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空想能力が暴走している
相変わらず、空想能力が暴走していて困る。
たとえば、お風呂に入ろうとすると、湯船のお湯が溢れ出し、竜巻のように渦を巻いて水柱を立てる。お風呂から上がって、扇風機にあたって涼んでいると、扇風機のブンブンという音が大きくなっていき、うるさくてたまらない。あげくの果ては、扇風機の羽根がヘリコプターのように飛行して、夜空の彼方へと飛んで行ってしまった。
干してある服やタオルは踊り出し、テレビやラジオは勝手にスイッチが入って喋り始める。
でも、そういうのにも段々と慣れてきた。
“そういうものなのだ”と覚悟を決めれば、そんなに気にならない。それよりも、小説が書けなくなってしまう方が困る。少々日常生活が不便であるのが何だというのだ。このくらいは我慢しなければ。
他の人達は、まともに生活が送れているかも知れないけれども、代わりに小説が書けないではないか。「どちらを取るか?」と尋ねられれば、答は決まっている。
何のリスクも負わずに能力だけを手に入れようだなんて、虫が良すぎるというものだ。




