そういうものは関係ないのだろう。

 今まで積んできた経験が、ユスティーナの力となっているに違いない。


 一人の戦士。

 そう考えて挑まなければ、すぐにやられてしまうだろう。

 改めて気を引き締める。


「まだまだ!」


 受けに回っていたら、圧倒的な勢いに飲み込まれてしまうだろう。

 そう判断した俺は、立て続けに攻撃に出る。


 駆け抜けて、その勢いを乗せて槍を突く。

 一度、二度、三度。

 全て避けられるが、構うことはない。

 そのまま薙いで、突いて、再び薙ぐ。


 いったい、どのような魔法を使っているのか?


 ユスティーナは、俺の攻撃を全て避けてみせた。

 かすることすらないというのは、なかなかに辛い。


 驚異的な動体視力と反射神経。

 それと、超高速の思考で戦術を組み立てているのだろうが……


 ならば、それを打ち崩す!


「せぇっ!!!」

「え!?」


 大きく踏み込むと同時、槍を投げた。

 自ら武器を捨てるという愚行に、ユスティーナは驚き、一瞬ではあるが動きが止まる。


 そのタイミングで距離を詰めて、側頭部を刈るような蹴りを叩き込む。


「むむ!?」


 さすがというべきか、ユスティーナは即座に反応してみせた。

 動きが止まっていたのは、コンマ数秒。

 すぐに動いて、こちらの攻撃を的確にガードしてみせる。


 しかし、そこまでは予想通りだ。


「えっ!?」


 足払いをするが、防がれる。

 ただ、その攻撃はフェイク。


 ユスティーナの意識が足元に向いている間に、槍を拾う。

 ちょうど近くに転がるように、威力、角度を調整して投げておいたのだ。


 ゼロ距離で槍を叩き込む!

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