18話
翌朝。晴れ渡る空、澄んだ空気、清々しい太陽、淀んだ俺の心、仁王立ちするゴリ。たくましいゴリ。
少し早いかな?くらいで来たのに、なんでもう来てるんだ。遠足を楽しみにして早起きしちゃう子供か。
「ハーッハッハッ!よく来たな!俺は楽しみで眠れなかったぞ」
早起きじゃなくて、寝てなかったよこの人。
「はあ、お待たせしました。ゴリアーノさん、お手柔らかに宜しくお願いします」
「おう、頼む!しかし、戦闘中のように話してくれて良いし、俺の仲間と同じようにゴリと呼んでくれ!」
「はあ。じゃあ、ゴリ、行くぞ!」
先手必勝。俺は剣を抜いて一足飛びに懐へもぐる。右足、頂き!と思ったのも束の間、戦斧が地面に叩きつけられ、盾のようにゴリの足を守った。
「ハーッハッハッ!速い!そして急所を狙わず、まずは足を狙うか!」
俺は一度元の間合いに戻る。参ったな。防がれちゃったよ。思った以上に手が速い。もう一段上げないと。
次手も俺。今度は真っ直ぐにゴリの正面に寄り、戦斧の間合い直前でゴリから見て左側、斧を持っていない方向に飛ぶ。そして左腕に斬りつける。ゴリは身体をひねって回避し、斧を横薙ぎにし、後の先を取りにくる。俺は無理に剣を止めることなく進み、それを回避した。
その後数合い斧に剣を当ててみたが、やはり重い。そして上手い。俺の方が一撃の重さで負けているのに、ゴリは受けるだけではなく、いなしてくる。
けど、もう少しだな。
「ゴリ、笑いが止まってるぞ」
俺はニヤリと笑い挑発する。次の一手で終わりにしたい。
ゴリも口の端を釣り上げて笑う。言葉は発しない。
ゴリが動く。離れきっていない間合いから、腕をコンパクトに回転させた横薙ぎの一撃。大振りはしてこない。俺はそれを身体をそらすことによってかわす。ゴリは急制動をかけて上段から斧振り下ろした。力が入っていることが分かる。
今。
半歩斜め前に出ることでそれをかわし、横スレスレを通って地面に叩き付けられた斧を踏みつけ押さえ込む。ゴリの腕力なら一瞬で跳ね飛ばせるだろうが、一瞬で充分だ。
俺は剣の先端をゴリの喉に突きつけた。
勝負ありだ。
「ハーッハッハッ!負けたかー!」
なんで嬉しそうなんだこのおっさん。しかし、俺も楽しくはあった。
「ゴリってパワー押しじゃなくて技巧派なのな。盗賊との闘いを見てて知ってたけど」
「チカラだけの闘いなど楽しくないからな。チカラ比べなら組み合い、押し合いした方が楽しいからな」
「楽しいが基準かよ」
俺は苦笑いを浮かべながら言葉を続ける。
「技巧派のゴリはさ、魔法も使えるだろう?なぜ使わなかった?」
「うん?使えるが。手加減したと思ったか?できるわけないだろう!俺の魔法は使い勝手が悪い。下手に使ってその隙を狙われるのを嫌ったまでだ」
「そうか。素直に受け取っておく」
良かった。俺の持つハンデに付き合ってもらったんじゃ、ゴリじゃないが俺も楽しくないからな。
それから求められるがままに固い握手を交わし、帰ろうとしたが。
「トール!風呂だ!」
え?なに言ってんのこのゴリラ?
「共に汗をかいたんだ。共に流そうではないか!ハーッハッハッ!」
そのまま強引に引きづられ、村の銭湯にいった。
村の銭湯とは言っても、ここの銭湯は名物になっているらしく、いくつかの違った種類の湯を楽しめた。
そう言えば、身体を拭くばかりで風呂に入っていなかったな。
せっかくだしと、久しぶりの風呂を堪能していると、腰にタオルを巻いたゴリがのしのしと近付いてくる。
「ハーッハッハッ!あっちの炭酸風呂も良い具合だったぞ!」
あ、落ちる、と思った時には既に遅し。タオルが落ち、ゴリのゴリを真正面から見せつけられることになった。
ゴリのポロリなんて、誰も望んでいない。
早くネルを見て癒されたいと思った俺を、誰も責められないと思うの。
ゴリのゴリ……で、3終了になります。
我ながら手探りで書いてる感じがありますので、良評、悪評、どちらかと言えば後者、お待ちしております。




