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1匹目:スライム/粘体魔物/属性:水

2016/01/02増量!

なお、増量理由はおみくじで小吉を引き更に内容に見た目だけで来て中身がほとんどなく充実させるべし的なことが書いてあった為。

 スライム――――ああ、スライム青くてつやつやぷるるん、スライム。ゲーム、特にRPGで言うところの雑魚キャラであり実際のファンタジーだったら魔法じゃないと倒せないとか触ったら溶かされるとかいう危険極まりない物体ではあるが、俺の勘がこいつは前者だと言っている。

 俺の目の前にいる青いスライムは、体長三十センチ程の楕円型の魔物で青と言っても透き通っていてどちらかといえば水色、大体そんな奴だ。そんなファンシーな見た目の奴が強力な酸を持っているわけがない!

 そいつは草むらの上でプルプル震えながらこっちを見ている――――んだと思う多分。目はないけどなんか表情みたいなのが分かる気がする……いや顔もなければ手足もない、ソーダ味のゼリーみたいな。


 しばらく見つめ合っていたが俺の股間に付いている赤い本がもぞもぞし始めて表紙の目玉がギョロリと動きスライムの姿を観察すると、サッと俺の股間から離れ、俺の顔の前に来たかと思えば表紙を開きペラペラとページが独りでにめくれて、七ページ目にスライムについての情報が……この場合表示されたというべきか、サラサラと紙に鉛筆で文字を書くような音と共に文字が――――日本語で浮かび上がってきて、更に挿絵も手書きで中々上手にスケッチされていくまるで今見たものをそのままコピーしているようだ。ちなみに隣の六ページ目は白紙なので恐らく該当する魔物に出会うことで情報が記録されていく仕組みなのだと思う。


 《図鑑番号・七》

『スライム、粘体魔物、属性:水。』


 挿絵とたったそれだけの情報しか書かれていない。空白の場所が何箇所か存在するようだが、これは何か条件でもあるのだろうか?

 どうにかならないかと他のページもめくってみるが全部白紙だ。


「これでどうしろってんだよ?」


 途方にくれた俺の一言に反応したのか、本の空白部に文字が浮かび上がり、頭の中に声が直接響いてきた。


 ――――スライム(希少種・♀)を仲間にしますか?


 (え……? あ、はい仲間にします。)


 ――――スライム(希少種・♀)は仲間になった!……スライムに名前を付けますか?


 (名前……名前かー、俺ネームングセンス全然ないんだけどな、スをとってライムとか? ちょっとありきたりかな、色からとってアオじゃなんか手抜きっぽいしかと言ってブルーじゃなんかブルドッグみたいだし。

 んーブルーでスライムだから――――ブルーム、ブルームなんかでどうだ?)


 ――――ブルームは喜んでいる!


 (喜んでると言われても、顔がないから表情が分からないんだけど。)


 《個体情報》

『名前:ブルーム、性別:♀、レベル:五、特性:柔軟、性格:大人しい、技能:溶解液、泡、溶ける、小さくなる』


 空白だった箇所に新たな情報が書き込まれていく。

 なんかゲームのステータスみたいな情報だな、体力とか魔力とか攻撃力なんて言った数値はないけど。

 技能ってのはこのスライムができる技とかスキルって事でいいんだよな?


「あ、そういえば、お前……俺も見てたけど、俺の情報はないのか?」


 あの時じっと俺を見ていたのももしかしたらと思い確認すると本は頷くように縦に揺れ、ページをまたパラパラめくり、最後の一ページに――――。


 《図鑑番号・零》

『マスター、人間、属性:無』


 《個体情報》

『名前:ソータ、性別:男、レベル:三、特性:フェロモン、性格:せっかち、技能:仲間にする、育てる、魔本魔法、指示を出す』


 レベル三って……俺スライム……いやブルームより下なのかよ、それにフェロモンって確か異性が感じ取るなんかだよな、それと技能はなんか仲間にするとか育てるとか指示を出すってのはわかるが、魔本魔法ってなんだよ?

