言ノ刃
短編です。
死などの描写、言葉があります。
上記の描写、言葉などだけでも不愉快に思われる方は、回避してください。
どういうきっかけか分からない。どこで発動するかも分からない。僕は言葉を発すると、現実に起こってしまう。どの単語で、どのタイミングかは分からない。だから、声を出すことを止めた。
最初の言葉は「死ね」だった。高校生になってから、嫌なことがあると、「死ね」、「死にたい」と言うようになった。
それがいつからか、相手に放つと操られたかのように、教室から飛び降りていった。それが何回か続いた。
不慮の事故、嫌なことがあった。精神崩壊。死んでいった奴らはみんなそう言われた。
でも、僕は分かってた。僕の言葉でみんな死んだことを。
他の言葉もダメだった。ただ「麻婆豆腐食べたいな」って言っただけなのに、母さんは「そうね、麻婆豆腐がいいわね」って言いながら、作ってた料理を全て捨てて、料理を作り直した。
今乗ってる車がボロくなったから、「新しいの買えば。ああいうヤツとか」と言ったら、「そうだな」って言ったと思ったら、父さんはすぐに車を売りに行き、僕が言った車を買ってきた。
どのタイミングで、みんなが言葉に従うか分からなかった。怖くなって、話さなくなった。
文字なら大丈夫だと思い、姉さんに「彼氏が浮気してるから別れた方がいい」と伝えた。普段なら「そんな事しない」と、反発してくるのに、「分かった。別れる」とすぐに彼氏と別れた。
僕から放たれる言葉は、全てがダメなのだと思った。何も言えなくて、どんどん体に嫌なものが溜まる感じがした。
ドロドロした嫌なものを出すには、声を出すしかなかった。「死にたい」その言葉が僕の最後の言葉だった。
深夜テンションで書ききりました。
バイトで嫌なことがあり、思わず言いたくなった言葉です。
でも、言葉は刃だということを知ってからは、言わないように心掛けています。
けれど、どうしても、勢いで言ってしまいそうになっていた時に、思いついたお話です。
皆様も気軽に使うような言葉ではないので、これを読んで少しでも控えるように、してもらえたらいいなと思います……。




