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1章 敵意の存在


ひとつの記憶が戻ったこと、そして不思議の国に来て少し時間がたったことでで私は少し冷静さを取り戻しチェシャ猫に話しかける

「それで、チェシャ猫..さんは記憶を探しに行こうって言うけどどうやって探すの?それになぜ私の心は砕けてしまったの?」

チェシャ猫は少し考えると口を開く

「なぜ記憶が砕けてしまったのかはわからない、でも元はアリスの中にあったものだからアリスの行きたいほうに進んでいけば必ず見つかるよ!それにボクは不思議の国に詳しいから道に迷うこともない!ね?簡単でしょ?」

そう言うとチェシャ猫はキャキャッと笑いさらに付け足す

「あと!!ボクのことはチェシャって呼んで?アリスにさん付けで呼ばれるなんてなんかむず痒いし」

「チェシャ猫は本当に嘘つきだねぇ?」

私が答えようとするとなんともいえない香りと背後で声が聞こえた気がした

「え、なに?」

そう言い振り返ろうとするとチェシャ猫が叫んだ

「振り返らなくていい!!!」

今まで笑っていたチェシャ猫のいきなりの怒声に驚き振り替えるのをやめ硬直する

チェシャ猫は私を通り越しその私のうしろにいるであろう者に近づくと怒気を含めぼそぼそと呟く

「今すぐ消えろ..ボクに八つ裂きにされたくなければ」

チェシャ猫の豹変に驚いていた私はチェシャ猫がぼそぼそと言った言葉を聞き取れなかった

「やれやれ..アリスが目を覚ましたと言うからせっかく挨拶に来たのに怖いねぇ、まあアリスの様子は見れたしでは私は帰るとするよ。怖い猫さんに八つ裂きにはされたくないからねぇ、せいぜい無駄な努力を頑張りなよ。"今度は"上手くいくといいねぇ、ねぇ?アリス?」

チェシャ猫と話しているなにかの声は私にも聞こえた

そのなにかは間延びした話し方こそしているがそこに含まれている感情は悪意そのものだった

特に最後の言葉は背筋に寒気がするほどの悪意の固まりだった

その言葉を最後にうしろにいたなにかの気配は消えた

チェシャ猫の様子が気になりそぉっと後ろを振り向く

いつの間に被ったのかチェシャ猫はパーカーのフードをすっぽりかぶってうつむいているので表情が見えない

だが握りしめられた拳にそのなにかに対する怒りが見てとれる

心配になり声をかける

「チェシャ猫さん..大丈夫..?」

「アリ.ス..怒鳴ってごめん..」

とても寂しそうにチェシャ猫は言った

記憶はないはずなのに落ち込んでいるチェシャ猫を見てとても心がズキズキ痛んだ

「気にしてないから大丈夫、そんなに落ち込まないで..さっきだってなにがいたのかもわからなかったし、でもなにかから守ろうとしてくれたのはわかった、ありがとう、だからもう気にしないで記憶の欠片を探しにいこ?ね?チェシャ?」

そう言うとチェシャはゆっくりこちらの様子を見て

「チェシャって呼んでくれたね」

とすこし嬉しそうに言った

だけど表情まではまだフードに隠れていてよく見えなかった

でもこちらの様子を見たときに一瞬見えた顔は心なしか寂しそうなままに見えた

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