見知らぬ人に対してあいさつは必要か?-3
中学生の女の子からの次の攻撃は、このようなものだった。
「なんだ、喋れるんじゃねーか」
僕は、それに対して間髪入れずに反撃する。
「喋れるよ。ただ、その必要がないから、そうしなかっただけさ」
この時には、もう僕の心は落ち着いていた。さっきは、とっさのコトだったから脊髄反射で返答してしまったが、このセリフは冷静そのもの。それでいて、心の底ではワクワクしていた。戦闘民族の異星人のように、戦いを楽しんでいた。
それに対して、相手は未熟。声こそかわいらしいものの、既にその言葉づかいは荒くなっている。この時点で、もう圧倒的にこちらが優位。しかも、相手の女の子はそれに気づいていない。戦闘において、これは致命的。
「必要がないとはなんだよ!あいさつしたら、あいさつで返せよ!学校で習わなかったのかよ!」
その攻撃に対しては、こう。
「習わなかったね。たとえ、習っていたとしても、そのような常識に囚われていては、世界は変えられない。それは、凡人の発想。そのまま生きていったら、君は一生凡人で終わるよ」
ここで女の子はブチ切れ!!ワーワーキャーキャー言って返してくる。何を言っているのかも、よくわからない。会話になっていない。「あいさつが」とか「学校の先生が」とか「おかあさんも」とか言っているようだった、よく聞き取れなかった。
完全に発狂している。僕の言葉がダイレクトに心に突き刺さったらしい。何を言っているのかはわからなかったけれども、とりあえず追撃の言葉を放っておいた。
「ほらね。あいさつなんてできたって、何の意味もない。目の前でそれが証明された。そんな風に発狂しているのが、いい証拠さ。生きている証拠。服を着て、歩いて、喋る証拠だよ」
能力が高すぎる。僕は、普段小説で使っている言葉を、この時、現実の世界の戦闘で武器として使ってしまっていたのだ。こんなコトをやってはいけない。それはわかっている。わかっていたつもりだった。でも、流れで、そうなってしまっていた。
周りの中学生たちも一緒になって、僕を攻撃してくる。罵詈雑言の嵐。
けれども、僕はそれらの攻撃に対しても冷静に対処する。1つ1つの言葉を受け止め、適確に反撃する。もっとも有効だと思われる言葉を選び出し、放つ!不必要だと思われる攻撃は受け流し、使えると判断した攻撃は、そのまま反射して相手に返してやる。
それだけで、もう敵はボロボロだった。何人いようが関係ない。言葉で僕にかなうはずがないのだ。覚悟が全然違う。鍛え方が全く違う。まさに、桁違い!
全てを捨てて言葉の世界に生き、言葉に磨きをかける日々。それでいて、言葉の無力さをも心の底から理解している。
だが、相手は違う。彼女たちは、そうは思っていない。言葉に意味があると信じて疑わない。たくさんの言葉でがなり立てれば、それで勝てると信じてしまっている。だから、言葉の使い方1つ1つが非常に甘くなってしまっているのだ。それでは、お話にならない。100回戦っても、1度も勝利できないだろう。
そして、ここで、乱入者登場!!




