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20匹目:トレント

この話から少し仕様変更。

レイと主人公のやり取りの際に主人公のレイに対する問いかけに()を付けるようにしました。


そして現在一匹目から順に仕様変更の改稿及び文字数の増量を行っております。

話の流れ自体は全く変わりないので暇な方は見てみてください。

後付け設定の説明とか表現の仕方とか少し変えてますので……できれば感想が欲しいなーなんて。

 青いのの前から脱出した俺たちは周囲を軽く探索しこの辺りに人間や魔物がいないのを確認すると一息ついた。

 ルナは既に収納済み、なので危険を避けるためにいつものように木に登り腰を据えた俺にレイが労いの声をかけてきた。


 ――――災難でしたね。


 たった一言だが幾分か気が楽になる、助かったんだという安心を得たわけだ。

 何せあれは明確に殺意を持った一撃だったレイがいなければ今頃顔面に風穴が空いていたところだ。


(全くだ、いきなり槍を投げてくるやつがあるか? 窓ガラスだって割ってたし弁償とかどうするつもりなんだろうか。)


 ――――それはご心配に及ばないかと、恐らくあの白衣の男が回復魔法を使って治すはずです。


 白衣の男は回復魔法を使えるのか、というか使えるのか?

 いやそれ以前に治すってなんだよ……建造物で無機物だろうガラスなんて。


(治すって、建物をか? そんなことが可能なのかよ。)


 ――――マスターにはまだ言っていませんでしたけど、あの建物や他の民家などもみな魔物ですよ?


 言ってなかった、つまり知っていたと……。

 聞かなければ永遠に教えられなかったかもしれないのか、レイは真面目に俺に従ってくれているが全てを知っていてもそれを自ら教えてくれることはない。

 余裕がある時にでもちゃんと聞こう、それより今は建物が魔物ってことを説明してもらおう。


(どういうことなんだ? 建物が魔物っていうのは……)


 ――――この世界には魔法しかないんです、物を作るという技術はありません。色々と矛盾もはらんでいるのでいくつか説明は省きますが、この世界の人間はほぼ全てマスターのような魔物を使役できます。それは老若男女全てにおいて、そしてこの世界には変換魔法というものがあり人間たちは魔物たちを自分が望んだ姿に変貌させることによって生活しているのです。



 確かに矛盾というか色々違和感のある説明ではあるが服を着ていない時点で物作りの技術がないというのはなんとなく納得できる。

 ただ望んだ姿というのが引っかかるというところか、作れないのであればその形を望めない、つまりはそういうことだろうが、もしかしたら俺のように連れてこられた人間が広めた可能性もあるが、今は聞かなくてもいいだろう。


(……それじゃあ俺も変換魔法っての覚えれば使えるのか?)


 ――――それはできませんね、変換魔法は原則一人につき一種類のみ、普通は違う変換魔法を持つ者同士がくっついて家族になることで補っていくのですが……マスターの場合は生物の構造変換、つまり人化と魔物化がそれに当たりますね。


 なんと、俺は既に変換魔法を使っていたらしい……けど魔本魔法の中の人化魔法(変換魔法)って実際に俺が使えてるワケじゃない気がするんだが。

 そしてあの青いのが使っていたのも恐らく変換魔法……武器化魔法とでも言ったところか。

 しかし使っていたのは理解したが魔物化っていうのは使った覚えはないぞ。


(人化は分かるが魔物化ってのは? 俺そんなもの使えるとは知らなかったぞ)


 ――――オノマメロドムですね、基本的に収納の段階で人化が解けますのであまり使う機会がありませんでしたが。


(そうだったのか、てっきり人化解除ってことだと思ってたんだが。)


 ――――オノマメロドムはありとあらゆるものを魔物の姿へと変化させる魔法ですから使い方によっては色々と応用できますがそれは使い手次第となっています。


(んー? なんでも魔物にできるってことはその辺に生えてる木とか草花でも?)


