15話
またガタゴトガタゴトと馬車に揺られている。
盗賊たちは身ぐるみはいで、近くの村に置いてきた。奴らの装備品は護衛で山分けする。大した価値なんてないけど。
「エサは与えなくて良い」と言っておいたが、きっと奴らが餓死する前には騎士団が回収に来てくれるだろう。
さて、日が沈む前に依頼対象のタロスの村に辿り着いたわけだが、これは村と言っていいのかな?町じゃないか?
大都市、都市、街、町、村、集落(とても数がすくない)を分けるのは、人口と、文化の発展レベルによる。
基本的には、王都を大都市として、少し劣るところか都市、もっと劣るところが街、といったように基準が曖昧だ。
この村は、村と呼ぶには余りにも活気に溢れ、余りにも設備が整っているのだ。例えるならば、イリスの繁華街を含めた中心街を半分にしてこの地の中央に置き、イリスより若干劣る建築方式の家々が周りをかためている、といった感じだ。
もっと俗的に言えば、飯を食うところにも、買い物するところにも、宿にも困らない。程度は全部イリスより少し劣るけどね。というところだ。
俺たちのギルドからの依頼は、『間引き』。なので、馬車の護衛のメンツともここからは別行動だし、好きに宿を選べる。
「ネル、気になる宿はあるか?そこまで数はないけど、選べそうだぞ」
「んー、宿の格やらサービスは分からないんだけど、あっちの宿から美味しそうな匂いがする」
と言って、中心街よりも少し北の門寄りの方角を指差した。もちろん、そこに向かう。腹ペコキャラではないにしろ、美味しいものを美味しいと言うネルの感覚を、俺は信じた。
ネルの感性に響く宿に着くと、至って普通の宿であった。
ここも酒場と宿が一体になっているようで、一階は食堂兼酒場。二階に宿泊施設があり、二階に行く通路には受付が存在する。
俺たちは受付に向かい、ずっと帳簿を見ているカウンターの人に声をかけた。
「あのー、泊まりたいのですが……」
そう声をかけると、突然、ビクッと反応があった。恐る恐るという感じで俺たちに視線を向けたその人は、まだ幼さない女の子だった。
「店番かい?えらいね。2人で、ダブルがあるならそれで、なければツインで良いんだけど、部屋は空いてるかい?」
「い、いい、いらっしゃいませ!あ、あいてます!」
女の子はそう答えると、宿泊の料金を伝えてきた。イリスの街で俺たちが泊まっている部屋と同じくらいだ。
とりあえず一週間分を前払いし、鍵を受け取った。
「ごゆっくりどうぞ!よるはこれからです!」
……ちょっと意味が分からない。
きっと「夕食はこれから用意できます」っていうことだろう。そうだと言ってくれ。
そして俺たちは、三日ぶりのベッドにありつくことができた。ネルがベッドにじゃーんぷ!そして剣化。俺はその隣にじゃーんぷ!たまらない!このフカフカ!もう薄いマットの宿なんかに泊まりたくない。野宿なんてしたくない。
なんて、シミジミ考えていたら、いつのまにか寝ていた。微睡んでいるさなか、ネルの寝息だけがはっきり聞こえた。
しばし後、部屋がノックされ、「おきゃくさん、おたのしみますか!」と声をかけられた。
うん、夕食の時間のようだ。




