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愛剣ネルと俺のこと。  作者: TKM
4章 間引き?他力?点滴
22/25

22話

「いく!絶対ついて行くから!」

「やめなよー。危ないよ?」

「私、壊れないもん!」

「やー、最悪、俺、ネルに見られたくない姿になるかも知れないし……」

「……なにそれ? 私に見られたくない姿? 全裸? ……よし、覚悟を決めた! 見る! 私、見る!」

「……違うけど。……まあ良いか。愛想尽きたら言うんだよ?」


そんなやり取りを昨晩いたしまして、俺たちは今、タロス村の門の前にいる。

タロス村の門はしまることがなく、門と言ってもかろうじて門の体をなしているだけで防御力はないだろう。


そして、門の前には沢山の冒険者達が。いない。

そう、いない。誰も。

いや、ひとつだけ影が見える。でもアレは人じゃない。ゴリラだ。ゴリラを超える何かだ。


「ゴリこの野郎!誰も来ねーじゃねーか!」

「ハーッハッハッ!皆、勇なき者なのだな!しかたあるまい!誰も命は惜しいからな!」

「俺も惜しいわ!」

「……本当か? この闘いでお前は命の危機を感じるのか?」

「……っ!」


不意を突かれた。確かに、俺は命の危険は感じていない。

それは蛮勇とか、そんなことではなく、俺が負けるはずがないと、心の底で思っているからだ。

何かに気付かれたのか?カンは良さそうだしな。


「そうであろう! 何かあっても俺がお前を守るからな! 俺の強さを知ってるお前は恐怖などないだろう! ハーッハッハッ!」


違った。まあ良いか。


なんでも良いよ。もう。サクッと片付けてこようか。


ゴリと俺はゴリの借りた馬に乗って西へ向かう。

俺も冒険者のたしなみとして馬には乗れるけど、乗れなかったらどうしたんだろう? ゴリの後ろ? 冗談じゃない。もしそうなら走るわ。馬より早く。


徒歩で半日、つまり馬ならとばせば二時間ほど。俺たちは谷の中、カマキリの巣になっている場所を岩陰から見ていた。

いる。カマキリが。うじゃうじゃ。沢山。すし詰めで。


想像以上に数が多い。これだけの数に蹂躙されたら、村は壊滅するし、もし王都に進路をとられたら、何人の死傷者が出るか想像できない。


俺たちが見ている間にも、あのキンタ◯袋のような卵から、ワラワラと小さいカマキリが生まれてきていた。

不幸中の幸いなのは、あいつらが飛べないということだ。カマキリのフォルムではあるが、羽の部分は厚く硬い外皮になっていて、飛ぶことはできない。あいつらが全部飛んで移動したら、俺には見送る以外なにもできないから。


「ゴリ、俺の勘が正しければ、こいつら、今にも進撃しそうだけど?」

「奇遇だな、俺もそう思っていた」


やばいなこりゃ。

二人で来たのはまあ良いけど、進撃が始まったら手に負えんぞ。巣で、まとまって、油断してくれているならやりようはあるけど、この数が臨戦態勢になられてるとどうしようもない。


俺はとりあえず帰ろうときびすを返した。しかし。


「トール、お前はこの状況を村に伝えてこい。遅くとも一両日中には村に大群が来るとな」

「ゴリは?」

「ハーッハッハッ!こうする!」

ゴリが岩陰から飛び出し、群れへと距離を詰めた。

唖然とした俺はついて行けない。

次の瞬間、ゴリはこちらを向き、両手を地面につけると、少しの詠唱の後に魔法を発動した。

土魔法。谷の入り口を塞ぐように、地面がせり上がる。土の壁は十メートルほどの高さになって止まった。


「ごぉぉーりぃぃぃ!」


俺は叫んだ。なにをカッコつけてやがる!イケメンだ!顔はともかくお前はイケメンだったよ!!

……なんて思うはずもなく、面倒なことしてくれたなー、まあ、壁で逃げられないようにしたのはアリかなー?と俺は冷静に考えた。


「ネル、俺、これから『ズル』を見せるよ。あと、もう少し後に、人じゃなくなるから」

「分かった。見てる。見極める」


ん、良い子だ。

とりあえず弱い奴にするから、意識を乗っ取られたり誘導されたりはしないはず。


さて、張り切って参りましょう。


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