2話
「そういうことで、ご主人様、私と契約して」
え?契約?
もしかして引き換えに魂を取られちゃうやつ?悪魔的な?
「何を考えてるか大体分かるけど、大丈夫よ。所有者を固定して、魔力的なつながりを作るだけ」
所有者を固定することで、例え盗まれても俺以外には使えないし、お互いに念話も飛ばせて位置も分かるようになるのという。
良かった……。魂も取られないし魔法少女にもならなくて良いんだ。もともと魔法は使えないけど。
「それで、契約ってどうしたら良いんだ?」
「柄を握って魔力を込めるだけよ」
「あの、俺、すまんが魔力を体外に出せないんだけど」
「そうなの?でも平気よ。私、アンタの魔力を感じ取れるもの。魔力さえあれば問題なし。そうね、柄を握って、手に魔力を流すことはできるわよね?」
俺は頷いて柄を手に取り、魔力を手に流した。
一瞬、剣が鞘ごと淡い光を放った。
「はい、契約完了!あと……名前をちょうだい!」
「名前?ファタールの剣なら名前があったような?」
「新しいご主人様なんだから、新しい名前が良いの!それにアイツ、可愛い私にあんなイカツイ名前を付けやがって……」
俺も記憶にないのだが、どうやらファタールさんはカッコイイ名前を付けたのだろう。
しかし名前か。俺、ネーミングセンス無いんだけどな。
俺は剣を見ながら考える。柄も鞘も暗めのトーンの赤。鞘から少し刀身を出してみたところ、眩い銀。両刃だ。
……うーん。赤い宝石と言えば、ルビー、ガーネット、スピネル。うん。
「『ネル』ってのはどうだ?スピネルっていう宝石から取ってみた」
「ネル……ネル……。魔剣ネル。聖剣ネル。……良い!凄く良い!気に入った!」
お気に召したようで良かった。ほっとして天井を眺める。ここはダンジョンだ。帰りも気を抜けないな。
「それで、ご主人様、アンタの名前は?」
視線を戻すと女の子がいた。背は俺よりも二十センチは小さい。小柄と言って良いだろう。黒がかった赤い髪、宝石のような赤い瞳、陶器のように白い肌、長い手足、半袖の赤いワンピース、そのワンピースを持ち上げる、デカい胸。
デカい……胸。
「ど……どなた?」
頬に衝撃が走る。
俺はビンタをくらっていた。




