人気鳥
眠い。急激に眠くなってきた…
頭が誰かに支配されている。小説の世界にエネルギーを使い過ぎていて、この時間にはもう正気を保っていられないようだ。どうやら、今夜はまともな文章を打てそうにない。けれども、がんばって先へ進む。1歩でも先へ…
こういう時こそが、絶好のチャンス!普段書けない小説を書くコトができるのだから。
頭の中に別の世界が広がっている。そこは、夢と現実の狭間の世界。
僕は、過酷な労働から逃げだして、世界を敵に戦うコトを誓った!!そうして、言葉を武器に戦い始めたのだ。そうして、数々の試練を経て、僕は何人かの仲間と出会う。
けれども、仲間もろともとっつかまって、再び過酷な労働を強いられるようになる。だけど、ここは以前の労働とは違う。言葉を使った労働だ。嫌々ながら、言葉をお金に換えさせられる。
「嫌だ!嫌だ!」と叫びながら、僕は得意の言葉を使って、お金を稼ぐ。仲間達もそれは同じ。そこには魂などない。ただ、人気取りだけが存在する世界。そうして、それは人気鳥という名の鳥となって飛んでいく。
そうやって、人気鳥は世界中へと散らばる。人気鳥は、現実の世界にもやって来る。そうして、数多くの小説書きの頭の中に巣くって、魂の抜け落ちた小説を量産させるのだ。
それが、この現代の世の中。




