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例の男の声

 ひさびさのバトルで高揚した心を抑えきれない。おかげで、図書館にも行きそびれてしまった。けれど、いい小説が書けた。読者にとってどうかはわからないけれども、作者の僕としてはかなり手ごたえを感じた回だった。

 けれども、こんなコトを繰り返していては、人生が破綻してしまう。おそらく、近所でも噂になってしまっているだろう。今後は、自分の力を抑えながら生きていかなければ…


 果たして、それでいいのか?

 史上最高、歴史上でも類を見ない究極の小説家。それを目指している者としては、この程度の奇行は問題ないのではないだろうか?むしろ、このくらいでなければならないのでは?なんのリスクも負わずに最高の作品など生み出せはしない。もっともっと迷惑をかけ、世界を混乱に巻き込みながら、それらを小説のアイデアとしていけばいいのでは?

 この前、図書館で読んだサティさんの絵本にも書いてあったではないか。サティさんなら、この程度のリスク喜んで受け入れるはず。


「もっとやれ!もっとやれ!」

 そんな声が聞こえてくる。いつか頭の中の映像で見た男の声だ。お堂の床に座り込み、不動明王の姿をした、あの男。例の男が叫んでいる。応援してくれている。

「お前の人生は、そんなものか?究極の作家とやらになる覚悟は、その程度か?その程度で終わる人間なのか?だったら、他の人間と同じだな。なんだかんだ言いつつも、結局、普通の人生しか歩めやしない。ありきたりな小説しか書けやしない。その程度の存在と諦めるのだな」

 僕は、男の声にジッと耳を傾け、考える。

 果たして、どちらがいいのだろう?人に迷惑をかけず、それでもコツコツと小説を書き続ける方がいいのか?それとも、他人に迷惑をかけながら、世界に混乱をもたらしながら、自分の信じる最高の作品を生み出し続ける方がいいのか?

 迷う…迷いに迷う。答は、なかなか出てこない。


 まあ、いい。

 その件に関しては、今は保留だ。とりあえず、書き続けよう。先へ進み続けよう。その上で、その都度、選択していこう。最終的な答を出すのは、ずっと先でいい。



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