7話 予感
「あんたたち、パーティーメンバーは揃えないのかい? 」
朝、いつものように朝食をとっていると、おばちゃんにそう言われた。
「確かに、あと1人か2人いると、大分楽そうだな……」
「浮気ですか? 」
「いや、違うでしょ! 」
「浮気者……」
「だから、違うでしょって! 」
「ですが、確かにメンバーは揃えておいた方がいいですね。私が抜けてからもなんとかなりそうですし」
「……まぁな」
そうか、あと4ヶ月ほどすれば、ラナはいなくなるのか。
あと1週間ほどで1ヶ月が経とうとしていた。
この街の外の敵は、あらかたスムーズに倒せるようにもなったし、そろそろ移住も考えないとかな……。
「この街にはないが、東に行けば大きな街があるよ。そこならギルドとか、立派な鍛冶屋もあるし、いい装備が手に入るはずだよ」
「確かに、そうですね」
「では、八尋、1ヶ月を目処にそちらの街へ移住しますか」
「そうだな。いつまでもここにいる訳にもいかないしな」
すると、トコトコトコと、レベッカが俺の横に走ってきた。
「八尋も、ラナもどこかいっちゃうの? 」
その、どこかにいっちゃうの? というフレーズに、少し後ろめたさを覚えたが
「あぁ。少し遠くの街へ行くつもりだ」
レベッカは悲しそうな顔をして、
「そうなんだ……」とだけ言って、外へ行ってしまった。
「すまないねぇ、変な気使わせて」
「いえ、大丈夫ですよ」
ラナが珍しく黙り込んでいる。
「ラナ? 大丈夫? 」
「あ、はい。少し考え事をしていました」
「そうか」
詮索したかったが、重要な事であれば、自分から相談してくるだろうと思い、それ以外はなにも聞かなかった。
「それじゃあ、移住の為に、モンスターでも倒して少しでも多く稼いでおくか」
「そうですね。結局、八尋はピンクのお店には行かなかったんですね」
このピンクのお店とは、この街に始めて来た時、ピンク色の建物があった為、そう名付けた。
風俗のお店だ。
「ん? あ、あぁ」
今俺は嘘をついた。1度だけ行った。
だが、ラナと比べてしまうと、物足りなすぎてもう行く気はない。
「それじゃ、おばちゃん、ちょっくら街の外行ってきますね」
「はいはーい、気をつけて」
────まさか、最後の最後で、あんな強敵が現れるとは思ってもいなかった。