 ――――可能です。


 ということは今度からはそこいらの魔物じゃないものを魔物化して仲間にするのもアリって事か。

 でも草や花は普通に魔物でも存在しているしもっと物っぽいものがいいな。あ、でも物作りの技術はないんだっけか。

 それじゃあ残る可能性は――――。


(じゃあ、例えば俺や他の人間にも?)


 ――――可能です、けど人間の場合は相手の了承がないと……魔物も人化するには仲間にしてないとダメですから。


 当分仲間と呼べるような人間が出てくるとは想像できないから自分に対して使うとしてその利用法は、アレしかあるまい。


(なるほど……じゃあ俺を魔物化してから合体魔法を使って俺自身が戦うとか可能か?)


 ――――面白い発想だと思いますが……可能ですね、けど私としてはマスターは後ろでどっしり構えて皆に支持を出す役目であってほしいのですが……。


 言い方が少し変だな、可能なのは分かっているのに言いたくないような……そうか、俺のことを心配してくれているんだな、そりゃ前も危ないことしようとしたら諌めてくれていたし。

 なんだかんだでこの世界で一番俺のことを考えてくれているのはレイだよな。


(いざという時はだよ、俺だって好き好んで自分の身を危険には晒したくないし。)


 ――――でしたら良いのです。しかし魔物化についてきちんと説明できていなかったとはチュートリアル案内本として不覚……ですのでよろしければこれからレクチャーいたしましょうか?


 チュートリアルの続きか、本当に聞かれないことに関しては教えてくれないんだな。

 けど魔本魔法の時はまだレイはレイじゃなくただの魔本だったもんな、仕方ない。


(ああ、頼む正直どういう風にすれば分からないからな)


 ――――では、そうですね……用途といたしましては戦力としてはもちろん、ブルームに変わる新たな食料調達としてまずは、この木を魔物化しましょうか。


(食料調達? なんだこの木って食べられるのか?)


 ――――いえ、上の方をご覧下さいあちらに実がなっているのですが、あれは食用可能で、魔物化させればいつでも実らせることができ、いつでも収穫ができますよ。


 レイに言われて上の方を見ると蔦のような細い枝が伸びてそこにたわしのような見た目の楕円形の果実が実っていた。

 あれは元の世界でいうキウイフルーツに似ている……というかまんまだけど、木は全く似ておらずどっしり地に根を下ろす広葉樹のような巨木だ。


(キウイっぽいのがなってるな……でも魔物化したらあれも魔物になるんじゃないか?)


 ――――それは、確かにそうですがブルームを食せるマスターが今更それを躊躇いますか?


 キウイってのは元はそういう名前のアレに似た鳥から来てるらしいが流石に実が魔物化してその鳥になるとかないよな?

 そしてそんな鳥っぽい果実にかぶりつく……ちょっとグロいことになりそうなんだけど。


(それは今更……だけどブルームは回復するが、あれは回復しないだろう)


 ――――その時はその時です。いいですか、まずは木から降りましょう、それから幹に手を当てて付けたい名前と一緒に魔物化の呪文を唱えてください。


 あ、こいつ、俺の葛藤をスルーしやがった……まあいいけど、なるようにしかならないし……当たって砕けろだ。

 それにしても名前、名前ね……すぐに思いつかないな。いつものことだがやっぱり安直に魔物の種族名から取ってつけよう。


(レイ、この木って魔物にしたらなんて名前になるんだ?)


 ――――トレント(木天蓼種・♀)ですね。


 じゃあ、レンで。モクテンリョーなる響きは確かマタタビってことだった気がするが……猫型魔物でも引き寄せるのか?


「えーと『オノマメロドム・レン』」


 ――――トレント(木天蓼種・♀)は目覚めた! 


 ――――トレント(木天蓼種・♀)はレンを受け入れた。


 ――――レンが仲間になった!




 なかなか新しいパターンだなこれは。

 仲間になったレンの姿を確認する……見た目は木の時と変わりないが、根っこが完全に地面の上に這い出てきて、歩行できるようになっている事と、太い枝が腕のように両脇に生えていて樹皮が顔のような模様になっている。

 そして果実の部分はというと――――案の定、羽根のない飛べない小鳥さんになっていましたとさ。

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