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四月の雨は五月の花を咲かせる  作者: 空乃 南雲
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プロローグ 3月31日

明日から僕のいる校区は始業式が始まるそうだ。

僕は怠いなぁ。そんな事を思いながら家にある勉強机で本を読んでいた。

本は、夏目漱石の'こころ'

国語という教科や文法の勉強でもちやほや使われている内容だ。

みんな知っているだろうから'こころ'の説明はいいだろうと思った。


しばらく座って読んだ後、明日の学校と言う怠い場所に、始業式と言う怠い行事に参加する為に必要な物だけ用意と明日から読み始める本置いてベットに転がった。

'こころ'を読みながらベットでゴロゴロしていた。

明日雨じゃなかったら屋上で本を読もう。屋上は落ち着くし風も気持ちがいいものだ。

学校が終わると屋上まで上がり夕日が沈みかけるまで本を読むのが日常でもあった。

明日からそう言う生活がまた始まるのか。そんな事を思いながら'こころ'を閉じた。

'こころ'は後20ページぐらいで終わりそうだった。


勉強机が置かれてる逆の方向から'夕ご飯が出来た'って女の人の声が聞こえた。

母親だ。

僕の家族風景はほんの少し複雑だ。


父親は居なくて母親だけ。

生まれた時から片親で、母親は僕を一から育てた。

父親の事は聞いた事は無いが、多分ろくな事情じゃないのは母を見れば分かる気がする。

そんな僕と母と一緒に住んでいる家は二人が住むにはほんの少し大きな家だ。


そんなこんなで僕はご飯を食べ終わると両手を合わせて何も無い食器を洗い場に持っていった。


そしてそのまま後ろ向きに回って真っ直ぐ歩いて風呂場まで向かった。

特に考えることは無く風呂に入り、そしてジャージに着替えて自分の部屋に戻った。


勉強机の横にあるベットに腰をかけてまた'こころ'を読み始めた。

しばらく読んでいた。


「私が死んだあとでも、妻が生きている以上は、あなたかぎりに打ち明けられた私の'秘密'として、すべてを腹の中にしまっておいてください」

僕は最後にある、その言葉を読み終えると本を閉じてほんの少し重い瞼をこすり、枕元に置いてあった部屋の灯りのリモコンで消灯して目を閉じた。


夏目漱石の'こころ'はまるで漱石の影の部分を炙り出している様にも感じた。

いろいろ自分の中で憶測や考察していると、意識はどこか遠くに行っていた。


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