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愛剣ネルと俺のこと。  作者: TKM
2章 復讐?復習?副収入?
11/25

11話

ネルの意味深な発言の後、俺たちはギルドへと向かっていた。

ネルと会うきっかけとなった依頼の報告を、すっかり忘れていたからだ。だってしょうがないじゃない。帰ってきたときはヘトヘトだったし、今日は朝から決闘騒ぎだったし。


屋台で軽く買い食いしながらギルドまで道をのんびり歩いた。

そう言えば、女の子と二人で買い食いとか、デートじゃね?ででででデート!

普段女の子と話すのなんて、ギルドの受付のおねえさんだけで免疫はないけど、なんだろう、剣だからなのか、あんまり緊張もせずに自然体でいられる。会ったばかりなのに。


「トール、この串焼き、何の肉か分からないけど美味しい!」

「ほら、ネル、口に串焼きのタレが付いてるぞ!」

嬉しそうなネルの口をハンカチで拭いてやる。ネルはあごを上げて拭きやすいようにしてくれるが、その振動でワンピースの胸元が揺れる。ぽわんって。絶景かな、絶景かな。

すると突如、俺の背中に悪寒が走る。とっさに周りを見渡せば、屋台のおっちゃんを含めて男たちの視線が痛い。嫉妬、殺意、羨望。それらを混ぜた視線だ。なるほど、これはこれは。数日前まで俺がカップルに向けていた視線がこれか。ふふ、持つ者と持たざる者の違い。これが格差社会!


なんて、しょうもない事を考えているうちにギルド前に到着。

なぜか、ギルド内が騒がしい。

中に入ると、ギルド職員の男性がカウンター内から俺を見つけて手招きしてきたので、呼ばれるがままそのカウンターに行った。


「トールさん、探してたんですよ。ちょうど良かった」

「何かあったんですか?」

「あなたは当事者です。今朝、決闘されましたよね?従者の二人から妨害を受けませんでしたか?」

「ええ、まあ、妨害というか、障壁を張る魔道具は使われましたね」

「それです」

とりあえず俺が糾弾されるわけではないようだし、なんの話か分からず、先を促す。

ギルド職員公認の決闘での妨害。これがまずかったらしい。ヤーナはこの街でも既に数件、別の街でも何度も決闘騒ぎを起こしているらしく、その度に今回のような妨害工作を行っていたらしい。今回の決闘で、俺はヤーナ本人にも、取り巻き二人にも魔道具が尽きるまで使わせた。それにより、今まで怪しくとも掴めなかった証拠が手に入ったということだ。

そして、余罪調査のために、現在ギルド内がバタバタしているらしい。


「なるほど。それで、俺を探してたというのは?」

「はい、それなんですが、まず、ヤーナより賠償金が支払われます。次に、今回の決闘において、トールさんがヤツをボコボ……失礼しました。彼を戦闘不能にしてくれたことで、証拠の確保も彼の捕縛もスムーズに行きましたので、ギルドから報奨金が出ます」


おお、思わぬ副収入。ありがたく受け取らせて頂こう。

しかし、職員さんの口ぶりから、ギルドに対しても横柄な態度だったのだろうな。


それから俺は本来の目的である依頼の終了報告を行い、ギルドを後にした。依頼の方は、実はちゃんとこなしており、規定量の素材を渡すことができた。もっと沢山と欲張った結果……まあ、とてもいい剣を手に入れることができたからよし。


後日談ではあるが、ヤーナは貴族であったため、処刑や禁固刑はまのがれたものの、ギルドの冒険者である資格を失い、実家からも勘当されて、消息不明となったらしい。取り巻き二人も当然糾弾されたが、手のひらを返したように「脅されていた」「立場的に命令に逆らえなかった」と騒ぎ、減刑されたとのこと。


「全て私の計算通り!感謝しなさい!」

とは、ネルさんの談である。


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