7話
ネルという魔剣かつ美少女をゲットした俺は、ベッドで目を覚ました。
隣には美少女が寝てて……なんてことはなく、綺麗な剣が横たわっていた。
「ネルー、ネルさんやー、起きてるかーい?」
「……もちろん、おかわりよ……」
どんな夢を見てるのか。と言うか、剣も夢をみるのか。と言うか今更だけど剣にも睡眠が必要なのか。そして、腹ペコキャラとかやめてほしい。食費的な意味で。
とりあえず、ネルを放っておき、井戸で顔を洗い、カウンターにいた女将さんと少し話した。主にからかわれているわけだが。
「ところで女将さん、俺が行方不明の間に、何か変わったことありました?」
「んー、特にはなにも。ただ、なんか変な三人組の冒険者がこの街に来たね。貴族の道楽冒険者みたいでさ、いけ好かないよ」
ほう。どこにでもいるもんだな、道楽貴族。理由は忘れたけど、俺も昔そんな奴らに絡まれてボコボコにされたっけな。金に任せて使い捨ての高価な魔道具をボカスカ使いやがって……。
思い出したら腹が立ってきた。
腹が立ってきたら腹が減ってきた。
ネルを連れてきて朝飯にしよう、そう思った時、店に客が訪れた。
「ちっ!噂をすれば、だね」
女将さんが嫌そうに舌打ちをした。
俺は振り返ってその客を眺めた。
眺めていたら、目が合った。あれ?
「おやおやおや?どこかで見たことのある人がいますねー?」
「なんて名前でしたっけ?ああ、派手に伸びてる姿が印象に強すぎて名前なぞ忘れましたな」
「君たち、正々堂々と決闘をした相手に失礼だよ。えーと、えーと、オークくん?だっけ?」
「トールだよ!わざとらしい!」
思わずツッコんでしまった。
入ってきたのは俺の回想の中に出てきた貴族とその取り巻きだった。女将さんの言ってた奴らと同一だったのか。
俺をオーク呼ばわりした奴が、ヤーツ男爵家の次男、ヤーナ・ヤーツだ。その前の二人がヤーナの取り巻きだ。名前は忘れたが兄弟らしい。
「こんな所で会うとは、奇遇だね、オークくん。あー、こんな豚のエサみたいな料理を出す宿だ、君がいても自然か」
オークとは、豚の頭を持った大きめの人間っぽいものと想像すれば近いだろうか。
ならなんでお前らが来るんだよと思ったら、女将さんとが小声で「不味い不味いと言いながら毎食ここで食べるんだよ」とのこと。気に入ってるんじゃねーか。
「もうオークでもなんでも良いけどさ、ここはこの街で一番美味いメシを出す宿だ。お貴族様の舌に合わないなら出ていけよ」
客を追い出そうとする客。よろしくないけど、女将さんも嫌がってるし、ちらほらいる朝食の客も殺気立った目をしてるし、良いだろう。
「そうだね、君を見ていると不味いものもさらに不味くなる。君が消えたまえ、負け犬くん」
オーク=豚から犬に格上げされた。格下げか?
言い合いをしていても店に迷惑だろうと、引き下がろうとした。そのとき。
「トールは負け犬野郎だけど、この店のご飯を侮辱したのは許せない!決闘よ!トールが!」
そこにネルが現れた。どうしてこうなった。




