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短編集  作者: 山芋娘
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ガラス

こちらの作品は、別のサイトにも投稿しております。


pixiv URL:http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=7060207

カクヨムURL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881469008/episodes/1177354054881469020




それは誰もが持っている、「キラキラ」で「ピカピカ」で輝いているガラス。

あなたの中のガラスは、どんな色ですか?

 



  生まれた時から、僕は大きな「ガラス」を持っていた。キラキラでピカピカで輝いている。


  まだ色はない。


  時間が経つにつれ、ガラスは色が付き始めた。赤に黄色にオレンジに水色に緑。他にもいっぱい色が付いていく。色が付いても、キラキラでピカピカで輝いている。

  けれど、色が付いてもまだまだ何もない所がある。まだまだ、いっぱいいっぱい色が付く。


  しかし、いつからだろう。暗い色が付き始めた。はじめは気にしてなかった。少し暗い青い色が付いていた。それも輝けば綺麗なものになると思ってたから。


  でも、ダメだった。


  ガラスは黒く、ドス暗い色に変わっていった。キラキラでピカピカで輝いていたはずの色も全部、黒くなってしまった。


  キラキラもピカピカもない。


  だから、一生懸命、黒いものを拭いた。キラキラでピカピカで輝いていたガラスを取り戻すために。


  なのに、ガラスはどんどん黒くなっていく。色のついてなかった所も、黒く染まっていった。


  「こんなの、僕のガラスじゃない!!」


  そう叫びたかった。でも、これは僕のガラスだ。もしかしたら、一生懸命拭いていけば、キラキラでピカピカで輝いていたガラスになるかもしれない。


  けれど、ガラスはひび割れ始めた。ーーピキピキッ。ピキピキッ。音を立てて、ひび割れ始めた。


  ダメだ。これは僕の大切なガラスだ。壊れて欲しくない。まだ壊れて欲しくない。そうだ、ガムテープを貼って、ひび割れの所を治そう。


  シワシワになっちゃうガムテープを不器用ながらも貼っていく。ーーうん、これでよし。

  でも、ガラスのキラキラもピカピカもない。ドス黒い色は、ガムテープすら飲み込んでいった。


「もう、ダメなのかな」


  何度も、何度も、何回も、一生懸命拭いたのに。キラキラでピカピカで輝いていたガラスは、もう戻らないのかな。キラキラでピカピカで色が綺麗だった、あの頃に戻りたい。


  そうだ。戻らなくていいんだ。新しいのを手に入れればいいんだ。


  僕は、僕よりも大きくて分厚いガラスを持ち上げた。高く高く、上に振りかざし、そして一気に地面に叩き落とした。


  ーーパリーン。


  繊細な音だった。あんなにも分厚いガラスが、見るも無残に、そして簡単に粉々になった。


  キラキラで、ピカピカな、輝きを放ちながら。ーーまだキラキラな部分は残っていた。気付かなかっただけで。


  「僕はまだやれたんだ。」


  ガラスはあの一枚しかない。もう、キラキラでピカピカで輝いていたガラスはない。

  もうなにもない。

  もう、なにもーー。



 

数年前に別名義で書いた作品を大幅に再構成し、書き直した作品となります。

色々と解説すれば、意図が伝わると思いますが、それはせずに読んでくれた皆様、一人ひとりが考えていただいて構いません^^


後日、原文を載せます。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

次の作品もよろしくお願いします!

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