序章 不思議の国へそして記憶を探して
小説家になろう初めての投稿ですのであたたかい目で見てくださると嬉しいです
追記 短編として投稿したのですが章ごとに分けられるということを知りましたので章ごとに分けて投稿しなおさせてもらいました
大丈夫、何度だって×しつづけるよ、ア××が望むか×り、何×でも、×のことを、だから××て?××の××ス
私は誰なのか、それが目を覚まして一番最初に考えたことだ
その次に感じる重力から自分が落下しているということに気づいた
ゆっくりと、しかし確実に、
頭のなかはモヤがかかったようで目が開いているか閉じているかもわからない。ただ暗闇があるだけだ、意識もはっきりしないなか落ちている時間は1分にも1時間にも感じられた
だがその時間も終わるときがくる
どさっと音がしてどこかに着地したのがわかる
霞がかった頭も次第にモヤが晴れていき五感の感覚も取り戻していく
目を開けようとするが暗いなかにずっといたせいで光があまりに眩しくすこしづつしか開かない
目がしっかり開きその光は太陽の光であるということを知る
それと同時に自分が広い草原の中にひとり座っていることにも気づく
どこから落ちてきたのか、自分は誰なのか、ここがどこなのか、なにひとつわからない
あまりに突然で不安を感じそうになったそのとき、自分の上のほうから声が響いた
「おはよう、アリス」
「だ、だれ?ア..リス?」
声のした方を見やるとそこには"なにか"がいた
頭には耳が生え、左手は人間の手だが右手は腕には包帯が巻いてあるからよく見えないが見えている手元は黒く獣のようにゴツくなによりその指先で光っている鋭い爪が明らかに人間のそれとは違った
体つきは人間、服装は黒とピンクを基調としたパーカー、膝たけより少し下くらいのハーフパンツと今時風の人間の格好だが足は右手同様足先えいくほど獣のようになっていく
そしてうしろで揺れる黒とピンクの縞模様のしっぽ、顔は人間と同じ、更に言えば端正な顔立ちだが瞳は獣のようでにぃっと笑っている口元も相まって少し不気味に感じる
その"なにか"は空中に浮いていてくるんと回転すると楽しそうに答えた
「ボクはチェシャ猫、アリスは君の名前だよ」
「チェ.、シャ猫?アリスが私の名前?ていうかなんで浮いて..」
「いやだなぁアリス、猫なんだから中に浮いててもおかしくないでしょ?」
自分の中の常識とチェシャ猫と名乗るこの生き物の発する言葉があまりにかけ離れていて動揺は大きくなる
「猫は空を飛んだりしないよね..そもそもあなたは猫なの?それよりここはいったいどこなの?なんで私自身が知らない自分の名前をあなたはしってるの!?」
動揺は次第に不安に変わっていく、不安からさらに問い詰めようとするとチェシャ猫が笑いながら遮った
「まぁまぁ、そんなにまくしたてないで落ち着いてアリス、ちゃんと全部答えるから、まったくいつもアリスは慌てん坊さんなんだから」
チェシャ猫はずっとその不気味な笑顔のまま楽しそうに続ける
「まずボクは猫だよ、名前もチェシャ猫だし耳だってしっぽだってあるでしょ?」
そう言って耳としっぽをぴこぴこ動かした
「そして猫は飛べるものだよ、この世界は不思議の世界、普通なんて通じない、この世界では常識なんて無意味だよ」
そう言うと今度はさも楽しそうにくるくる回って見せた
「不思..議の世界?」
チェシャ猫の言う言葉を何度頭のなかで整理しようとしても突拍子もないその言葉たちはなかなか整理ができない
「そう!愉しく可笑しく狂った世界!それがこの不思議の国!」
笑いながらチェシャ猫はそう叫ぶと私の目の前まで顔を近づけ話を再開する
「それじゃあ最後の質問の答えね!なぜボクが君自身すら覚えていないアリスという名前を知ってるのか!」
チェシャ猫のテンションがあまりに高くどんどん顔が近づいてくるので少し距離をとる
そんなことはお構い無しに話を続けるチェシャ猫
「それはね、ボクとアリスは知り合いだからさ!人間的に言うと友達ってやつなのかな?」
チェシャ猫の言葉にどんどん混乱してわからなくなってくる
「でも私は..」
でも私はなにも覚えていない、そう言おうとするとチェシャ猫はまた言葉を遮った
「そう!そこだよね!アリスはボクのことどころか自分のことさえ覚えていない!何故だろうねぇ?」
チェシャ猫はさっきよりもにぃっと笑いどこかからかっているようで私は痺れを切らし言う
「人のことからかってばかりいないで知ってるなら早く教えてよ!あと少し離れて!」
「ああ、ごめんねアリス、すぐに言うからそんなに怒らないで」
チェシャ猫は少しも悪いと思っていない顔で謝り、鼻と鼻がくっつきそうなくらい近くなっていた距離を少し開けると話を続ける
「そう、何故覚えていないのか、それはね、アリスの中にあった記憶はすべてガラスのように砕けてこの不思議の国中に散らばってしまったからさ!」
また突拍子のないことを言われてさすがに参ってきた
「あー!信じてないでしょ?」
それが顔に出ていたのか図星をつかれる
「だって記憶が砕けるってそんなこと..」
私がそう言うとチェシャ猫はポケットからキラキラ光るなにかの欠片みたいなものを取り出した
「まぁ、そう言うと思って1つだけボクが拾っておいたんだ!アリスの記憶の欠片を、一番大切なひと欠片を」
チェシャ猫はその取り出した欠片を私に近づけようとする
私は慌ててとっさに距離をとる
距離をとられたチェシャ猫は相変わらず不気味な笑顔のままであったが瞳の奥が少し悲しそうな色に変わったように見えた
「安心して、記憶の欠片を元の場所に戻すだけだよ」
そうしてチェシャ猫が欠片を私の胸の前まで持ってくると淡い光を放ちながらその欠片は私のなかに吸い込まれていった
その瞬間全身を電気が通り抜けていくような感覚と共にひとつだけ、だけどとても大切なことを思い出した
「そうだ..私の名前はアリスだ..」
たったひとつ、たったひとつ思い出せたそれだけなのに心が少し暖かくなりそれと同時に空っぽだった心が少し重くなるのを感じた
それを見ていたチェシャ猫は先ほどの瞳の奥の悲しさが消え、ちょっと嬉しそうに光って見えた、少し前に出会ったばかりで出会ってからずっと不気味な笑顔のままなのになんとなく感情がわかる。ずっとふらふらふざけているけど瞳はどうやら素直なようだ
そしてチェシャ猫は楽しそうにこう言った
「一番大切な記憶..名前の記憶だけは拾っておいたんだ、だから..探しに行こう!」
暖かさと重みの残る心で聞く
「なにを?」
チェシャ猫は今日一番の笑顔で答えた
「残りのアリスの記憶の欠片を!」