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14匹目:ウォーラスキング

今後の流れを考えていたら数日が立っていた……。


誠に申し訳ない。

 レイ、こっちの手の内を見せてくれ、正直どんな技能が使えたか分からないだが。


 ――――了解です。


『名前:ヒスイ、性別:♀、レベル:三十二、特性:もふもふ、性格:冷静、技能:翼撃、咆哮、竜巻、エアショット』


『名前:シロ、性別:♀、レベル:二十、特性:威嚇、性格:勇敢、技能:噛み砕く、咆哮波、嗅覚探知、激突』


『名前:ユキ、性別:♀、レベル:十、特性:雪隠れ、性格:臆病、技能:雪降らし、甘噛み、氷砕き、フリーズブレス』


 と、まあ見せられたところで把握はできないけど。


 ――――マスター、ウォーラスに気づかれました。幼獣を逃がし成獣が数体こちらに向かってきてますね。


 視線をウォーラス達に戻すと確かに何頭かこちらに向かってきてるが……かなり遅い重たい体を引きずるように突進してくる。

 ぶつかったらたまったものじゃないが、あのスピードなら避けられるだろう。


「ヒスイ、向かってくる連中にエアショットで牽制してくれ、シロは咆哮波とかいうの見せてくれ、ユキはフリーズブレスだ」


 俺が命令を出すとそれぞれが三方向に一歩踏み出す。


「承知、エアショット――――!」


 ヒスイがエアショットを放つ為に口を大きく開き状態を大きく逸らし空気を吸い込むと胸がふっくらと膨張し、それを一気に口へと移し頬張ると口の中で圧縮したのか、頬が緩みその口が開くと同時放たれる空気の塊が先頭を行くウォーラスの頭部に直撃し、恐らく首と思わしき場所から上か弾け辺りに血肉を撒き散らす。――――グロい。


「了解、咆哮波――――ウォォォォォン!!」


 シロもヒスイと同じく空気を大きく吸うがこちらは限界まで溜めるという風ではなくすぐさま音――――遠吠えという形で吐き出した、後ろにいるのに鼓膜をビリビリと揺さぶるような衝撃に思わず耳を塞ぐ。

 見ればユキとヒスイも堪らず耳を押さえている。

 そして戦果といえば……ヒスイのエアショットにも怯まずにこちらに向かってきていた残っていたウォーラスの全員の耳から血が噴き出している、しかもよく見ると逃げ出していたウォーラス達の最後尾付近の数体も同じような状態となっていたが絶命するほどではないようだ。


「うん……フリーズブレス、ぷはぁ」


 ユキのフリーズブレスはなんとも可愛らしい吐息のようであった。ブレスというには些か距離がなく使いどころに難があるが今後次第ということだろうか。


『ブフォオオオオオ』


 ウォーラス達も負けじと水や氷の塊などを口から飛ばしてくる、これをヒスイが翼を激しく羽ばたかせ起こした竜巻によって吹き飛ばし……その流れ弾が逃げている方に当たっている。

 ヒスイたちは俺が指示を出さずとも敵を狩り始めた、なんか俺の仕事はなさそうだな。――――と、気を緩めていたその時だった。


 ――――警告、マスター。ウォーラス達の逃げた先の方から何やら巨大な反応が接近してきます。


 目を凝らしてみると遠くの方からウォーラス達の死骸を挽肉に変えながらこちらに迫って来る山のような存在が確認できる。

 なんだあれは……?


 ――――検索……判明、ウォーラスキングです。ウォーラスの上位種、つまり進化先ですが……状態は激昂、最悪ですね。



 仲間の多くを倒されて怒り狂っているというのか。

 段々と近づいて来るウォーラスキングにヒスイがエアショット、シロも咆哮波を放つが一切効果が無いようだ……。

 ……一体どうすればいいんだ。


 ヒスイは諦めていないようで何発も連続して放つ、するとそれの一つが目に当たったのか目から赤い涙を流し出す、けれどその歩みは止まらない。

 そうこうしているうちにもうすぐ奴の攻撃範囲内に入ろうかとしたその時、奴の動きが止まった。

 見るといつの間にそこまでたどり着いたのか、知らぬ間にやつの頭の上にユキが登っていてその頭に向かって甘噛みを使用しているようだった。

 何をする気だ?


 ――――恐らくあの体制からフリーズブレスを使うのではないでしょうか?


 飛距離が残念なアレか……俺的には頭を冷やすみたいな感じにしかならないと思うが。


 ――――見てください、ウォーラスキングの頭部に霜が。


 お……ウォーラスキングは抵抗もせずに氷漬けになり、そして凍ったウォーラスキングの頭部にペタンと座ったユキが拳を振り下ろすと一山分の大きさもあるウォーラスキングが粉々に砕け散った。


 ――――あれが氷砕きのようですね、凍っているものならば何であろうと一撃粉砕するという……。


 甘噛みからのフリーズブレス、氷砕きのコンボか……えげつねぇな。

 ま、これで戦いも終わっただろうしあとはゆっくりしようか。


「まだだっ、私が捉えた大きな気配はあやつではない! ――――来るぞ!」


 油断して緩みかけていた俺の体は緊張により硬直し一時的に身動きが取れなくなる。

 そして海の方から大きな水柱を上げ、それは現れた。



 ――――仰々しくも麗しく、水を統べるべき……いや水そのものとも言えるだろう魚の鱗で全身を包み込み、エラとヒレ、尾ビレを持つクリスタルの角が生えた狼のような魔物だった。

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