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3匹目:ワーム/芋虫魔物/属性:虫

2016/01/03ちょっと増量。

 希少種、その名の通り数が少なく珍しい事を指す――――はずなのだが。

 俺の目の前には一匹のドでかいイモムシがいた、全長およそ二メートル、黄緑色の体表に黒と白で横にラインや丸といった形の模様が入っている、恐らく外敵を威嚇するための目に見える模様ってやつだろう。


 ――――ワーム(希少種・♀)を仲間にしますか?

 

 早速来た、今更だが希少種っていうのは感覚的にわかるんだが他のとどこら辺が違うのか全くわからない、見た目的には他のワームと何ら変わり無い。


 (……ブルームの時はパートナーだったし仕方ないとして、シロだって偶然だと思ってるんだけどこれはどうなんだろうな……とりあえず『はい』です。)


 ――――ワーム(希少種・♀)が仲間になった! ……ワームに名前を付けますか?


 (ワム……は流石に変か、さてこの芋虫だが綺麗な蝶に育つ様にと願いを込めて……込めて――――駄目だ思いつかない、とりあえずアゲハでいいや。)


 ――――アゲハは喜んでいる!


 ま、蛾になる可能性もあるんですけどね。

 そんなアゲハ、一体どこからやってきたかといえば――――謎だったりする、確かにワームは木の上で生活する魔物だしこの木に居たって不思議はないんだが、朝目覚めたら目の前に居た……というかのしかかられてた。

 虫が体にへばり付く、人によっては鳥肌ものな感覚だろうが大きさが人間の子供ぐらいの大きさで触った触感も柔らかい動くクッションぐらいだったもんで割と平気だった。

 見た感じは風の谷的なとこに居そうな巨大な蟲に似てるけど違うといえばさっきも言った様に凄く柔らかい事だろう。

 透き通るような青い目が八つ顔に、虫とは到底思えない柔らかい舌とかそんなのは置いといて……とりあえず、俺の上から退いてもらう。


「えーと、本? とりあえずこいつを見てくれ、こいつをどう思う?」


 そういうと本に付いている目玉がギョロリと開きアゲハを観察、例によって俺の顔の前まで移動してきてページをめくる。


 《図鑑番号・十》

『ワーム、芋虫魔物、属性:虫。』


 《個体情報》

『名前:アゲハ、性別:♀、レベル:ニ、特性:脱皮、性格:穏やか、技能:糸を吐く、丸くなる、舌で舐める、体当たり』


 なんだよ虫属性って……分からないことが多いな属性の基準が。レベルはニと俺より低いけどあんまり嬉しくないな、けど芋虫に期待することじゃないな。


「とりあえず恒例の人化をするか『エゾフロマテムナムイヒ・アゲハ』!」


 これまた恒例の煙と共に一瞬視界を奪われるが……直ぐ様晴れる――――すぐに晴れるならむしろ煙でなくてもいいんじゃね? と思うが。

 そうして現れたの、シルクのようなつやつやした髪に青い瞳がクリクリとしていて可愛らしい――――全裸の幼女だった……凄く犯罪の匂いがします。


「ぱ、ぱ?」


 おう、そう来たか……でもごめんな、俺は君のパパじゃないんだ。でも違うとは言い難いこの魅力、アゲハは大きくなったら美人になるだろうな――――蛾になるとか言ってすまん。

 可愛らしい天使のようだ。


「パパ!」


 ああ、ダメだ俺もう親バカになる! いやなるって言ってなるもんじゃないか。

 つぶらな瞳をぱっちり開き両手を挙げて万歳しながら駆け寄ってくる幼女。


「よーし、よしアゲハ、高い高いー」


 俺はもう諦めることにした、幼女に罪はない。そのまま抱えて一瞬アゲハが浮き、そのまま抱っこしてやった。

 しかしなー虫とか魚ってさ、卵から生まれて親なんて無しに育つのになんでこいつは『パパ』だなんて親を指す言葉を知ってたんだ? ……可愛いからどうでもいいか、可愛ければ全て許される。

 俺はしばらくアゲハと遊んだ、アゲハが疲れて眠ってしまうまでずっと。


「それにしたって不便だよな?」


 今は俺と本しか居ない、みんな本の中に収納したからだ。従ってこれは独り言になってしまうが――――俺の股間から本が動き、顔の前までやってくると目玉をギョロッとさせ反応してくれる。

 話がわかるじゃないか……いや何のことかは分かってはいないのだろうな。


「お前のことだよ、本……じゃいくらなんでも呼びづらいし、お前だって嫌だろ?」


 本に向かって何を言ってるんだとも思ってしまうが、こいつには知恵があり思考がある、ならば心だってあるはずだ。それならば――――こいつも出来れば仲間になって欲しい。

 魔本の魔物そういう存在であるならば出来ない通りはないはず……問題があるとするならばこいつに性別があるかどうかだけど。


 ――――マジックブック(希少種・♀)を仲間にしますか?


 (する――――というか最初から仲間のつもりだったんだが?)


 ――――そうですね、しかし私はマスターの股間を隠す物ですから。

 

 股間を隠す為のものならば本じゃなくて葉っぱでも何でもいいんだけど。むしろそこを主張するとは……魔本の矜持とかないのかね?


 (アナウンスというか今まで頭に響いていた声が答えた……お前だったのか。てか女が股間とか言ってんじゃない。)


 ――――ですよ、ではとりあえず手続きを先にしましょう。マジックブック(希少種・♀)は仲間になった! ……私に名前をくれますか?


 今までで一番困る、今までは自我のない魔物にペット感覚で付けてたけどこいつは自分の意思を持っているし何より女の子というイメージがさっきの問答で出来上がってしまっている。

 そんな彼女の名前を付けるとはなんだか気恥ずかしいけど、名前か……赤……レッド、マジック、ブック……ドジックとかドジっ子っぽくて可愛いと思ってしまったがそれ名前じゃねぇし。

 

 (レイ……確か光線とかってレイって言うよな、よく光線とか出すしレイでいいや。)


 ――――レイ、私はレイですか、……レイは喜んでいる!


「自演かよ、まあいいけどさとりあえず人化からやってみよう『エゾフロマテムナムイヒ・レイ』!」


 ボフン――――白煙以下略。


 綺麗な赤い髪に本の時のギョロ目、に似た瞳が二つ――――単眼だったらどうしようかと思ってました。

 可愛らしいというより好奇心旺盛な感じで頭良さそうな感じ、流石本といった感じの少女が現れた。

 あれだな、社長秘書タイプ? ってやつだ、メガネとスーツがよく似合う……そんなものこの世界にはないけど。


「マスター、これからもよろしくお願いしますね?」



 そう言ってレイは三つ指をついて頭を下げてきた、ブルームには悪いが俺の真のパートナーはレイだったのかもしれない。

 いや浮気じゃないよ、ただそう常に傍らに居る、そういう意味でのパートナーだったらレイだ、何せ彼女はずっと俺の股間のところにいるのだから。

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