4話
僕、おうち、帰りたい。帰れない。
なぜなら、ここまで来れたのは、ただの偶然(事故)だからだ。
つい半日前のことだ。俺はとある依頼を受け、俺の現在のホームタウンの北にある森に来ていた。
そして。
森で迷う→崖に落ちる→ダンジョンがある→ちょっと入ってみる→モンスターに追われる→囲まれる→逃げる→落とし穴に落ちる→彷徨う
という冒険を果たして、今に至るわけだ。
「わけだ。じゃないわよ!どうすんのよ!せっかく新しいご主人様に会ったのに、すぐに死別じゃない!」
うん、どうしよう。
モンスターから逃げる必要があったのは、崖から転落した時に剣を紛失してしまったからであり、今はネルがいるため問題はない。
だが、落とし穴によってかなり深いところまで落ちてきた感覚があるため、地上に戻るのに何日かかるか分からないのだ。
食料はモンスターを狩って食べれば良いが、水と塩がないのは痛い。
さてどうするか……。
「なんてね。とりあえずあっちに行きましょ。多分だけど転移門があるから」
おもむろに、俺が来た方角とは逆の通路を指差すネル。
「はい?」
「だから転移門。私を封印した魔族があっちの方に行ってから気配が消えたのよ。転移魔法ならわざわざここから移動する必要はないはずだから、転移門があるんだろうなーって」
転移門とは、別の転移門へと距離を無視して移動できる門だ。
ダンジョンにあれば大抵が外へ繋がっている。稀に転移罠というものもあるが。
「ネル様!仏様ぁぁぁ!」
どさくさに紛れて抱きつこうとして避けられた。
剣のクセに回避性能も高いとは……。
ネルの案内でダンジョンを進む。案内と言っても「あっち」しか言われないのだが。
ものの数分後、罠にもモンスターにも遭遇せずに、転移門らしきものがある広場に辿り着いた。
「ネル、ふと思ったんだけどさ、この門をくぐったら魔族の領域でした!とか無いよね?」
「え、知らないけど」
「可能性はあるってこと?」
「そりゃあ、魔族が通った門だからね。可能性はあるわよね」
「……」
「トールのいくじなし!!」
そして俺は突き飛ばされた。突き飛ばされた先はもちろん転移門だ。
俺の視界が白一色に染まる。もう、白なのか光なのか分からない。
そして、俺は思った。
「あ……俺、死んだかも」