 技能の数が四つなのはブルームのを見る限り定められたものだとしてもだ、仲間にするやら育てる、指示を出すってのは行動であって技能は要らなそうに思えるが、これじゃまともに使えるのは魔本魔法だけってことになるが、どこかに詳細はないのか。


「なあ、この魔本魔法ってなんなんだ?」


 俺は本に語りかける……なんか今、凄く気が狂ってる奴みたいなんだが俺は――――しかしこの本は、ちゃんと俺の言った言葉を理解しているらしくページをパラパラめくってくれて、半端なところで止まるとそこにいくつかの文章を綴り始めた……日本語、というかカタカナだけど意味のない言葉にも思えるような暗号の如き呪文だ。


 《人化魔法》

『エゾフロマテムナムイヒ』

『オノマメロドム』


 《合体魔法》

『オトニオジョオノマム』

『オジアキアタゴ』


 《回復魔法》

『アタネスノメコプ』


 《召喚魔法》

『ノマソレド』

『ウカブマケロドム』


 だとさ、なんだこれ……。

 読める部分、恐らく分類……的に――――人化魔法ってのは魔物を人の姿にする……でいいのか? こんな世界に一人ぼっちな俺への救済処置とか?

 合体魔法は多分……ジョグ○○やら○○クロス、フュー○ョン的な、あれだろうか。

 回復魔法は文字通りだろうけど、召喚って?


「とりあえず一通り試すか……とりあえず合体はスライム一体じゃ無理だろうし召喚魔法から――――『ノマソレド』! ……何も起こらないな……だったら『ウカブマケロドム』! ――――あ、ブルームがっ!」


 召喚魔法の欄の上の呪文では何も起きなかったが下の呪文を唱えると本の目玉から赤いレーザービームが発射されそれがブルームに当たるとブルームは欠片も残さず消えてしまった。


「ちょっ、なにしてくれるんだよ! いや、やったのは俺か――――でも召喚魔法なんだよな? 攻撃じゃなくて……だとすれば! 『ノマソレド』! ……ダメか……いや『ノマソレド・ブルーム』!」


 呪文だけではダメならば名前を指定すればいいと思って言った呪文に反応して本の目玉から極太のレーザービームが天に向かって飛び出したかと思えばそこに魔法陣が浮かび上がり、そこからブルームがぷるんっと落ちてきた。


「なるほど、下が収納、上が召喚か、しかも出すときは名前を言わなきゃダメっぽいぞ……多分収納する時も複数いる場合は名前言わないとダメなのかもしれない」


 その当たりの確認は仲間が増えてから追々やっていこう――――で次は回復魔法は傷ついてるわけじゃないから確認できないとして――――やっぱり次は人化魔法か。


「さっきの調子でいくと下が戻す、上が出すって感じだから……上が人化、下が解除かな? とりあえず――――『エゾフロマテムナムイヒ・ブルーム』!」


 とりあえず名前の指定も入れとく、必要はないかもしれないがあっても邪魔にはならないだろう。そう考えていたらブルームの表面がピカっと発光し全体が白い光に包まれ――――まもなくボフンっという音をたて白い煙が周囲に立ち込める……煙とは言っても粉塵ではなく水蒸気だなどちらかといえば。変化中の様子が分からないようにしているというよりは多分変化は一瞬でそれを誤魔化すために発光と煙を出しているんだろう。



 煙が晴れたそこには――――全裸の少女が座っていた、俗に言う女の子座りっていう正座を崩したようなアレだ。腕を前にというかまたの間についているのでギリギリ際どいところは見えていないが……。

 どちらかといえば豊満なバストにまず目が行き、顔も悪くない――――つかスライム要素なくね? 申し訳ないって程度に髪が黒髪だが光に当てるとどことなく青く見えるかなってところだった。ふむ、擬人化ではなく人化だからといったところか、魔物を完全な人間にする魔法か……そしたらこの状態じゃ戦えないんじゃないか……だったら完全にお楽しみスキルじゃねーか。


「……ごしゅ、じん、さま?」




 これが彼女の第一声となるわけだが――――うん、今とってもメイド服が欲しい、そんな気分だ。ご主人様呼びといえばメイドだよな!

 でも誰がそんな言葉をブルームに教えたんだ? というか日本語喋ったぞコイツ、一体なにが起ころうというのだろうか……この時の俺には全く予想もつかなかった。

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